2月議会・一般質問⑤「学力向上に向けた取り組みについて」

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 2月議会最後の質問項目は、学校教育に関してです。
 大津市教育委員会は、データを計量的に分析して、それを効果的・効率的な学力向上やいじめ対策につなげていこうとする姿勢を示しています。これはすごく良いことだと評価しています。むやみに様々な手を打つよりも、数字でしっかりと分析して、どのようなことをすれば学力が上がるのか、そしていじめ対策につながるのか策を講じていくべきです。

 これは教育委員会事務局だけでできることではなく、滋賀大学教育学部と連携して進めておられます。滋賀大学教育学部が石山にあることと、また滋賀大学は全国に先駆けてデータサイエンス学部を新設されたことからも、施策検討のためのリソースとしては十分に持っておられると思います。専門的な知見を大津市教育委員会に授けていただけるようにと願っているところです。

 前回、11月議会の質問でも取り上げたことから、その後の進捗状況を確認する意味からも改めて2月議会で質問を行いました。


【質疑応答】
Q 藤井より
 5項目めは、分割質問方式で次年度の学力向上施策についてお伺いいたします。
 昨年11月通常会議の本会議でも、全国学力・学習状況調査結果を受けた本市の見解を確認する中で、学校現場への支援強化がこれまで以上に進むことを期待し、現状認識と今後の取り組みを伺ったところ、教育長答弁は、滋賀大学と連携し、専門的な知見をいただきながら、より効果的な指導方法を考え、学校へ指導助言していく予定というものでありました。
 その後開かれた教育厚生常任委員会では、スクリーンに投映している統計分析による結果概要が説明をなされたところであります。この分析結果を用いれば、よりよい効果的な指導方法を考えるための参考材料に確かになるだろうと思われます。しかし、政策議論を深めていくためには、この回帰分析結果をデータに戻りまして確認しなければなりません。
 そこで、教育委員会に対しまして、統計分析結果がわかる統計資料を求めているところでありますが、さまざまな理由に基づきまして情報公開請求しろというふうなことでありまして、本日までその確認ができていません。つきましては、一般質問の場をかりましてお伺いしたいと思います。

 この学力につながる要素としまして、正の影響としましては、授業以外の学習時間であったり、授業での発表の機会等が入っています。また、負の影響としましては、インターネット、携帯、テレビ等の利用時間等が入っていますけれども、これら正の影響、負の影響で示されました六つの変数に関しましてそれぞれの有意水準と係数のほか、有意性が見られなかった独立変数があれば、主要なものもあわせてお伺いいたします。
 また、分析モデル自体の有意性と決定係数、標本数もお伺いいたします。

 前回の教育長答弁を受けまして、より効果的な指導方法を考え、学校現場への支援に用いていくということでありましたが、教育委員会としては、次年度以降の学力向上のために分析結果をどのように捉え、どのように検討を進めているのかについてもお伺いいたします。

 また、その検討作業や契約行為、または事務執行は適正に行われているのか、今回の情報を出していただけなかったことに対しまして疑念を抱くため、念のためお伺いいたします。




A 執行部(船見順教育次長)より ※桶谷教育長は病気療養のため欠席
 御質問にお答えいたします。
 一つ目の滋賀大学教育学部による分析についてでありますが、全国学力・学習状況調査の本市の結果について重回帰分析を用いて行っていただきました。重回帰分析は、ある項目に対し多様な要因を一度に検証し、各要因の影響の強弱をつかむことができる手法の一つであります。あらわれる係数を比較をしやすくするため、標準化して分析をしております。今回の分析結果では、より確実な結果から考察するために、有意水準0.1%の項目で検討いたしました。
 議員お述べの教育厚生常任委員会での結果概要では、これらに本市の学校の現状と背景等を加味し、説明をいたしました。六つの項目全ての有意水準は0.1%であり、有意性があると言えます。そのうち、例えば生徒数に効果のある正の影響が強い項目の授業以外の学習時間は、標準化した係数が0.10から0.16でした。また、生徒数に対して逆の効果のある負の影響が強い項目のインターネット、携帯、テレビ等の利用時間はマイナス0.11からマイナス0.26でした。分析モデル自体は統計的に十分有意性のあるものであり、決定係数は0.19から0.27です。有効なデータの標本数は、小中学校とも2,850前後です。また、影響があらわれなかった項目の主なものとして、授業で話し合う活動で内容を理解し、相手の考えを最後まで聞き、自分の考えをしっかり伝えていたかなどがありました。

 二つ目の学力向上に向けた取り組みについてでありますが、今年度の分析結果から、授業で自分の考えを発表する機会、授業での目当ての提示などが正答数の向上に有効であることが明らかになってまいりました。このことにつきまして滋賀大学教育学部と本市教員で組織した学力充実委員会において、学力向上にどのように生かしていくのか、指導方法等の検討を進めているところでございます。

 なお、滋賀大学教育学部とは平成27年9月に連携協定を締結するとともに、事務の執行につきましては、事業の実施やデータの取り扱い等の取り決めを交わし、適正に行ってまいりました。


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 データに基づいて、より良い学力向上の取り組みを議論していきたいと思っており、今回、質問前までに当該データを提出頂けなかったことは大変残念でした。上っ面だけの議論や質疑応答はしたくありません。しっかりと数字を見た上で議論がしたいのです。

 これは教育委員会の風土の問題なのかもしれません。
 少し余談になりますが、大津いじめ事件の民事裁判の結審が、5月8日に大津地裁で行われることになっており、注目をしています。


藤井テツ





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