2017/05/07
五月連休いかがお過ごしでしたでしょうか?
「五月病」という言葉があるように、新しく就職した人や転職した人にとって憂鬱な気分になっている方もいるかもしれません。
会社仕事として人事/キャリアコンサルティングを行っている観点から言いますと、入社して間もない時期は、「将来への期待」が離職要因に大きく影響を及ぼしています。
(私の会社経営者として執筆しているブログから転載)
「期待してこの職場に入ったけど、思ったような会社じゃなかった・・」と思うのは、多くの人が思うところです。まずは今年一年間で達成すべき目標を明確にし、いまの会社で集中して取り組むことを改めて設定・確認して頂くことで、気持ちをリセットしてほしいと思います。
連休明けの来週から市議会が始まります。まずは議長や副議長を決める臨時議会からです。
今年度は会派を代表して、「議会運営委員会」の委員を務めさせて頂きます。
それ以外には、総務常任委員会と観光対策特別委員会の配属希望を出しています。
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最近、「統計学」を学んでいます。
京都大学公共政策大学院での学びも今年度で2年目で、20代前半の将来有望な若手と一緒に実践ですぐ役立つ思考力、表現力、知識を習得中です。その中で特に学び深く、議員活動の質を高める武器として「統計学」を見出しています。
まだまだ入門・基礎レベルだと思いますが、2月議会でも一般質問で統計学を使った政策提言を行いました。
政策提言の実現性を高める方法は大きく分けて2つあると思います。
1つめは市民や団体の声を後押しして行う政策提言。
2つめは数字や統計に基づいて実施の妥当性を訴える政策提言。
どちらが良いという訳ではなく、どちらもできれば最強だと思います。
特に現在の大津市行政を見ると、従来型の1つ目の市民要望型の提言はその実現性が下がってきていることから、2つ目のデータに基づいた提言を組み合わせながら活動をすることで、政策実現性を高めていくことができると感じています。
これも2月議会の一般質問で取り上げた事柄ですが、「おおつ統計なび」という市のページが作られました。オープンデータ/ビッグデータの時代において、まずはこうした取り組みが始められたことは良いことと評価したいと思います。(もちろん質・量ともに不十分ですが)
これまで公開されていた情報を一部加工して一覧性を高めている点に特徴があり、こうした公表データが増えていくことで、データに基づいた政策提言の質も高めていけると思っています。
具体的には、マイクロソフト「エクセル」を持ってさえいれば、ある程度までの統計分析が簡単にできてしまいます。
「エクセル」の「データ分析」をクリックすると、相関分析やヒストグラム、回帰分析を選ぶボックスが出てきます。(上図)
今回大津市が「おおつ統計なび」に公表したデータを用いて、そのままエクセルで「健康保険の被保険者一人あたりの費用額」に関して、回帰分析(どのような要素が影響しているのか)をかけたのが、以下の表です。
「補正R2」は、全体の要素のうち抽出した要素がどれくらい占めているのかを示すもので、上図のものであれば、「保険料徴収率」と「特定健康診断」、「特定保健指導」、「人口10万人あたりの病床数」、「65歳以上人口」、「人口密度」の6要素で53%を説明できるというものです。
このうち、「P値」が「0.05以上」の要素については、統計的に「有意ではない」、つまり、統計結果は信頼できない(偶然性を否定できない)要素であることから、「特定健康診断」や「特定保健指導」は使えない要素となります。(ちなみに貧困率と関係が高いであろう「生活保護者数」や、地域内の共助に関係あるだろう「自治会加入率」はP値が顕著に大きかった為、信頼できない要素だと判断し、回帰分析を行う要素からも外しました。)
この中で、特に「P値」が低い要素が、「人口10万人あたりの病床数」と「65歳以上人口」であることから、今回は「65歳以上人口」と「健康保険の被保険者一人あたりの費用額」の相関関係を出してみました。
上図の相関図から分かることは、65歳以上人口が高まるほど、一人当たり保険負担額が高まるという関係性です。当たり前と言えば当たり前ですが、統計的に説明できることは大きいです。
さらにこの結果を踏まえ、以下の事が言えます。
① 現在の大津市の国民健康保険料(赤い点の箇所)は標準的である。
② 大津市の人口ビジョンに基づけば、このままいけば2040年(高齢化率35%)には現在よりも年間8万円程度、国民健康保険負担が増えることが考えられる。
③ 仮に高齢化率が上らないのに保険料負担(保険需要額)を上げようとするならば、国保財政の運営面で努力不足があるなどが考えられる。
今年度の大津市の国保料は、「微増」ということで、大きな増加ではないので、統計的にはほぼ問題ないと言えます。
しかしながら、もし統計分析を実施していなかったとしたら、何を持って「妥当な負担額」だと評価するのか分からなくなってしまいます。あくまで主観に基づき、「保険料率があがるのはダメだ」ということしか言えなくなってしまいます。
もちろん議員は様々な市民や団体と交流する中で、生活に苦しい家庭の方の生活も知ることになり、「これ以上の保険料の値上げは耐えられない」という切実な声を聞くことになります。
統計で全てが解決できるなら、そもそも議員は必要ないのかもしれませんが、議員がいるのは様々な立場の方の声を代弁する意味もあることは承知しています。
だから、市民や団体の声を後押しする提言活動と、数字や統計に基づいて行う提言活動を両方できれば最強だと思うのです。
まだまだ統計学については入門したところですので、大学院での学びを深めると共に、現場で活用しながらより高度な政策提言を行い、地域課題・行政課題を解決していきたいと思っています。
大津市議会議員 藤井哲也拝