平成25年2月議会一般質問③ 『今後のごみ焼却体制について』

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おはようございます。
滋賀県大津市議会議員、藤井哲也です。

今週からは議案審査の場が常任委員会に移ります。
一般質問は時間等の制約が多く、問題の深堀りがしづらいですが、委員会審査においてはどんどん深ぼりすることも可能です。
ちなみに委員会審査はネット中継はされませんが、傍聴可能ですので、市議会にお越し頂けましたら幸いです。

[今議会の委員会審査日程]
3月5日(火) 総務常任委員会、生活産業常任委員会にて平成25年度当初予算審査
3月6日(水) 教育厚生常任委員会、施設常任委員会にて平成25年度当初予算審査
3月8日(金) 各常任委員会で平成24年度補正予算審査
3月12日(火) 各常任委員会で予算以外の議案審査
※委員会は、大津市役所本館4Fの委員会室にて行われます。


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先月27日の私の一般質問3項目は「今後のごみ焼却体制について」です。


現在、大津市には3か所5焼却炉があります。
北部(伊香立2炉)、中部(富士見2炉)、南部(大石1炉)です。

焼却炉は20年間から30年間を一つの目安として、施設老朽化のため建て替えの必要があり、大津市においても施設そのものの建て替えと基本は炉を動かしながら代替施設を建設するため代替地の取得及び造成費用等が発生することになります。

前目片市政においては、ごみの安定処理を重視して3か所5炉体制を維持しようとし、それをベースとして「南部クリーンセンター基本計画」の策定や、施設がある自治連合会や自治会との協定を結び、環境アセスメント(環境影響評価)を行ってきました。
私の当選前のことでありあまり私もこのあたりのことは詳しくありません。

昨年1月に市長が交代して、新しい市長は市長選挙時には、ごみ焼却施設を3か所から2か所体制にするとしていましたが、当選後の昨年2月に行われた市議会では3か所体制を維持することを表明しました。
しかし10月頃に一転、やはり3か所体制を見直すとし、実質的に2か所体制に向けて「検討作業」を行ってきました。

そして1月に「中間報告」が市議会で説明をされました。
【参考】「大津市 施設整備計画検討業務(中間報告)」

 
この「中間報告」を検討資料として、市長はごみ焼却体制を「2か所(4炉)体制にする」方針を公表しました。

大津市は、体制見直しを検討していた市内3カ所の一般廃棄物処理施設(ごみ焼却場)を将来2カ所に統廃合する方針を固めた。地元自治会と合意済みの大津クリーンセンター(大石)建て替え計画を中止し、北部(伊香立)、環境美化(膳所)を更新する。12日発表した13年度一般会計当初予算案に関連の施設整備費を計上した。
2月13日 毎日新聞より一部引用



私も基本的にこれまでも申してきましたが、2か所体制で問題ないと思っています。
財政面で大きく寄与できると考えるものです。

しかしながら、議員としては市議会で採決に際し賛成か反対かを明確にしなければなりません。
その影響は市民生活全般に及びまた現在の市民だけではなく、今後生まれてくるこどもたちのことも考えて賛否を決めなければならないと考えています。

今回の「中間報告」をもって2か所4炉体制で問題ないのか、私には判断ができません。
市長からすれば、もともと2か所4炉体制ありきで検討業務を行っている節がありますので、プロセスとして「中間報告」を作成しているだけなのかもしれませんが、財政面での寄与だけではなく、きちんと安定処理できるのかどうかという点からも見なければ未来の市民に大いなる負債を残しかねません。

この問題の複雑さは、なかなかブログに書ききれないものがありますが、

1 大津クリーンセンター(現南部1炉)の焼却炉の更新について地元協定が26年3月までと迫っていること。
2 大津クリーンセンターの施設更新については地元協定の延長が必要なこと。
3 そうした協定締結の背景に大津クリーンセンターを「南部クリーンセンター」として建て替えすることですでに長い交渉の末、地元了承がようやく得られたこと。

という問題がまずあります。
また焼却体制を2か所(北部、中部)にする場合、南部は廃止となることから、ようやく地元が苦労して了承でとりまとめてくれた協定を、市は一方的に破ることになり、不義理極まりない状態に陥ります。

言ってみると、ごみ焼却施設は迷惑施設に分類され、地元自治連合会の労苦なくして協定締結は成り立ちえず、長い交渉の末、ようやく地元の方から理解を得られた経緯があります。

もし市長が言うように、2か所(北部2、中部2)という体制にするにしろ、現在の施設を順次更新していく必要があり、その間も「大津クリーンセンター(南部1)」は使い続けなければなりません。
おそらくあと2回の協定延長は必要と思われます。
今回の決定による不義理を地元はどう思われるか容易に想像できます。果たして延長を受け入れて下さるかは不透明です。


また「安定焼却」の面からも課題が残ります。
焼却炉は連続燃焼するものですが、1年間に1か月~1ヵ月半はメンテナンスのため停止させる必要があります。また最近は施設老朽化のため度々、炉が故障のため停止するようで、その期間も1日~3日程度止まるということです。
もし2か所4炉体制にした場合、1炉がメンテ中に残り3炉の内、どれかが故障のため中長期にわたり停止せざるを得なくなった時、2炉しか使えない状態に陥ります。
ごみは原則、発生した自治体内で処理することが義務付けられていますので、その時点で安定処理が困難に陥ります。


そうした事情を踏まえて、私は「2か所5焼却炉体制」を今回の議会で提案いたしました。

財政面では確かに2か所4炉体制に比べると少し多めにかかりますが、分かる範囲で必要コスト・運用コストを出したところ、3か所5炉体制に比べるとはるかに安くコストを抑えられます。
十分、検討すべきケースに含めても良いと判断してのものです。
(この専門分野に詳しい方にも伺い、2か所5炉体制は十分検討に値すると評価を頂いた上で議会に臨みました)


市長には申し訳ないのですが、今回の「中間報告」は非常にズサンです。
問題個所が散見され、2か所体制を正当化するために、こじつけていることや前提条件をかなり絞ったり、変更したりしています。

この「中間報告」で、2か所4炉体制がベストというのは拙速ですし、安直過ぎると言うのが私が詳細を調査して感じた印象です。
以下、大きく3点、「中間報告の問題点」を記載します。(実はもっと多く問題点は存在しています)


【1】検討作業の前提条件を絞りすぎていてマトモな検討がなされていない
 まず何よりも検討の前提条件が非常に多く、自由な検討がなされていないと言えます。
 検討しているケースが「1か所体制×3、2か所体制×3、3か所体制×1」の7ケースで検討していますが、上記提案した2か所5炉体制なども十分検討すべきケースに含まれます。(1か所体制はそもそも選択可能性はないに等しいにも関わらず検討ケースに含まれている)
 また「安定処理体制」や「災害リスク」の検討については、2か所体制と3か所体制との比較を行っていない。(ほぼ一緒と片付けてしまっているが、そのようなことはないというのが専門家の意見)
 
【2】3か所体制のケースが粉飾されている
 「南部クリーンセンター基本計画」(2010年作成)では、焼却施設3か所のうちリサイクルセンターを設置するのは2か所というものだったのにも関わらず、今回の「中間報告」においては、なぜか3か所体制にした場合、リサイクルセンターを3か所に設置するというものにすり替えられており、3か所体制のケース検討がコストアップするように粉飾していると言わざるを得ません。
 私が計算したところ20年間で17億円程度のコストが、3か所5炉体制のケースでは多く見積もられています。なぜこのようなケースで検討したのかは不明です。こうした粉飾によるコスト算出を積み重ねていくと、おそらく2か所体制と3か所体制の財政面の差額は市長が言う90億円ではなく、50億~60億位になるのではないかと思います。(専門家が言うには半分の45億円以下になるだろうとのこと)

【3】現実的に発生する問題を考慮しない机上の空論である
 また実際、高い確度で発生する問題を考慮していません。今回の中間報告ではそうしたことは除外すると記載されていますが、他市の事例を見てみると普通は除外すべきではない事柄も大津市の「中間報告」では都合よく検討しないことになっているように感じます。例えば、建設費や土地取得・造成費が挙げられます。
 そのほか、中部の環境美化センターは現在でも施設敷地が極めて狭隘であり、建て替えする場合は附属する施設(温水プール等)をどこかに移転する必要性が生じます。駐車場もです。またリサイクルセンターを隣接設置することも本当に可能なのかも疑わしくあります。(市の説明では地下に作るということですが、詳細不明です)
 挙げればキリがないのですが、運搬量も単純に距離だけを持ってコスト計算されていますが、大津市の場合、瀬田川を越えるためには「国道1号線」か「瀬田の唐橋」を渡らなければ、対岸に渡れません。
 つまり大津クリーンセンター(南部)をなくしてしまえば、瀬田地域のごみはすべて橋を渡って富士見まで持って行くことになりますが、ご存知の通り、朝の時間帯、国道及び唐橋は大渋滞しています。ゴミ収集及び運搬においてはどのくらいのロスになるのか分かりませんが、そうしたコストを無視して、単純に地図上の距離だけでコスト算出しているのも理解できません。



詳しい方(その道数十年の専門家)に聞くと、2か所にするならば、地価が高い中部に2炉設置するよりも、北部と南部の2か所体制にした方が総合的に見たコストは安くなるのではないかと言われました。


私としては、正直、この「中間報告」で、北部2炉、中部2炉の体制にすると言われても納得ができないところがあり、判断ができない状態です。
一旦、ごみ処理の問題は計画が走り出せば、もはや止めることは極めて困難だと思うので、市長にはお得意の「第三者調査・検討委員会」を設置して、そちらに諮問することを強く望みたいと思います。
いまなら数ヶ月間ならまだなんとかなるのではないかと思います。


代表質問で市長は「もし ごみの安定処理ができなかった場合の覚悟」を問われ、「そうならないようにする」としか答えませんでした。私にはその答弁もヨワヨワしく感じましたし、その程度の覚悟なら、もう少し精緻な検討をすべきだと思うところです。

誤解なきよう重ねて申し上げると、私は2か所体制でもいいと思っています。
但し、安定処理体制と財政寄与を正しく検討し、その結果、メリットが多いと判断した場合です。



大津市議会議員 藤井哲也拝



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