新卒ニート3万人。

ホームブログ>新卒ニート3万人。


こんにちは。
滋賀県の大津市議、藤井哲也 です。

先日、日経新聞に「新卒ニート3万人」という見出しの記事がありました。



新卒ニート3万人 働き手減少に拍車 ~教育・就職 橋渡し欠く~
大学を今春卒業した約56万人のうち6%にあたる約3万3千人が、進学も就職の準備もしていないことが27日、文部科学省の調査で分かった。大半が「ニート」とみられ、学校から職場へのスムーズな移行が難しいという若年層の課題が浮き彫りになった。ニートへの対応が遅れれば質と量の両面で日本の労働力の劣化を招き、生活保護受給者の増大なども懸念される。抜本的な対策が急務だ。

(日経新聞記事より一部抜粋)


ニートとは、あらためて申すまでもありませんが、「Not in Employment, Education or Training」という英語の頭文字をつなげた言葉で、「雇用されているわけでもなく、教育を受けているわけでもなく、職業訓練や求職活動をしているわけでもない」という状態の人のことをさします。

現在、全国には60万人~70万人程度のニートが存在しているとされ、この数字は10年前とほとんど変わりがありません。
新卒において、就職できなかったことは、雇用環境の悪化や、産業構造の変化及び学校で学んだ専門性との間のミスマッチが生じており仕方ないのかもしれません。
行政としても、経済を好転させ、新産業育成に力を入れ、また雇用のミスマッチを減らすべく施策をとる必要があります。

反面、教育を受けるわけでもなく、職業訓練も受けず、また求職活動もしていない人が新卒の6%に上っているのは驚きです。確かに、昔ながらの「家事手伝い」もこの中に含まれていると思いますが、そうしたものを考慮しても数万人の人が新卒時にニートとなっています。

なぜこれほど多くの人たちがニートになっているのでしょうか。つまり、なぜ就労に対してそんなに多くの若者が無気力になっているのでしょうか。
私は「本人の働く意欲(モチベーション)」の問題とも思っております。
モチベーション理論の中で有名なものの一つに「期待理論」というものがありますので、その理論を用いて、話を展開しますが、期待理論とは・・・

     「達成するまでの距離」×「達成した時に得られる果実の大きさ」=「モチベーションの大きさ」

という分かりやすい考え方です。
昨今の、就職事情や雇用環境を見てみますと、大学生の時の就職活動に失敗していったん社会に放り出されてしまえば、「正社員」として就職することは極めて困難となります。現実の雇用問題の最大の課題は、私は「再チャレンジが許されない崖っぷち状態がずっと続く」というものだと認識しています。
仮に正社員として就職しても、1、2年でろくにキャリアを積まずに早期退職してしまえば、そのあと再び成功へのキャリアを歩むことはなかなか難しくなります。
常にがけっぷちで、失敗したらもはや再起不能というこの日本の雇用環境は大問題です。

「達成するまでの距離」は一旦社会に無業状態で出てしまえば、かなり険しいものとなります。
また、「達成した時に得られる果実の大きさ」に関しては、せいぜいがんばって就職したとしても、彼ら大学卒の教育を受けた人たちにとってどれほど魅力的な Reward(金銭・非金銭問わず報酬) でしょうか。
個々人がどれくらいの果実を求めているのかは、人によって十人十色とは言え、彼ら彼女らの自尊心を満たし、そして満足できるかどうかは、想像する限り知れているものです。

教育を受けても無駄、職業訓練を受けても無駄、そして求職活動をしても無駄。
そんな状態となり就労モチベーションがあがらないのだと思います。
しかし、就職活動支援や若手社員の人材育成に10年間という短い期間ですが関わってきた身として、申し上げるならば一度や二度の就職活動の失敗で、ニート状態になってしまうのはあまりにも弱すぎると思うのです。
そのような状態ならば、就職してもこの厳しい競争の中では絶対に生き残ることはできないでしょうし、早晩、早期退職してしまうことになると思うのです。

とは申すものの、このような経済環境や雇用環境はもう10年以上も続いています。
2000年前後の就職氷河期が第1期とすれば、2009年以降の現在は第2期と言えます。

デフレ経済を脱却し、新産業を育成し、そして学校教育においては世界で戦っていけるだけの思考力、プレゼン力、専門性を身につけていかねばなりません。大学4年間だけでそうした能力を身につけるのは至難でありますのでやはり小学校、中学校、高校と一貫して世界で戦えるようなビジネススキルを磨く教育が必要だと思います。


大津市においては、去る9月3日に市内ホテルで、『就職面接会inおおつ』が開催されました。
多くの学生の皆様が就職面接会に来ておられました。担当課に聞くところによると、今回は広報活動の範囲を広げたことや、交通アクセスが昨年よりもよくなったことなどが来場者が増えた原因ではないかということですが、企業誘致で大津に進出してこられた、日本熱源システム様もブースを出して頂いたなど、昨年は福祉系事業所の出店比率が多かったのが、今年は様々な業種の地元企業が出展していたなど、より魅力的なイベントだったと思います。




市としては、経済にアプローチできる政策はあまりとれませんので、こうした就職マッチングイベントや企業誘致で雇用を生み出していくことが、雇用対策につながると思います。
あわせて、大津市においては新産業育成、観光振興も雇用増につながる政策だと思います。

できることは限られていますが、この雇用問題は将来の社会保障政策にも関わってくる重大なテーマだと認識しています。この問題を解決したいという強い思いによって、私は政治を志しました。

市の政策で足りないところを調べ、必要な政策を提言していく。
そうすることで地域経済、地域の雇用に貢献したいとあらためて思いました。



▲ページのトップへ