第三者調査委員会設置の説明にかかる総務常任委員会が開催されました。

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こんばんは。
大津市議会議員、藤井哲也 です。

本日17時から、大津市議会 総務常任委員会が開催され、私も委員として参加いたしました。
市内中学生のいじめ自殺の調査に関して、第三者調査委を設置することが、報道などで明らかになっていましたが、今回はじめて市議会側にその目的や予算規模、スケジュールなどが説明なされました。

終わっての感想ですが、「いったい何のために設置する調査委員会なのだろうか?」というものです。

以下、配布された資料の中から、その設置目的について記します。


市長は、下記目的のため、第三者調査委員会を設置する。
(1)いじめの事実を含め、当該学校において当該生徒に何が起きたのかを明らかにすること。
(2)(1)により明らかになった事実に基づき、本件生徒の自殺の原因について考察すること
(3)(1)により明らかになった事実に対して、当該学校がどう対応したのか又は対応しなかったのかを明らかにし、当該学校及び教育委員会の自殺後の対応が適切であったか考察すること。
(4)(1)~(3)により明らかになった事実及び考察から、いじめ、自殺、自殺前後の学校及び教育委員会の対応について、再発防止に関する提言を行うこと。



また調査内容は下記のような内容となっています。


(1)第三者調査委員会は、必要な範囲で次に掲げる方法により調査を行う。
 ア 次の「調査対象者」から事実関係や意見等に関する陳述、説明等を求めること。
 (ア)教育委員会の委員
 (イ)教育委員会事務局の職員及び当該学校の職員(過去に教育委員会事務局及び本件学校に勤務していた者を含む。)
 (ウ)当該学校の生徒及びその保護者等
 イ 調査対象者に対して、文書等関係資料の提出、提示、閲覧、又は複写等を求めること。
 ウ 関係団体に照会して必要な事項の報告及び協力を求めること。
 エ 必要な協力を調査対象者又は公私の専門的機関に対して求めること。
(2)調査を行うに当たり、調査対象者が未成年者であるときは、当該調査対象者及びその保護者の同意を得た上で、その心情に配慮し、適切な措置を講じなければならない。
(3)本件生徒の遺族と本市との間で訴訟が継続中であることに鑑み、本市の訴訟に関する検討又は決定に関連する事項は、調査対象から除外する
(4)教育委員会の委員、教育委員会事務局の職員及び当該学校の職員のその他の本市の職員は、調査に協力する。




調査目的に、「本件生徒の自殺の原因について考察すること」とある半面、調査内容に「本市の訴訟に関する検討又は決定に関連する事項は、調査対象から除外する」というものがあります。
因果関係は調査せず、自殺の原因については調査するという時点でかなり、意味がわかりませんが、訴訟中であることを鑑みて百歩譲って理解できたとしても、ほとんどの調査事項が訴訟に関する検討又は決定に関する事項に該当すると思われますので、初期の調査目的を達成することが、自然とできないのではないかと感じます。

また、今回は地方自治法174条に基づく「専門委員」の制度を活用して、市長諮問機関として設置されるものです。
この「専門委員」には、庶務を担当する市職員が業務を補助してはならないことになっています。
しかし一方では、総務部コンプライアンス推進室の人員を、他部署職員の配置転換や臨時職員の増員にする補正予算をあげてこられると総務部長が述べておられました。つまり、市職員は本件の庶務を行ってはならないのに、庶務等を行うことを前提に人員増強を行うということです。これが執行されれば法律違反の恐れさえ生じます。

またもう一点、今回の第三者調査委は「いじめ、自殺、自殺前後の学校及び教育委員会の対応について、再発防止に関する提言を行うこと」という目的を持っています。
しかしながらこの報告書に関しては、「市長は、報告書を公表したときは、市長の権限の範囲内において、報告書の内容を踏まえ、提言を実現するために必要な措置を講じるよう努めるものとする。また、当該措置を実施する権限が教育委員会の権限に属する場合、市長は、教育委員会に対し、当該措置を講じるよう要請する」ということです。
教育委員会の問題点を調査するのにも関わらず、調査委の提言について市教委に対する強制性はなく、それを講じるかどうかは任意であるということのようです。
これならば、調査をする必要性はないように思います。単に調査して提言を出してもらっても、警察や裁判がすでに行われている中で、新しい事実が出てくるならばまだしも、税金400万円を使って、重ねて調査する必要性もないし、調査委が出してくる提言についても市教委がやるかやらないかはわからないというものです。
ここで、地方自治法第202条の2の「附属機関」の制度を用いて、市と市教委にまたがる形で附属機関を設けて、提言を出してもらうならば、こうした問題も解決できたと思うのです。

訴訟を受けている市長が、私的諮問機関を設けて限定的に調査し、そして出てくる調査結果は裁判には関係ないことがらとし、さらに出てくる提言について市教委が実施するかは任意であるという、この調査委員会は一体何のために設置するのだろうか」という最初の疑問に戻ります。


当然、ご遺族のためにも調査をして真相解明していくことを強く期待しますが、この調査委員会ではしっかりとした調査ができるのか、甚だ疑問です。

今月25日に第1回目の第三者調査委員会が開催されるということです。
原則非公開なので、傍聴は控えたいと思いますが、今後は調査委員会で調査にあたられる専門委員の皆様にも期待していきたいと思います。



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