なぜ草津市は支所統廃合が実現できたのだろう?

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 草津市は13あった支所機能を、昨年4月に草津市役所本庁舎に全て統合されました。
 すごいです。

 なぜ、そんなことができたのだろうか?と考えてみました。
 以下すべて私の仮説です。ただし、綿密な調査や分析をした上での仮説検証です。


 【1】市域がせまい。そしてコンパクトシティである。
 
 これが一番大きな理由だと思います。草津市は旧の草津村の区域と、新しく新住民が移住してきた南草津エリアに大きく分かれると思います。それぞれ草津駅、草津市役所、南草津駅を中心に非常にコンパクトな街です。
 そして市域は大変狭いです。大津市の面積が464キロ㎡に対して、草津市は67キロ㎡です。単純に縦8キロ、横8キロ。ちょうどその真ん中あたりに草津市役所があります。そして、その周囲2、3キロにほとんどの住民が住んでいます。詳しくは調べられていませんが、感覚的には草津市の人口の8割前後が草津市役所から半径2、3キロ圏内に住んでいると考えられます。
 


 もちろん狭くて、行政機能へのアクセスがよければ、そこに行きます。
 そのように考えると、もともと草津市は大津市以上にきめ細かい支所配置を行い、行政サービスを提供していたと考えられます。


 【2】行政が学区まちづくり協議会に対して積極的な支援をしている。
 
 草津市は支所統廃合、公民館のコミュニティセンター化に伴うまちづくり協議会への委託に向けて、充実した支援を行ってきました。これは最近なんどか書いた記事にもある通りです。
 行政が一方的に行政サービスを切り捨てるのではなくて、地域に寄り添い、まちづくり協議会などの団体育成や地域活性化に取り組むと共に、時間をかけて、物事を進めてきました。そうしたことが、住民や議会の理解を得られたのだと考えられます。
 また最近では、新たなまちづくりの担い手を育成しようと、地域ポイント制度の運用も試験的にはじめられています。なけなしの設立準備金を出して、あとは一括交付金を出して終わろうとする大津市とは、その姿勢が大きく違うように感じるのは私だけでしょうか。


 【3】若い世代が多い。

 草津市は平均年齢が42歳くらい。大津市は45歳くらいです。
 そんなに開きはないように感じられますが、これは市全体の話で、特に南部や北部に行くと、平均年齢は50歳くらいになるのではないでしょうか。
 しかも新住民が多い草津市は自分たちが第1世代である世帯も多いと考えられます。これに対して大津市では瀬田や平野、大津京などの一部地域を除けば、何世代もその地に住んでいる関係上、親や祖父母、親族も近くに住んでいる人が多いように思います。そうなると、平均年齢は50歳以下であったとしても、その親世代は後期高齢世代です。公共交通網がどんどん貧弱になる中、さらに支所が遠のいてしまうことに対して、懸念を抱いても仕方ありません。
 草津市が比較的スムーズに支所統廃合ができたのは、新住民が多い、若い世代が多いということも大きな要因だと考えらえます。


 【4】激変緩和の対応がなされた。

 草津市ではまちづくり協議会の設立、そして運営支援を数年してから、支所機能統廃合、公民館のコミュニティセンター化に伴う指定管理がはじまりました。このタイムラグは準備を整えるのに必要な期間だったと考えられます。
 また、コンビニがない地域(山田など)には、期間限定で支所機能が残されました。
 さらに、縁辺部とも言える地域(常盤など)には、必要な配慮があったと聞きます。
 市役所から遠い地域や、コンビニなどがない地域に対して、激変緩和措置がとられたことは住民の理解を進める上で、適切な対応だったのではないでしょうか。


 【5】市長に対して市民の信任が篤い。
 
 草津市長選挙の直近のデータを見ると、橋川市長の得票率は64%余り。
 ちなみに大津市長選挙では市長・越の得票率は42%です。
 隣接市ということもあり、また私の母親が草津市出身ということもあり、比較的人的な縁も多いので、様々な人から橋川市長の評判を聞きますが、あまり橋川市長のことを悪く言う人はいません。行政職員からの評価も高く、物事の進め方もうまいように見受けられます。
 これに対して大津市は。。。
 やはり、首長が市民や議会、職員から厚い信頼を得ていると、「あの市長がいうのなら、、」ということで、心理的な反発は少ないでしょうし、交渉過程の中でバーター(交換条件)の提示なども適切になされたのではないかと思われます。(例えば、まちづくり協議会への運営交付金など)


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 さていよいよ9月議会が来週月曜日(9月3日)に開会します。
 今回の議会においても、一般質問で市民センター機能等あり方検討に関しては取り上げたいと考えています。本当は時間無制限で、納得いくまで質問をしたいと考えていますが、制度上、それはできません。この間、市民意見交換会などはなされてきましたが、議会との意見交換会はなされていません。
 また大津市議会では、公共対策特別委員会というものが立ち上がっており、そこに所属していない議員は、なかなか意見を公式に行政に伝える機会が少ない状況で、一般質問の時間を割いて充てるしかありません。本来、私も議員全員協議会などが開催されて、納得できるまで意見を伝え、問題指摘をしたいのですが、それはできません。本当に残念です。なんとか市民の皆様、私を支えて下さっている皆様の力になれるように、議会の中で、活動をしていくしかありません。頑張りたいと思います。

 ところで、議会局を通じて、全国中核市の支所等運営経費の回答が届きました。
 以下の通りです。ちなみに奈良市や岐阜市、和歌山市などは、維持管理経費や職員人件費の全部または一部が含まれていないとのことなので、比較対象から外しています。
 行政側も同様に他都市へ照会をかけて、数値を集めたと思うのですが、一体どのようにして、それら自治体の正確な数値を把握したのでしょうか。不思議に感じています。





フジイテツヤ




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