市民センター機能等あり方検討に関する「事業レビュー」結果に異議あり。

ホームブログ>市民センター機能等あり方検討に関する「事業レビュー」結果に異議あり。



 台風が立て続けに日本列島を襲い、滋賀県でも被害が出ました。
 被災された方々に心からお見舞い申し上げますと共に、一刻も早い復旧を祈念願します。
 私も地域を回らせて頂き気付いたことや、市民の皆様からの要望等を行政機関にお伝えしています。業者さんもフル稼働で取り組んで頂いている所であり、感謝申し上げます。

 ところで先日、「大津事業レビュー」が行われました。
 「事業レビュー」とは、かつて日本で一世を風靡した「事業仕分け」に近いもので、行政が行う事業について必要か、必要でないか、見直しが必要かなどを、判定していくものです。大津市では市民意向を反映するために行われており行政評価システムの一部だと思われますが、全体の中でどのような位置づけなのか明確ではありません。

 大津市版事業レビューの特徴は、有識者とされる「審議員」が、市長ら執行部の説明に対して質問を投げかけ、その質問を通じて得た情報をもとに、公募市民が評価するというものです。
 問題点は、有識者と市長ら執行部との意見交換に基づく評価なので、どうしても審議員の人たちの立ち位置、基本的考え方によって、評価が流されてしまうことにあると考えます。
 先日、行われた事業レビューでは、大津市の行政改革推進委員3名と構想日本という事業仕分けをかつて行っていた団体から推薦された2名の合計5名が審議員となりました。基本的に皆さん、行政改革推進の立場です。もちろん有識者の皆さんは、市長の意を汲んで行政改革を推進しようと質疑応答をするわけで、与えられた仕事を果たしているにすぎませんが、客観的に見ると、ヤラセというか、市長の持っていきたい方に評価を誘導することが可能であるような印象を抱きます。
 今回は、コーディネーター・司会を務められた逗子市職員(石井聡氏)は、比較的中立を保とうとしておられたように感じられますが、名古屋市職員(佐藤幹子氏)は誤った認識の下、自分のまち(名古屋市)のことはさておき、大津市では無駄に支所が多いなどの無責任な発言も多くハッキリ言って勉強不足で人選として不適格でした。
 このほか、場の雰囲気を変えようと必死に、情報を持たない支所統廃合反対の立場の一般市民に対して、食って掛かって、「感情論」や「気持ちの問題」で反対している印象を会場に与えていた弁護士(氏名不明)もいました。



 * * *

 さて、市民センター機能等あり方に関して、そうした意見交換の後に、市民評価員が判定をしました。その結果は以下の通りです。



 支所集約に賛成は26名。
 公民館のコミュニティセンター化に賛成は23名。
 現行のままに賛成は3名。
 意見なしが1名。


 そら、そうなるな!
 というのが第一印象です。あんな意見交換を見て、「現行のまま」でいいと思うはずがありません。「現行のままで良い」、つまり、支所統廃合反対者は、感情的になっているという烙印を押されています。

 そしてもう一つ問題なのが、アンケートの取り方。
 「見直しが必要」=「支所を統廃合すべき」、「公民館をコミュニティセンター化すべき」という、短絡的な選択肢となっています。

 ちなみにアンケート用紙は下記の通りです。




 例えば、見直しが必要だと思っているが、直ちに支所統廃合は必要ないのではないか?
 支所統廃合の前に、支所職員の適正配置(業務量に見合った職員配置へ見直し)が必要ではないか?支所統廃合は必要かもしれないが、社会的弱者に対する配慮措置が講じられなければならない、などの条件を付した上で、賛成した人もいるはずです。
 しかし、アンケートでは、「見直し」=「支所集約すべき」、「見直し=公民館をコミュニティセンター化すべき」となっています。数字だけ見れば、「支所集約」や「コミュニティセンター化」が圧倒的に支持を得ているように見えます。でも実際は違うんじゃないでしょうか?!!
 

 そこで自由記述欄にどのような事が書かれているのかを、確認させて頂きました。
 すると、さきほど行政が集計した数字とは少し違ったものとなりました。以下の通りです。




 
 支所統廃合に関しては、条件なしですぐにでも実施すべきという人は、32人中13人。コミュニティセンター化に関して条件なしですぐにでも実施すべきという人は、32人中21人でした。
 一方で、「見直し・支所集約すべき」と回答した人の中でも、将来的にはという条件や、まずは職員配置の合理化を図るべきなどの条件を書いた上で、賛成している人も多数いました。(32人中13人)
 つまり、行政のアンケートの作り方や集計の仕方は、不正確で、中間的な選択肢がない不完全なものなのです。


 参考として、「支所集約すべき」、「公民館をコミュニティセンター化すべき」と選択した人の自由記述は以下のようなものでした。


「支所の集約化をすべき」を選択した評価員の自由記述一例
◯支所は単に証明書の発行だけではなく、あらゆる地域の相談も受けている。マルチな対応をすることで、高齢者や社会的弱者の方のソフトな面でのサポートをしている。支所のはたしている役割を軽くみすぎではないか。
◯支所にいて、地域をよく知る市の職員を残していくことは必要ではないか。
◯支所の開庁時間等を工夫(短時間化)してもいいのでは?順次すすめていくと、今以上に多様な問題把握できると思う。
◯質問したことの回答が適格にできなかったことがあるので、単純集約ではなく、集約することでの職員の充実という事も考えてもらいたい。(原文ママ)
◯便利に支所・センターを利用している人達は、不便になる事は何かと理由を探して反対しているようです。しかし敢然と勇気を持って、未来を生きる子供達の為に負債を残さずに、越市長の考える「あんしん長寿相談所」事業を実行してください。一部の人の意見に左右される事はありません。選挙で選ばれた人を信じています。頑張れ、市長!!
◯お金を減らすために、1人の人件費(給料)を減らそうと考えるのは違うのではないかと思います。(見直すことはしかたないのかなと思います)
◯市民センター内の業務を減らせば人員を減らし人件費の削減を図ることができるのではないか。
◯支所を出張所扱いとし週一回程度窓口業務を行うようにすれば良いのではないか。
◯機械が苦手な高齢者の方々等の証明書の発行や行政手続きが巡回だけで対応できるのかはかなり不安。
◯Qあんしん長寿相談所の設置費用は?A分からない。効果が分からないと判断できない。
◯支所機能は不要。ただし、反対意見を反映した代替手段は要検討。調査不足が否めない。収支の推移、反対意見の吸い上げ。
◯センターを減らす前に、人件費などの経費を見直すべき(そのあたりが不透明→削減努力)
◯センター毎の地域を知る職員じゃないとたよりにならない(責任とれるの?)
◯正直、対応が悪い人もいるので人件費をまずは減らしてほしい。
◯車による移動相談、手続きを行えるようにする。(支所機能を備えた上で)


「公民館をコミュニティセンター化すべき」を選択した評価員の自由記述一例

◯地域でまちづくり協議会をつくるというが、自治会の力も弱まる中、誰がひきうけていくのか。崩壊してしまう地域もあるのではないか。
◯地域によって運営方針がバラバラになり、平等性がたもてないのでは。
◯自治連合会中心の運営になれば、コミセンの職員は、自治連合会の事務局と化してしまうのではないか。
◯コミュニティセンターになったら、こども食堂とかも出来るのではないかなと思います。



 以上が、自由記述欄に記載された事柄です。
 単純に支所集約に賛成しているわけでもなく、コミセン化に賛成しているわけでもないことが分かります。行政が用意した選択肢に、評価員が選びたい選択肢がないのです。

 コミセン化に関しても、コミセン化しなくても(つまり、公民館のままでも)実施可能な「こども食堂」についても、市の説明や審議員の意見などによって、誤った情報を市民評価員に与えてしまっています。  
 
 これらを確認した上で、今回行った 市民センター機能等あり方検討に係る事業レビューの集計結果に私は異議を唱えます。
 
 「日本は順調に勝ち進んでいる。勝利も目前だ!」と国民が騙されていた戦時下の日本では、誤った情報によって、国民総動員で、生命も財産も犠牲にして闘い、あとには何も残りませんでした。
 もし、大津市行政が誤った情報や、印象操作、市民意向誘導によって、物事を進めようとするならば、取り返しのつかないことになります。

 議員である私に出来ることは、正しい情報を、議会やブログ等を通じて、市民の皆様に発信することだけかもしれません。その結果、市民の皆様がどのように判断するかは皆様に委ねたいと思いますが、議会や議員の存在意義は、行政におもねらず、悪政を正していくことだと思っています。
 9月通常会議も始まりました。
 一般質問でも、市民センター機能等のあり方検討に関しては取り上げます。
 

フジイテツヤ






▲ページのトップへ