64%多数決ルールと憲法改正発議。

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 大津市議会6月議会も終わり、普段通りの生活に戻ると思いきや、現在は参議院議員選挙の真っ最中です。7月10日の投開票日に向けて激しい戦いが全国で展開中で、此処滋賀県でも日夜戦いが繰り広げられています。ご関係者の皆様におかれては大変暑い毎日ですのでくれぐれもご自愛下さいますように願っています。

 今回の選挙の争点は、世間一般的には経済対策(安倍ノミクス)に対する評価という向きが中心的ですが、けっこう論点として見えてこない部分があるように感じています。
 それよりも個人的には、「憲法改正発議」がなされるかが、一番のポイントだろうと思っています。

 「憲法改正」の手続きは、衆議院・参議院両院で2/3の賛成があり、その後に国民に対して憲法改正の国民投票の発議がなされ、国民投票の結果、投票者の過半数が賛成すれば、憲法が改正されるというものです。他国に比べれば格段に憲法改正のハードルが高い日本の仕組みは、言わずも知れた第2次世界大戦後の占領期につくられた日本国憲法に規定されている独自の成り立ちゆえのものであるからです。

 衆議院では既に与党(自公)が全議席の2/3を占めており、参議院でも改憲に賛成意向の4党(自民党、公明党、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党)が、今回の参院選で改選される121議席のうち78議席(64%)を確保すれば、いよいよ3分の2に到達することになります。

 憲法改正発議そのものを反対する向きがありますが、私は発議自体は問題ないと思います。
 それよりもこの際、現行の憲法のままでいいのか悪いのかという国民の意思をしっかりと確認しなければならないと思います。
 日本国は、国民主権であり、議会主権ではありません。議会は確かに重要な意思決定機関ですが、国民や市民から審議を託されているにすぎません。あくまで国や自治体の方向を左右する事案については国民・市民の意思を問う判断をすべきだと思います。
 
 そうした点から言えば、国民投票そのものへのハードルが高すぎる日本の憲法を変える必要があるように感じます。せめて衆参両院の過半数の賛成で、国民投票の発議を起こせるようにしてもいいのではないでしょうか。その代わりに国民投票による憲法改正は、投票者の2/3以上を要件にしてもいいかもしれません。


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 「64%多数決ルール」というものが存在します。数理的に見て「64%」を獲得すれば、どういった場合でも逆転が生じないとするラインとされます。(仮にA、B、Cの3案を二組ずつ投票にかけたとき,A>B,B>C,C>Aというサイクルが生じないための最低得票率が数学的に63.2%と計算されている)
 
 例えば、大津市長選挙では、越さん、蔦田さん、川本さん、川内さんが立候補しましたが、仮に川本さんが出ずに実質的に越さん対蔦田さんの戦いになっていたらどうなっていたでしょうか?
 そうなれば、蔦田さんが勝っていたかもしれません。
 こうした逆転現象が生じないラインというのは、「64%の得票率」というものです。
 (ちなみに越さんの得票率は42.1%だったので、落選した候補者間で調整すれば、十分に逆転できた数値だったと統計的には考えられます)

 国政選挙の場合、選挙制度が複雑で、「得票率」がそのまま「議席数」とリンクするわけではないのが問題です。

参議院選挙2013年得票率と議席数


 2013年に実施された参議院選挙結果を見る限り、自民党は全国比例得票率と実際に獲得した議席数(選挙区議席を含める)の間に、大きな開きがあり、これは公明党も同じことが言えます。
 しかし自公が緊密に選挙協力を行い、選挙区において公明党が自民党候補を全面支援したことを考えると理解できます。
 逆に野党側はのきなみ、全国比例票の獲得率よりも議席が少なかったことは、与党が行っている選挙区での候補者調整が野党間ではうまくできなかったということが言えます。
 ここで選挙制度についての議論をしだすと脱線しますのでこの議論はここで止めておきます。

 
 いずれにせよ、衆議院選挙で見られるほど「獲得票数」と「獲得議席数」の乖離が参議院選挙では生じないことを踏まえると、今般の選挙で与党(+維新、日本こころ)が「64%」に相当する議席(78議席)を獲得すれば、ちょうど憲法改正発議ができる議席数となります。

 前回2013年の参議院選挙では、自公が合わせて76議席を獲得しました。
 2013年ほどの勢いがないにしろ、自公合わせて70議席前後は獲得するはずで、これに維新の前回獲得議席(8議席)を足すと、ちょうど改憲に必要な78議席となります。

 今回の争点は私は、この問題だと思っています。
 日本を取り巻く情勢を考えると、憲法9条は理想としては尊重すべきで文言は国民的な議論が必要だと思いますが、見直しが必要だと思います。
 その他、憲法における「地方自治」の規定が不十分であり、今後の地方創生・地域主権の重要性を考えると、この点のおいても加筆が必要だと感じます。


 さて今回の選挙における私の態度ですが、選挙区では小鑓氏を、全国比例ではかつてお世話になった渡辺喜美氏を応援しています。


 
大津市議会議員 藤井哲也拝








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