現在の日本国憲法に対する私見。(特に第9条について)

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おはようございます!
滋賀県の大津市議会議員、藤井哲也です。

一昨日は日本青年会議所主催の「憲法タウンミーティング」に参加し、昨日は「憲法記念日」でした。


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(憲法タウンミーティングの模様)


県内大学生の日本国憲法に対するご意見を伺う中で、私もあらためて最高法規である日本国憲法について考えるキッカケとなりました。


【第9条】
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


現在というか第二次大戦後もっとも議論されてきたのがこの第9条だと思います。
安倍政権になり集団的自衛権を巡る議論が活発になるにつれて、集団的自衛権を認め、そして憲法の矛盾をなくすために改憲すべきという考えが広がっています。
集団的自衛権。現実的に考えると、米国太平洋艦隊に対し中国が攻撃を仕掛けた時、日本が参戦できるようにすること。または韓国に対して北朝鮮が陸路侵攻する場合、日本が参戦できるようにすることなどが挙げられると思います。
中国と北朝鮮を仮想敵国にすることを問題視される人もいると思いますが、改憲論議を行う際は、机上の空論よりも現実的な脅威を考えて想定すべきです。

議論では三択あると認識しています。
つまり、①「改憲して集団的自衛権を認める」、②「改憲せず、解釈変更により集団的自衛権を認める」、③「改憲せず、集団的自衛権は認めない(個別的自衛権のみ認める)」というものです。

また①②の中にも集団的自衛権の範囲を、いわゆる「シーレーン(原油等の通り道)」確保のため世界の裏側まで広げる派と、極東地域に限定する派があります。

この問題を考える際に必要なのは、国家のビジョンです。
つまり30年先、50年先、100年先くらいまでを見越して、日本国民の生命、財産、自由をどのように守るのかというビジョンです。そのためのシミュレーションもしなければなりません。

ほぼ確実なのは日本国が相対的にスマートパワー(軍事力+ソフトパワー)が減退するということです。消費人口減少、生産人口減少は総合的な国力の低下を招くことはほぼ確実だと思います。

中国は2030年代半ばに人口減少が始まるとされていますが、経済規模は米国の2倍、3倍になると予想されています。航空母艦や原子力潜水艦の配備も着々と進めており、ハードパワーは高まるばかりです。

北朝鮮は予断を許しません。極東地域がいま平和なのは、皮肉にも金体制が維持しているからであり、北朝鮮国民の精神的犠牲により、中国と米国の緩衝地帯となりえているからだと私は考えています。

歴史上、もっとも平和だったのは「冷戦期」であるとも言われています。
つまり力が均衡している状態のときは平和であるという考えがあり、安倍首相が言う「積極的な平和主義」というのは、中国の台頭により均衡を損ないつつある極東地域のパワーバランスを日本の軍事力を高めることで均衡に保とうとするものです。これによって安全保障を確保しようとの考えです。

しかし力の均衡による「冷戦状態」の創出は、非常に微妙な状態です。
米国の極東地域におけるスマートパワーは相対的に減少するとされており、また二方面作戦(欧州・イスラエル方面)をとっている以上、直接的に国家の安全保障に影響を及ぼさない極東地域は優先度は低いとも言えます。そうなったときに日本が極東地域において均衡を保とうとするならば、手段は限られます。つまり「核武装」です。
おそらく20年後、30年後には確実にこの問題が議論となるはずです。

日本人の多くが中国人に対していい印象を持っていないのは、各種調査でも明らかです。
古来、日本は中国から多くのことを学んできました。いつからこのような意識に転換したのかはわかりませんが、中国国家が「ノブレスオブリージュ」とも言える尊敬される国にならない限り、日本人の感情はかわるものではないでしょう。20年後、30年後もおそらくいまより対中感情はよくなったとしても、良好となることはないと思います。(理由を書くと長くなるので控えます)

以上、今後20年・30年のことを想定して、国民の生命・財産・自由を守るために今なにが必要かを考えてみると、私としては苦渋の選択として上に挙げた②「改憲せず、解釈変更により集団的自衛権を認める」がベターではないかと思います。

関係諸国(米国も含む)を警戒させることなく、競争的なパワーポリティクスに陥ることなく、現実的な事態に備えて実利をとるのは私はこの選択肢が最も良いと思います。
また、シーレーン確保は重要ですが、現実的に考えると、日本の軍事力ではインド洋やペルシャ湾にまで海上自衛隊などを展開する力は持っていませんし、今後もそのような余力を持てる財政基盤を維持できないと思います。そう考えると、国連常任理事国入りを目指すなどして、ソフトパワーを高めると同時に、東南アジアやアフリカ、南米などに経済支援を継続して行い国際協調を図りながら、極東地域においては有事に対応できるように法整備を進め、防衛力を高めるのがベターだと考えます。

以上私の意見です。所属政党の考えとは一致しないかもしれませんが。


そのほかにも憲法には第25条などが議論の対象だと思いますが、スペースの関係で割愛します。機会があればまた書きたいと思います。


大津市議会議員 藤井哲也拝






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