地方公務員給与カット。

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おはようございます!
大津市議会議員、藤井哲也 です。

昨日と本日は、「自治体財政の見方」という議員研修を受けているところです。
財政健全化法を正しく理解し、大津市においても財政状況を正確にモニタリング・評価できるように勉強して参ります。

また今週の動きですが、国の緊急経済対策が実施されることとなり、地方に及ぼす影響について情報収集を進めています。
緊急雇用対策事業については、県職員が国にヒアリングに行った(行く?)そうで、その他 公共事業投資関係等も慌ただしくなっているように見受けます。
来週くらいにかけて様々な事業が明らかになってくると思うので、引き続き情報収集にあたり、また中央とのパイプも生かして地域に生かせる政策がないかいち早く情報キャッチできるようにしておきたいと思います。



ところで、麻生財務大臣が15日に行われた「国と地方の協議の場」で、地方公務員の給与を国家公務員並みに平均7.8%引き下げるように要請しました。
TVで、山田京都府知事がこの養成に反発していたのを見ましたが、それ以外に新聞やネットで全国各地の首長が「地方は独自の努力をしてきた」と反発しているようです。

国と比べてどうかという以前に、その地域の民間企業と比べて給与が高いか安いかが論じられるべきだと思います。


【地方公務員法】
第二十四条  
1 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。(職務給の原則)
3 職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。 (均衡の原則)



上記は地方公務員法の規定です。
公務員の給与の決定については、職務と責任に応じるものでなければならないとされており、いわゆる「職務給の原則」とされています。
つまり、仕事の内容によって給与は決定されるものという意味です。
また、給与決定に際して考慮すべき事情としては、国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者とされています。

また国家公務員給与は、労使間交渉によって給与等を決定するものではなく、第三者(人事院)が報告や勧告をすることで決定され、地方公務員においては、人事院勧告を参考にして実施される、都道府県や政令市等に設置された人事委員会が知事や市長に勧告等を出し、その内容を踏まえて知事や市長が給与決定するものです。


少し余談になりますが、この「人事院」については、いろいろ問題があります。私なりに3点に問題点を絞るならば以下の通りです。

【1】人事院や人事委員会は事実上、第三者ではない。
 歴代の人事院総裁を見ても明らかですが、幹部公務員が就任するのが慣習となっています。また都道府県の人事委員会も第三者機関とは程遠い存在です。そうした言ってみると「身内」が自分たちの給与について勧告等をしても甘くなるのは必然な気がします。

【2】民間給与実態調査が恣意的。
「職種別民間給与実態調査」(通称「民調」)が行われているが、様々な点で恣意的といえる。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」や国税庁の「民間給与実態統計調査」などを以ってそのまま民間平均とするのは流石に困難があると思うが、地域の優良企業を中心に、また規模も大きめのところばかりを抽出して、民間平均とするのは問題がある。

【3】民間とは給与決定要素と差異が生じてきている。
「民調」自体、戦後間もなく制度化されたものであり、2000年頃より普及してきた民間の「成果主義型人事制度」に、現在の公務員給の「職務給」制度は、追いついていない。
つまり民間は成果主義型の人事(役職、給与等)にも関わらず、公務員は能力主義型の人事である。



これら問題点を踏まえて、私自身は現在の人事院勧告や人事委員会勧告をそのまま受け入れる形での公務員給与決定には反対であり、ましてや今回の麻生財務相発言のように「国家公務員が7.8%削減だから地方公務員も7.8%下げろ」という考え方にも反対であります。比較すべき対象は国家公務員ではなく民間事業者だと思うからです。
地域の民間企業の給与実態を正確に調査し、また結果を比較・反映させることによって、地方公務員給与は自民党が述べる7.8%削減どころか、もっと大きな削減になると私自身は思っています。

はっきり申して現在の地方公務員給与はその仕事内容からして高すぎると思います。給与だけではなく「地域手当」やら各種手当も非常に充実しています。
公務員の人たちからすれば「これ以上下げられたら厳しい」と感じるかもしれませんが、本当にそう思うのであれば、ぜひとも民間企業に転職してもらえればと思います。きっと、よほどそちらの方が厳しいと実感されるでしょう。退職金、年金も含めて現状では公務員は優遇されていると言え、正直おいしい職業だなと思います。

とはいえ、これを契機に地方公務員給与の見直しが議論されるのは良いことだと感じます。
その第一歩としてならば、7.8%削減もありかもしれません。
よく公務員給与を下げると「デフレ」になると言う人がいますが、貯蓄率が高い公務員の給与に税金をまわすか、消費性向が高い生活困難者や再投資による経済活性化に税金を使うのか、どちらが地域経済にとって、消費活動にとってプラスなのかは申すまでもありません。


大津市議会議員 藤井哲也拝



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