11月通常会議では補正予算案とガス事業官民連携化議案に反対!

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 いまだに前記事の衝撃の余韻が私の中で続いています。市議会が全員一致で可決させた市長に対する決議を踏まえた対応(市長に情報提供を求め、説明責任を果たすこと)を市議会もとっていくべきではないでしょうか。
 ➡全員一致で可決した「決議」


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 11月通常会議では、最終日に議案に対する討論及び採決を行いました。
 今回も多くの議案を審議したわけですが、とりわけ重要性が高い議案として「ガス事業の官民連携化」と、「教育長人事」、そして「補正予算」が挙げられます。
 私は迷いに迷った結果、「ガス事業の官民連携化」と「補正予算」には反対し、「教育長人事」には賛成しました。最後の最後まで迷い、とくに「教育長人事」は市長に対する質疑をしてから最終的に態度を決めました。本記事では、「ガス事業の官民連携化」と「補正予算」に対する反対理由を、討論文を掲載することでご報告させて頂きます。




「議案討論」

 まずは、議案第133号「平成30年度大津市一般会計補正予算(第6号)」に対して反対の立場で討論を行います。
 今議会に提出されている一般会計補正予算の内、新たな保育施設整備に要する1億4千万円の部分につきましては、「その目的を達成するために必要かつ最少の額であるべき」という地方財政法の趣旨に照らして考えた場合、他に講ずべき手段があると考えるものであります。

 予算常任委員会 教育・厚生分科会における審査において、「既存園からは“保育士が確保さえできれば、追加で児童を受け入れられる”と聞いている。その数は正確に精査できていない」との答弁がありました。
 そこで、あらためて本年10月時点における市内保育施設の入所状況を確認・精査したところ、たしかに保育士さえ確保できていれば、今回施設整備を検討されている市中南部地域では60人から70人以上、中北部地域でも60人から70人以上、東部(瀬田)地域でも20人以上の入所枠があることが分かりました。保育士さえいれば今回追加で計画されている施設整備は必要ないのかもしれません。
 これに対して、「市としては保育士確保と保育士施設整備の両方を進めているのでご理解いただきたい」という趣旨の答弁がされましたが、既存保育園の入所定員の空き枠を無駄にしないことを優先した施策を進める方が、やはり市財政にとってより経済的だと考えるものです。そうしたことから市議会としては本補正予算案を否決し、適切な予算編成をあらためて市長に促すことが必要だと考えるものです。

 つづいて議案第149号「大津市水道事業、下水道事業及びガス事業の設置等に関する条例及び大津市ガス供給条例の一部改正」、議案第171号「公共施設等運営権の設定」の2議案は関連しますので、合わせて反対の立場で討論をさせて頂きます。
 本件は、本市が設立した「びわ湖ブルーエナジー株式会社」の株式のうち75%を大阪ガスなどに売却し新たに新会社に公共施設等運営権を設定しようとするものです。この間、ガス全面自由化などの環境変化があり、今後の本市ガス事業の安定運営の観点や、市民負担を増やさないという観点からも、民営化の方向性については一定理解するものです。
 しかしながら、本会議や委員会での審査状況を踏まえ、なお執行部における検討の余地や、市議会における継続的な審査の必要性があるものと考えており、大きくは次に申し上げる2つの疑問が残っていることから反対するものです。

 1点目は、いわゆる「逆ロス」とこれまで呼ばれてきた問題です。
 大津市のガス事業ではなぜか今日まで、大津市が購入するガス仕入れ量よりも大津市が市民へ販売ガス量が多いという「勘定外ガス」が生じている不思議な状況が続いています。議員の皆さまもご承知の通り、この「逆ロス」によって年間 数億円単位の利益が生じており、ガス事業の黒字経営に大きく貢献してきました。
 仮にこの「逆ロス」による利益が、官民連携会社への移行により見直されるのであれば、このたびの収支計画はその前提が変わり、あらためて収支計画そのものを精査し直す必要性が生じてきます。事業収益性の悪化は、ガス使用料金や託送料に影響を与えることとなり、市民生活や大津市財政に与える影響も出てきます。こうした問題について、執行部内における検討や議会での審議の余地が残されているものと考えます。

 2点目は、収支計画によると、びわ湖ブルーエナジー株式会社の今後20年間の総営業利益は9億7500万円であるにも拘わらず、大阪ガスの株式買取り額が90億円とされている点です。
 この話は90億円を得る大津市にとってはありがたい話なのですが、逆に大阪ガスにとってみれば90億円を投資する事業であるにも拘わらず、20年間で見込んでいる営業利益が投資額のたったの10分の1、ROI(リターン・オン・インベストメント)で言えば、10.83%という投資効率が非常に低い事業であるということです。ちなみに公募に手を挙げたもう一社の評価額は27億円と考えられ、90億円の3分の1以下の株式評価しかされておりません。
 例えば、大津市の水道事業も近い将来、びわ湖ブルーエナジーが官民連携で担うような話があるのであれば分からないでもありませんが、そうした話は現在、議会には上がってきていませんし、また仮に市内10万世帯以上の電力小売り市場を評価したものだとしても90億円に上る投資を回収できるかは市場原理からしても未知数です。
 なぜ、大阪ガスは客観的に見て不自然に感じるほどの投資をしてまで当該コンセッション事業に参画しようとしているのか、収支計画策定の前提や計画の実効性とも関わってくる市場性評価に素朴な疑問を感じています。

 委員会の議事録も拝見し、自身で追加的に調査も行ってきましたが、以上取り上げた疑問などを払拭することができておらず、果たして提案されている収支計画は妥当であるのか結論を導き出せていません。
 そうしたことから、両議案については一旦を否決し執行部にさらなる説明責任を果たして頂いた上で、収支計画案に対する妥当性をさらに検証し、より多くの議員の賛同を得てから事業推進をして頂くべきものと考えます。
 以上のことから、議案第149号ならびに議案第171号の両議案に反対いたします。

(以 上)

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 補正予算で根拠に挙げた市内保育施設の本年10月1日現在の入所率は以下の図の通りです。公立保育園や新設民間保育園を中心に、保育士さえ確保できれば、さらに子どもを受け入れられる状況にあります。多額の費用をかけてハード(保育施設)整備をする前、やるべきことがあります。





 
フジイテツヤ






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