[一般質問解説①] 大津湖西台について

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 年内に11月通常会議関連のご報告は全て済ませておきたいと考えており、一般質問の質疑応答・解説文を一気にアップしていきます。

 最初は「大津湖西台」についてです。
 大津北部・西北部地域の活力の源泉とされる「大津湖西台」は、大規模宅地造成をこれまで2回検討してきた(株)大林組がその開発を断念したことから、大津市へ土地の無償譲渡を打診されています。これまで2年程、無償譲渡に向けた協議が進められてきましたが、現在は膠着状態にあると言え、伊藤副市長が大津市を去ってからは、玉井義文部長が窓口となって対応してきているものの、協議や検討は平行線を辿っているようで動きが見られません。
 (株)大林組が平成31年度の早い段階を交渉期限として設定し、この交渉期限を意識した取り組みが期待されるところですが、大津市はそれでも動きが非常に鈍い状況です。私自身は、卓司としての需要は少ないかもしれないが、立地条件を考えると事業用地(産業・商業用)としてはニーズがきっとあると考えており、90ヘクタールという用地を生かした、市北部地域活性の起爆剤として、投資対効果が見込めるのであれば、早期に事業着手すべきだと考えております。
 前回市長選においても、越さんは大津湖西台事業は進めていきたいと述べていました。しかしながら、現状をみるととてもそのようには思えません。断る理由探しをしているフシさえ感じます。実際はどうなのか質疑を通じて探ってみることにしました。




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問(藤井哲也)
 真野と伊香立エリアにある大津湖西台の開発に関しては、市西北部7学区自治連合会協議会や大津北商工会などが地域発展の起爆剤として事業着手を強く要望しており、私自身もそうした地域の強い要望の声を受けて、2014年以来、過去6度にわたって本会議一般質問で取り上げてきました。また、私以外にも会派を超えて多くの議員が一般質問で取り上げてきたところです。明日には西村議員が、直近では津田新三議員が本年9月通常会議一般質問で取り上げられましたが、その内容は「平成31年度の早い時期を交渉期限として株式会社大林組との間で課題を共有し、用地取得に向けて課題解決に向けて鋭意動いているところである」との答弁でありました。
 実際に大津湖西台事業を走らせようとすれば、隣接土地所有者からの用地取得費や土地造成費、道路等整備費などが必要となり、数十億円規模の大規模な土地開発事業になるものと考えられます。逆に、土地所有を受けず、大津湖西台事業を断念した場合も、施設整備負担金の返還や追加の地区環境整備事業などで数億円から十数億円規模の出費が必要になってくるのではないかと思われます。
 しかし、本市も越市長も、都市計画マスタープランで明らかにしているように、大津湖西台開発事業が大津市北部地域の活力の源泉となる可能性がある、勝算があると本気で考えているのであれば、決して少なくない投資経費とはいえ、それ以上の経済効果、経年的な波及効果を狙って、いよいよ事業着手を決断すべき時期に来ているのではないかと考えます。
 そこで、湖西台事業に関して、以下数点にわたって質問を行います。

 かつて公文書公開請求により2014年度から2015年度にかけて行われた庁内検討会議の資料を確認したことがあり、そこには粗削りながらも費用便益分析の調査結果というものか、概算経費や経済効果が記された調査結果が含まれていたことを記憶し、一部をメモに残しています。その調査結果や大林組が行った市場調査を用いた庁内検討協議を経て、株式会社大林組との交渉を開始された経緯からすると、本市はやりようによっては大津湖西台事業は赤字事業にはならない、地域の活力の源泉になり得る事業と総合的に評価したものだと考えています。
 そこで、まずは2014年から2015年度に行われた庁内検討会議における大津湖西台事業の費用便益分析に類する調査結果の詳細内容及び株式会社大林組による湖西台事業の市場調査結果に対する評価を伺いたいと思います。

 また、用地の無償譲渡を受けるかを判断するに当たって、株式会社大林組でも課題解決に向けた仮登記移転などの作業を進めていただいているところでありますが、本市でも交渉期限までに地域の発展の観点や市民、行政にとって本当に収益性がある事業かどうかを改めて検討しておく必要があるように考えます。大林組から用地譲渡を受けてから費用便益分析を進めていると、それだけで1年、2年くらいの年月はあっという間にかかってしまいますし、仮に経済性が低いことが明らかになれば、譲渡された土地の利活用もできずに塩漬けになってしまうのではないでしょうか。譲渡を受けるかを判断するために、本市としては独自に最新の状況を加味した費用便益分析を行っておく必要があると考えます。
 私としましては、これからも進む人口減少社会にあって、新たな住宅ニーズはそれほどないように考えますし、近隣にあるびわ湖ローズタウンなどの状況を見る限り、新興住宅の整備には疑問があります。一方で、決して景気がよくない時期にびわこサイエンスパーク事業用地が市職員の頑張りもあって早期完売したことを考慮すれば、人工知能やIoT、医療、バイオに関する産業が世界的にも急速に拡大、成長している中で、都市圏近郊にあり、産学連携もしやすく、幹線道路網整備も現在進められておりますが、また新たにオープンする堅田駅西口にも近い環境にあるなど好条件を踏まえ、産業用地、事業用地としてのニーズはあるのではないかと考えています。
 これまで本市では、公営ガス事業や公設地方卸売市場のほか、大津びわこ競輪場跡地、大津駅前中央大通り、なぎさ公園などの土地利用に関して、市場性があるかどうかをある程度具体的に探るため、マーケットサウンディング調査を積極的に行ってきました。大林組から譲渡を受けるかどうかを判断する材料として、また用地の有効活用をより深く検討するためにも、マーケットサウンディング調査の実施も考えられる選択肢の一つではないかと考えるところです。
 そこで、無償譲渡を受けるための判断材料としての費用便益分析をしているのであれば、その内容を、仮にまだ行っていないのであれば、交渉期限までに行う必要性について、またマーケットサウンディング調査を通じてより具体的に検討を進めることについても見解を伺いたいと思います。

 また、来年度早い段階に交渉期限を迎えることになります。用地を取得するか、またはしないかに関わらず、その交渉経緯や結果を市議会や真野、伊香立などの関係地域へ説明することが必要と考えますし、仮に活力の源泉を失うような結果になるのであれば、市北部、市西北部地域が持続的に発展できるような代替方策を示す必要があると考えますが、見解を伺います。


答(玉井義文部長)

 大津湖西台についてのうち、一つ目の庁内検討会議における費用便益分析の詳細内容についてでありますが、この会議では、都市計画道路だけを単独で整備し、残土を場外に処分する場合、道路整備の残土を場内で利用し、事業用地を造成した場合のそれぞれについて、道路整備費、概算事業費、経済効果の検討を行っております。

 次に、市場調査結果に対する評価についてでありますが、平成28年に大林組が実施した市場調査の結果につきましては、興味を示す企業が少ないという状況でありました。費用便益分析や市場調査の詳細な内容については、大林組の申し出により公表は控えさせていただきます。

 次に、二つ目の費用便益分析の必要性とマーケットサウンディング調査についてでありますが、現在課題となる用地処理が必要な土地への対応について、大林組が示す平成31年度の早い時期を交渉期限としたスケジュールを見据え、課題解決に向けた協議を進めている状況にあります。このことから、現時点では費用便益分析やマーケットサウンディング調査を実施する段階にはないと考えております。

 次に、三つ目の交渉経緯や経過についてでありますが、大林組の申し出により公表は控えさせていただきます。

 次に、市北部、西北部地域が持続的に発展できるかについてでありますが、現在も堅田駅西口土地区画整理事業を進めているところであり、今後も都市計画マスタープランの地域別構想における地域づくりの方針に基づき、持続可能でコンパクトなまちづくりを目指してまいります。
 以上、私からの答弁といたします。

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再問(藤井哲也)
 私、事前通告で「詳細について伺いたい」ということであったんですが、趣旨ヒアリングの際にも申し上げたんですけれども、その経済効果であったりとか、どのぐらいの費用、造成費等がかかるのかについてを数値を持って教えていただきたいと考えています。

 また、現状、「交渉期限に向けて課題解決に向けた協議を進めているところ」という従前からのご説明ではありますが、それで私が何を懸念してるのかと申しましたら、再来年市長選もあることですし、関係するのかわかりませんが、無償譲渡を受けて、その後塩漬けになっていくんじゃないかなという懸念を持っています。
 もらったからには私は事業開発進めていくというふうなことが前提であるべきだというふうに考えていますので、そのためにどんだけの費用がかかるのか、そして経済性がどんだけ見込めるのかをしておかなければ、もらったけれども、本庁舎の整備じゃないですけれども、ずっと検討したままに さらに検討を加えていくということにもなっていくんじゃないかなと考えていまして、そういう検討自体が無駄になってくるわけなんですよ。なので、ある程度もう交渉期限までにはその判断材料が手元に揃えておく必要があるのじゃないかなと考えているところです。
 現状、その追加の調査についての必要性は明確にお答えいただけなかったんですけれども、その点について改めてお伺いしたいと考えています。

再答(玉井義文部長)
 湖西台の費用対効果の数字についてでありますが、こちらにつきましては先ほど答弁いたしました大林組の申し出により公表は控えさせていただくんですが、この数字、所謂もともと大林組様の測量図や、また今回現地から道路整備を行った場合には約19万の残土が発生しますので、それに伴う道路整備や残土処分地の平場の造成費用など、そのような資料関係は全て大林組様のデータを使っていると。そのデータをもとに大林組と協議をしつつ、庁内検討会議でまとめたということがありますので、具体的な数字については大林組より控えてくださいという申し出がありますので、申し上げられないという状況になっております。

 次に、3点目の今後の追加調査について、どのような見解かということについてでありますが、まず課題解決につきましては、これは以前からご答弁申し上げてるとおり、大林組の中で約60筆の土地が確定できない。いわゆる隣接土地所有者の関係で土地が確定できない土地がございます。その60筆の土地というのは、先ほども大林組様のデータに基づいて道路をつくって、残土を処分する。将来のもし仮に事業用地になる平場などに非常に点在してある土地です。
 まずはその土地が確定してないと、大林組さん自体も土地がどこにあるかわからないということになってまして、その土地を確定した上で、うちはこれからの譲渡に向けて判断をしていくということになっておりまして、まずはその課題解決をしている状況にありますので、議員お述べのマーケットサウンディングなども含めた追加調査を今する状況にはないと、そういう状況にあります。
 以上、私からの答弁といたします。

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再問2回目(藤井哲也)
 私、以前、公開請求で数字を見たんですけれども、なぜ今ここで開示いただけないのかなあというのが不思議なんですよ。費用、造成費とも40億円から100億円かかるなど記載がありましたし、なぜここで開示いただけないのかなというのは私は不思議です。既に公になってると思いますので、改めて経済性、また費用等についても伺いたいと考えます。

 それと、新たな調査の必要性がないというふうなことでありましたが、それであったらやはり判断ができないと思うんですね。受けるか、受けないか。
 受けることを判断したとしましても、それが長年にわたって5年、10年と(土地の利活用方針が決まらず)塩漬けになったら、私は全く無駄な検討がその後進められていくのじゃないかなあというふうに先ほども申し上げたとおりでありますが、やはりある程度もう追加の調査は検討はされるべきじゃないかなあと。
 先方と協議はされるというふうなことであるんですけれども、庁内での検討会議もずっとされていらっしゃらないと思うんですよ。大津市としての方針を示してからでないと、受ける、受けられないという判断さえ私はできないのかなあと思うところですので、費用便益分析、特に、私は絶対やるべきやと思うんですよ。今の世界情勢から考えたら、人口も爆発してますし、産業も一気に革新が進めようとしてるところで、しかもすごい好立地じゃないですか。絶対やるべきだと思うんです。
 40億円または100億円かかるにしても、20年、30年償還で、(年間)2億円、3億円、4億円返せばいいだけですから、それ以上の雇用であったりとか、経済波及効果であったりとか、法人税の収入であったりとかが増えるはずであったと思いますので、絶対やるべきだと思うんですけれども、そのためには費用便益分析がなされなければ判断さえできないと考えますので、現時点でされる必要がないと考えてはいらっしゃいますけれども、改めてその点についてお伺いしたいなと考えます。

再答2回目(玉井義文部長)
 費用の開示でありますが、まず文書公開にて開示をさせて頂いたその書類については、具体的な数字というのは大林組様からの申し出により開示は行っておりません。
 しかしながら、そのときに藤井議員と恐らくいろんな協議のやりとりがあった中で、先ほど言いました約19万の残土を動かし、それを場内に残土処分なりする場合には、当然これは数十億円は要するというのは一般的な中では計算ができるかなと思いますので、そういう口頭での協議というのはあったと、そのようには想定をさせていただきます。
 次に、3点目の追加の調査、費用分析やマーケットサウンディング、その調査をする必要はないが、検討はされていないのかについてでありますが、それはあくまでもシミュレーションの中ですが、大林組との協議の中では、仮に無償譲渡を受けた場合にどういう作業が今後発生するかというのは、あくまでも担当レベルの間ではありますが、そういったシミュレーション的にはさまざまな検討は行っております。
 以上、私からの答弁といたします。

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再問3回目(藤井哲也)
 最後の担当レベルでのシミュレーションなどはされていらっしゃるというふうなことでありますけれども、非常に重要な都市計画に関わる問題であります。その程度で私はいいのかなというのはすごく疑問に感じるんですよ。
 大津西北部にとっては、御存じのとおり、もう本当に長年にわたって地域活性の起爆剤になるというふうなことで要望等もさせてもらってますし、関連する議員も含めて取り上げさせてもらってるところであります。
 いよいよ来年度の初め(が交渉期限)というふうなことでありますから、もう年度内には決めないといけない時期に来てるのかなあと思いますから、しかも来年度予算も編成時期にもあるわけですから、その状況というのは私は非常にまずいなというふうに思います。市として、担当者レベルのシミュレーションじゃなく、しっかりとした検討が本来はなされなければいけないんじゃないかなあと。しかもそれが都市計画部といいますか、未来まちづくり部だけではなくて、あらゆる部署に私は関わってくる。産業観光部ももちろんですし、市民部にももちろんなんでしょうけれども、環境部もですけれども、その担当者レベルのシミュレーションでいいのかなというのは私は疑問に感じてまして、それをより広い全庁的な視点から協議検討していく必要があるんじゃないかなと私は思うところです。
 そういう点から、庁内協議においてもさらにその費用便益分析をより精度を高めて実施していく必要があるんじゃないかと考えますので、まだ時間ありますので、ぜひ検討を進めていただきたいという思いから、質問をさせていただきます。

再答3回目(玉井義文部長)
 一番重要なことは、先ほど初問でも答弁させていただいたとおり、大林組からの申し出のございました平成31年度の早い時期はその期限となっておりますので、それまでに先ほど言いました約60筆の土地の要は課題整理ができるかどうか、それが一番です。
 あと、先ほど再問で答弁させていただきましたのは、二つ理由がありまして、一つは、情報公開で開示させていただきました庁内検討会議の湖西台の利活用の中で、事業手法としてするところにマーケットサウンディングも活用、民間資金の活用も視野に入れるというのが庁内検討会議の中の結果の一つになります。これは公開請求させていただいた資料の中にあった分です。
 それともう一点は、大林組が市場調査したときに、所謂たくさんの企業からは具体的な整備の方針がないので興味を示さないというそういったことがあったので、まずはその用地の処理、60筆の処理というのが大原則の上で、先ほども言った追加の調査、それというのを担当者レベルですが、シミュレーションしていると。しかし、まずは60筆の課題整理が大原則というように、そのように考えております。
 以上、私からの答弁といたします。

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再問4回目(藤井哲也)
 最後にしたいと思います。再問です。
 いま伺いましたけれども、60筆の(状況が)今後動くんですかね?状況が?。私にはそういうふうに思えないんですよ。何かここから年度末にかけて物事が、条件が変わるのであれば、その条件に合わせてまた再検討が必要になってくるのかなとは思うんですけれども、ここから先何かが変わらないのであれば、今やってもいいじゃないですか。何でそれが担当者レベルのシミュレーションなのかをちょっと聞いてるんです。
 本来、今までもう1年、2年間、私とか津田先生、西村先生はじめ皆さんも聞いてますけれども、ずっとそういう状況が膠着したままで停滞してるわけですよね。ほんで、この後、課題の検討など協議も進めていくという。実質的にもう動かないと思うんですね。そのうちにもう日が来て、交渉期限が来て、判断しないといけないというふうなことになってくるかと思いますので、この点について御回答いただけないかなと思うんですよ。お願いします。

再答4回目(井村久行副市長)
 再質問にお答えいたします。今般、その土地利用に関して、特に事業用地としての調査をしないのか、担当者レベルでよいのかというそういう御質問でございますが、大津市に求められる産業立地、企業立地の土地のあり方、そういったところは、いま山間部におきましても調査を進めておりますし、概括いたしますと「京滋全般を見る中で、土地の価格と広さ、まとまった土地が提供できるかどうか、そういったところが大きなファクターとなる中で、大津市、特にこの場所につきまして、大規模な面積がなかなか生じにくい」。
 一方で、「造成を伴いますとそのコストがかかる。そういった中で、競争性が持てるような土地になり得るかどうか」、また一方で「4車線化の動きの中で、北陸方面を結ぶバイパスの中でのポテンシャルがあり得るかどうか、もうそういった中でマーケットの状況は刻々と変わる」ところがございます。産業観光部におきましても、そういった情報等を努めて庁内整理をしているところでもございますし、そういったところを含めまして総合的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上です。


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 大津湖西台に関する一般質問は今回が最後という想いで、4回再質問を行うなど粘りました。
 なんとか事業着手に向けて動いてほしいという地域の願いを代弁したいと意見を述べさせて頂きました。事業全体で費用対効果が見込める事業であれば、絶対にやるべきです。
 企業局のガス官民連携事業は、ROI(投資対効果)が10%程度と非常に低い中で事業着手しましたが、この大津湖西台事業は、普通に考えると100%は超えるのではないかと考えます。経済波及効果や道路渋滞緩和などの副次的効果も考慮すると、非常に投資効率の面からも有利な事業であるように思います。隣接土地所有者との境界確定などに数年、1億・2億などのコストがかかったとしても、元が取れる事業ではないかと私は得られる限りの情報で考えています。

 この大津湖西台の事業については、あとは越市長のやる気次第だと考えます。
 


フジイテツヤ









  

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