日渡円氏を教育長に任命しようとする議案。

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 11月通常会議の最終日に、教育長人事案が市議会に提出され、議案審議、討論、採決を即日で行いました。市長が議案提出前に各派代表を呼んで、人事案に対する探りを入れてから議案提出してきた(実質的に違法な事前審査)ので、議案提出時点ですでに否決という選択肢は考えられなかったのですが、私としては最後まで悩みに悩み、最終的に市長答弁を聞いてから判断することにしました。
 結果的には、教育長人事案には賛成を致しました。
 思うところは非常に多いのですが、就任して頂くからには子ども達のため、保護者のため、教職員のために頑張ってもらいたいと考えています。

 以下質疑応答です。(再質問以降は、要旨のみ)
 ちなみに、「一般質問よりも、議案質疑ができて一人前」と私の中では考えています。



(1)選任理由について

問(藤井哲也)
 議案 第175号「教育長の任命について」に関し、一括方式で質疑を行います。
 本年5月、桶谷教育長の病気療養を理由とした辞任に伴い、教育次長であった舩見順氏を教育長に任命しようとする人事案が示され舩見氏が教育長に選任されました。それから7か月が経ち、今般、現・大津市教育委員である日渡円氏を来年4月から3年間、教育長にしようとする人事議案が示されました。
 あらためて5月の舩見教育長の人事案に対する質疑を振り返りますと、「舩見氏については、これまで教育委員会の以前は福祉も含めいろんな現場にいらっしゃいました。やはり教育長として求められる役割として、教育現場以外の外からも教育を見る必要があるということで、より広い、学校の中だけではなくてまちづくり全体を見た上で子どもたちの育ちを見る、またまちづくり全体を見て生涯学習、市民全体の学びを見るというのは非常に大事なことだと思っていますので、その点で多様な経験のある舩見氏は適任であるというふうに考えております。」と述べられています。
 私もその点は重要な観点であると考え、舩見氏の教育長任命に関する議案に賛成したところでした。これまでの議会での答弁や日頃の仕事を見ていますと、教職員による不祥事がいくつかあったものの、総合的に見れば、舩見氏はよくがんばっておられるという印象を持っています。
 私自身が最も良いと考えるのは、大津市の学校教職経験がありつつ教育行政の運営を円滑に行うことができる人望ある人物が教育長となり、日渡氏のような有為の人材がアドバイザー的に教育委員として関わるものだと考えますが、総合的にみてよくがんばっている舩見教育長の体制を継続することも現実的には有力な選択肢の一つだと考えられます。
 しかし本議案は、たった7か月前に市長が議会に対して強く同意を求めて承認された舩見教育長体制をあらため、日渡氏が適任であるとして、本市教育員会教育長に任命しようとするものであります。
 そこで、舩見氏を再任しない理由並びに、日渡氏を選任しようとする理由を伺います。

答(越直美市長)
 議員のご質問についてお答えいたします。
 1点目の、選任理由についてですが、桶谷前教育長の退任に伴い、桶谷前教育長の下で教育委員会を支えていた当時の舩見教育次長に就任を依頼し、ご本人から、桶谷氏の残任期間である平成31年3月末までの間という条件で、了解を得て任命したものであり、今回、任期満了に伴い退任されるものであります。
 日渡氏は、宮崎県教育委員会での勤務経験に加え、同県五ヶ瀬町の教育長として地域の特色を生かした学校教育を行われました。また、その後は、兵庫教育大学大学院教授として、教育長等のトップリーダー養成カリキュラムの研究開発をされ、全国の教育長の教育や研修に携わられ、他の自治体の実態についても熟知しておられます。そして平成25年12月からは、本市教育委員会委員として、校長マネジメント研修の実施など、校長のリーダーシップによる学校経営の推進、事務局及び学校現場の意識改革などに取り組んでこられました。今後は、これらの経験をもとに、教育長として、いじめ対策をはじめ、学校や教育委員会の改革に取り組んでいただくこととし、今回任命しようとするものであります。


  *

(2)これまでの教育委員としての活動状況について

問(藤井哲也)
 平成25年12月に、竹内孝子教育委員のあとを受けて、日渡氏は本市教育委員を務めてこられました。以来、日渡氏の教育委員としての活動状況や公務に対する姿勢には、疑問を抱いているところです。  
 活動状況を取り上げますと、昨年度は20回開催された教育委員会定例会・臨時会のうち出席したのは13回で7回も休んでいます。また、11回の総合教育会議のうち5回欠席、32回開催された教育長・教育委員協議では13回も欠席され、スクールミーティングは41回のうち4回しか参加されておられません。
 市議会などで山本議員や私が指摘を行い、その後、徐々に改善されてきたとはいえ、本年度も他の教育委員に比べてスクールミーティングや教育長・教育委員協議などへの出席率は低い状況です。
 仮に同じ非常勤特別職である私が議会の仕事よりも自分が経営している会社の仕事を優先させるようなことは許されないでしょう。改善されてきているとはいえ、日渡氏のこれまでの公務への参加状況を評価した時、教育委員としての職責を十分に果たしているのか疑問を抱くところです。
 そこで、これまでの活動状況に対する評価を市長に伺います。

答(越直美市長)
 2点目の、これまでの教育委員としての活動状況についてですが、大津市教育委員会の会議の開催回数が、中核市の平均である年間25回を大きく上回っている中で、日渡委員は今年度11月末までの間で46回の会議に出席されており、様々な形で意思形成の過程に関わっていただいております。また、会議に出席できない中でも、議事や協議内容の共有、メールや電話での意思提示等を通じて合議体である教育委員会の多様な観点からの議論と適切な意思決定を支えていただいております。
 また、その豊富な経験と実績を活かして、特に「校長のリーダーシップによる学校経営」、「教育委員会事務局による学校への支援体制の確立」、「事務局及び学校現場を含めた教育組織全体の意識改革」などの教育組織の改革に積極的に取り組むなど、教育委員会委員としてその職責を充分に果たしていただいているものと評価しております。


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(3)日渡氏が教育委員を辞任することによる教育委員構成について

問(藤井哲也)
 今回、日渡氏を任命しようとする人事案が議会で承認された場合、来年4月以降、教育委員が一名欠員となります。先の前田委員の再任議案の審議の際にも、討論において湖誠会など複数会派から、大津市の教育現場の実情に通じた委員の選任を求められてきました。私も同感です。
 そこで、教育委員の欠員が生じることを見据えて、今回の人事案は、どのような教育委員会の委員構成を前提としたものであるのか、市長の考えを伺います。

答(越直美市長)
 3点目の、日渡氏が教育委員を辞任することによる教育委員構成についてでありますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律において、その委員の一定数が同一政党に属しないこと、及び年齢・性別・職業等に著しい偏りが生じないこと、並びに保護者である者が含まれること、が規定されており、多様な民意を反映することが求められております。
 今後も、いじめ対策をはじめ、学校や教育委員会の改革に取り組むための教育委員会の委員構成としていきたいと考えております。

再問(藤井哲也)※要旨
 教育委員会の構成として、大津市の学校現場の状況を知っている人が必要ではないか。桶谷氏が居た時はまだ良かったが、合議制の機関(教育委員会)として実のある議論をするためには、やはり学校現場の方が分かる方がいないといけないのではないか。

再答(越直美市長)※要旨
 ご指摘のことも踏まえ、検討していきたい。
 


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(4)教育行政の組織及び運営に関する統括者として期待すること

問(藤井哲也)
 最後に、日渡氏に対して教育行政の組織及び運営に関する統括者として期待することを伺います。
 職務経歴を拝見する中では、大津市の教育長になって頂くには十分な知見を有しておられると存じますが、日渡氏を教育長に任命しようとする人事案が示されてから独自に関係者へのヒアリングを行ってきた結果、大津市の教育委員会事務局や学校園長ら学校現場との信頼関係をはたして築くことができるのか、懸念を覚えるものでありました。
 この点、舩見教育長の選任にあっては、「教育委員会からの信頼が厚い」と市長が評価されていましたが、今回の日渡氏に関しては現時点で私の耳には教育委員会からの信頼が厚いという声はあまり聞くことができていません。教育長に求めるリーダーシップを発揮するためには、「現場をしっかり指揮するということに加えて、現場から上がってくる様々な実情や声を聞いて、問題・課題があるときに現場をしっかりサポートする」ということを果たしえないのではないかも心配するところです。
 越市政においては、様々な要因が重なったとはいえ、7年間で6人目の教育長案となります。松田教育長職務代理者を合わせると7人目です。あまりにもコロコロと変わりすぎで、安定的な教育行政の運営からは程遠い7年であったように思うところです。再び、市長や教育委員会との軋轢や不協和音が生じて辞任され任期3年を全うできないようなことがあったとすれば、大津市にとって大変恥ずかしいことだと考えます。
 そうしたことから、日渡氏に対して教育行政の組織及び運営に関する統括者として、どのような姿勢で市長や教育委員会、学校現場と向き合い、また、どのような教育委員会・学校改革を期待するのかを市長に伺います。

答(越直美市長)
 4点目の、教育行政の組織及び運営に関する統括者として期待することについてでありますが、これまでも教育委員として、約5年間、総合教育会議や学校園への訪問、その他の会議を通じて、市長である私や、教育委員会及び学校現場と意思疎通が図られているところであります。
 これからは、教育委員会の会議の主宰等を行う代表者であるだけでなく、事務局及び学校現場を指揮監督する立場でもあることから、いじめ対策をはじめ、学校や教育委員会の改革に向け、第一義的な責任を持ち、様々な取り組みを確実に実践していくリーダーとして、先頭に立って役割を果たしていただきたいと考えております。
 また、本市におけるいじめ対策、そして、学校、教育委員会の改革など、また、今後も国の動向や他の自治体の例も踏まえて開かれた教育委員会及び学校とすべく、組織改革を進めていただくことを期待しております。
 以上、私からの答弁と致します。

再問(藤井哲也)
 これまでの教育委員会定例会や臨時会、日渡氏の大学での活動なども把握した上で伺いますが、日渡氏は相当の専門性を持っておられますが、持論も持っておられます。市長と教育委員が協議する総合教育会議などで市長と意見が相違することも考えられます。そうした場合どのような姿勢を期待するのか。
 また学校現場からすると学校長などの方が現場に詳しいと思いますが、そうした時にでも日渡氏が持論を押し付けるようなことあっては、学校現場から反発が生じると考えられます。市長としてどのようにリーダーシップを発揮することを期待するのかを伺います。

再答(越直美市長)
 総合教育会議では自由闊達に意見を出し合えればと考えています。
 学校長との関係においては、学校現場をサポートすることでリーダーシップを発揮してもらいたいと期待しています。




(大津市立幼稚園の「こども展」)




フジイテツヤ






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