【一般質問2018.9議会⑨】大津市の新しい行政評価システムについて

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 これまで何度も一般質問で取り上げてきた「行政評価システム」について、前年度会計決算の審査を行い、次年度予算編成に向けて動き出すこの時期に、今回も取り上げました。 
 なぜ地味な政策分野であり、一見したところ市民生活に与える影響が分かりにくい「行政評価システム」を何度も取り上げるのかと言えば、市民のための市政運営を体系的に進め、効果的効率的な予算編成につなげることができるツールだからです。

 行政評価は、平成13年(2001年)に施行された「政策評価法(行政機関が行う政策の評価に関する法律)」に基づき、中央官庁が取り組み始めた制度です。
 以下、「政策評価法」からの抜粋です。

【目的】
 この法律は、行政機関が行う政策の評価に関する基本的事項等を定めることにより、政策の評価の客観的かつ厳格な実施を推進しその結果の政策への適切な反映を図るとともに、政策の評価に関する情報を公表し、もって効果的かつ効率的な行政の推進に資するとともに、政府の有するその諸活動について国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

【政策評価のあり方】
 行政機関は、その所掌に係る政策について、適時に、その政策効果を把握し、これを基礎として、必要性、効率性又は有効性の観点その他当該政策の特性に応じて必要な観点から、自ら評価するとともに、その評価の結果を当該政策に適切に反映させなければならない。
 
 
 つまり、行政評価(政策評価、施策評価、事務事業評価)は、行政主体による恣意的な評価を予防するため客観的かつ厳格な実施が求められており、その評価結果を広く公開することで、議会や市民または行政内部による相互チェックにより効果的且つ効率的な行政運営を促し、諸活動を市民(国民)に説明する責任、すなわちアカウンタビリティ(説明責任)を果たすためのものと考えられます。

 大津市では、「事務事業評価」はそれなりに適切になされていると感じられるようになってきましたが、「施策評価」はまだまだです。事務事業レベルで見ると必要性が高い事業であったとしても、ひとつ上の目線である施策レベルでは、そもそもその事業は不要や他の事業と統廃合が必要であることも考えられます。そうした施策評価が、大津市では十分になされてこなかった経緯があります。
 またもう一つ、越市政における最近の傾向として、市民意向を行政評価に十分に取り入れてこなかった問題もあります。統計的な市民意識調査は数年前から中止されて実施されていません。これまで市民意向を取り入れた行政評価の必要性を議会で訴えてきた成果か、本年度は「施策評価 市民モニタリング」という仕組みが試行的に導入されました。しかしながら残念なことに、この「施策評価 市民モニタリング結果」は、行政による施策評価では十分に活用されなかったようです。試行的とは言え残念。市民モニターによる施策評価はレベルが高いとはいえ、統計的にたえられるサンプル数を超えることを前提として、制度上その果たそうとする役割は注目すべきものだと考えています。

 つまり何が言いたいのかと言えば、大津市では、恣意的な行政評価は最近見られなくなってきたものの、市民意向がまだまだ十分に反映されていない行政評価であり、また世論誘導がなされている「市民事業レビュー」の内情を考慮すると、公正な行政評価の厳格な実施という点では、制度上、課題が多いと考えられます。
 京都市では、行政評価制度そのものに対する評価を行う附属機関が設置されています。大津市も行政評価制度そのものを客観的に評価する仕組みが必要だと考えており、一番いいのは有識者によって構成される第三者機関(附属機関)によるメタ評価だと思うのですが、それが難しいのであれば、議会がその役割を果たしても良いのではないかと考えます。

 以下、一般質問における質疑応答です。


 * * *

Q 藤井
 現行の大津市総合計画に対応した新たな行政評価システムの構築がこの間進められ、今回初めての決算及び行政評価を迎えます。そこで、新たな行政評価システムにおける従来からの変更点や工夫を伺います。
 ところで、先日大津市事業レビューが実施されました。この事業レビューも新たな行政評価システムに組み込まれているものと思いますが、どのような位置づけにあるのかが不明確になっています。そこで、大津市事業レビューの設置根拠、有する権限、予算編成に与える影響の度合いについて伺います。
 また、大津市行政評価システムは総合計画の推進や予算編成にも影響を与えるなど、市政全般に及ぼす重要性にも関わらず、制度そのものが確立されていない印象を受けます。そこで、その重要性に鑑み、行政評価条例の制定も見据えた行政評価システムの確立や実施要綱の策定について取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

A 國松睦生 総務部長 
 御質問にお答えいたします。新しい行政評価システムにおける従来からの変更点や工夫についてでありますが、行政評価は事務事業評価と施策評価で構成しており、平成29年度まではそれぞれを総務部と政策調整部の二つの部署で担当しておりましたが、平成30年度からは総務部内において新しい行政評価システムを一元化することにより、人事、行政改革、財政の連携を密とし、行政評価をPDCAサイクルの中で予算編成に反映させていくものです。

 また、これまでから施策評価実施の際の市民意識調査や事業レビューを実施してまいりましたが、今年度は市民意識調査に替えて、初めの試みとして、7月21日に施策評価市民モニタリングを実施いたしました。
 施策評価市民モニタリングでは、無作為抽出により募集した市民のうち、応募いただいた市民モニターの方にお越しいただき、総合計画に掲げる40の施策の概要を説明した上で、施策に対する意見及び評価をいただき、その結果を行政評価に反映させていくものです。

 次に、「大津市事業レビュー」の設置根拠、有する権限、予算編成に与える影響の度合いについてでありますが、事業レビューは「大津市行政改革プラン2017」の改革実行プランに掲げる、新たな事業評価の方法の一つの手法として捉えており、大津市事業レビュー実施要領の中では、本市が実施する事業の透明性と客観性を確保し、限られた資源を有効活用するとともに、これまでから実施してきた時間外勤務の削減、働き方改革の取り組みを踏まえ、いま一度効率的、効果的な事業のあり方、今後の方向性等について公開の場で議論し、市民の視点により評価検証を行うとしています。
 また、事業レビューの評価結果は市の最終判断ではありませんが、評価結果だけではなく、議論の中の視点や意見を参考とし、当該事業のあり方や方針、手法などについて改めて検討を行い、市としての方向性を定めるとともに、行政改善につなげるものです。そのため、事業所管課が評価結果に基づく事業改善計画を作成し、次年度以降の予算編成に反映していくものとしています。

 次に、条例制定を見据えた行政評価システムの確立と実施要綱の策定についてでありますが、これまでから行政評価の実施に当たっては、行政評価実施要領を策定し、事務事業評価と施策評価を一体的に行う行政評価を行ってきたところです。実施要領では、行政評価制度の目的や位置づけ、行政評価システムの概要などを明確にしており、改めて条例制定や要綱の策定をすることについては考えておりません。また、実施要領の内容は毎年見直しており、今後も庁内周知を図り、行政評価システムの確立に努めてまいります。以上、私からの答弁といたします。


フジイテツヤ








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