【一般質問2018.9議会⑧】大津市のふるさと納税赤字収支解消に向けて

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(「日の出」真野浜にて 山田英二さん撮影)


 先日、息子と約束して真野浜で日の出を見に行きました。爽やかな空気の中で、日の出を見ながら、いろいろな事を話しできました。写真は、真野浜にある「きよみ荘」オーナーの山田さんが、たまたま撮っておられたもので、私たち2人が写っています。

 大津市議会 9月通常会議で取り上げた一般質問記事も、今回と次回でひと段落します。
 11月下旬からは再び、大津市議会 11月通常会議がスタートします。議員任期内では残すところ2回の議会です。一般質問も残り2回。しっかりと準備を進め、市民生活が少しでも良くなるように知恵を絞っていきたいと思います。


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【大津市のふるさと納税赤字収支解消に向けて】

 大津市は、市長の越直美さんがふるさと納税制度に否定的であるため、それほど積極的にふるさと納税制度を活用した取り組みを進めていません。
 しかし、ふるさと納税による寄付収入は、基準財政収入額に算定されず、寄付収入が増えたとしても地方交付税は減額されません。つまり、ふるさと納税は寄付収入は純粋な収入増につなげることができる制度となっています。

 総務省はこの秋に、過度な返戻品競争を是正するために、返戻率を30%を目安とするように全国の地方自治体へ通知しました。寄付者にとって寄付返戻率が統制されることで、今後は各自治体のマーケティングミックスが重要性を増してくると思います。
 Product(製品・商品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通・)の4Pのうち、「Price(価格)」が各自治体横並びとなり実質的に固定されるわけなので、商品の魅力・見せ方やプロモーション、流通・販売路が相対的に重要になってきます。

 また大津市は、大津市民による「ふるさと納税」(寄付控除)を現在、認めていません。税制上の問題は確かにあるとはいえ、寄付控除による市税収入の減少に関しては、国が赤字分の75%を地方交付税として補填してくれることになっていることから、この仕組みを利用することで、「大津市民による大津市への寄付」+「寄付控除による収入減に対する交付税措置」を、大津市としては得る事ができます。
 一般質問に先立ち、総務省に確認したところ、ふるさと納税制度でこのような施策が採りうることも理解されていました。
 
 以上の事柄を踏まえ、「財政上の理由から支所統廃合を進める前に、目の前のふるさと納税による赤字収支解消が先だろ!?」との趣旨から、質問を組み立て、提言を含めて質問を行いました。


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Q 藤井
 市民センターあり方検討に係る意見交換会では、4億円余りとされる経常的な経費を削減できる意義と、高齢社会に対応した福祉施設整備の必要性について熱心に述べられてきました。なるほど福祉施設整備は必要でしょう。しかしながら、支所統廃合の前にまだ行政がやらなければならないことは残されています。私は、それは歳入の増加対策だと考えています。
 普通交付税交付団体である本市の場合、市民税、法人税などの税収の増加は制度上交付金の減額につながり、歳入額にほとんど影響を与えません。しかしながら、ふるさと納税制度による寄附金は地方交付税額に影響を与えず、したがって歳入の純増につなげることができます。




 ふるさと納税制度は年々普及してきており、投映の資料でも御覧いただければわかりますとおり、平成26年度には全国の寄附金額が389億円だったものが昨年度は3,600億円を超えており、たった3年間で約10倍の伸びとなっています。この3年間、大津市でも市民税控除額は増え続けておりますが、本市への寄附額は増えておりません。平成29年度のものを見ますと、市民税の控除額が4億円に対しまして、大津市への寄附金が0.4億円というふうなことになっておりまして、この損失のうちの75%は後年度交付税で措置されることになっておりますが、今後このペースで進めば、支所統廃合によって生み出されるとされる4億円の財源も、ふるさと納税によるマイナス収支によって、あっという間に相殺されてしまうことになります。

 そこで、まずは交付税措置も含めたふるさと納税制度による本市の昨年度のマイナス収支状況、推定金額を伺うとともに、返礼率を伺います。

 ふるさと納税は、地方団体が自ら財源を確保し、さまざまな施策を実現するために有効な手段であり、我が国において人口減少が深刻化する中で、地域資源を最大限活用し、地域経済を再生していく上で重要な役割を果たす制度とされており、本市でもより一層積極的な活用が求められます。支所統廃合などの市民サービスの低下につながる取り組みで高齢者福祉施設の整備などの財源を確保するのではなく、ふるさと納税制度を活用するなどして、知恵を絞って財源を確保すべきだと考えます。少なくとも現下のマイナス収支は解消しなければ話になりません。
 そこで、制度活用による今後の目標及び増収対策について、本市の見解をお伺いいたします。


A 山口寿 政策調整部長 
 御質問にお答えいたします。
 交付税措置も含めたふるさと納税制度によるマイナス収支の状況についてでありますが、湖都大津まちづくり寄附金として約4,404万円を収入したのに対して、寄附金に対する返礼品及びその送付事務等に伴う事務費として約1,920万円を支出しており、この差し引きだけで申しますと約2,484万円が収入となっております。
 その一方で、本市にお住まいの方が他の市町にふるさと納税制度を利用し住民税の寄附金控除を受けておられるものがあり、昨年度の市民税の控除総額は約4億500万円に上ると把握しており、これを普通地方交付税の算定基準に当てはめた場合、翌年度に基準財政収入額に算入される部分を除いた約1億125万円については収納できないこととなり、先ほどお答えいたしました約2,484万円との差し引きである約7,641万円の収入不足が生じているものと認識しています。
 なお、寄附金額に対する返礼品の調達に要した費用の割合に当たる返礼率については、返礼品及び返礼に係る送料を含めて30%となっております。

 次に、ふるさと納税を活用した今後の増収対策についてでありますが、今年度に実務代行の委託業者の更新選定を予定しており、選定に当たっては、返礼品の充実にノウハウを持った事業者を選定するなど検討しております。さらに、寄附金に対する返礼品の金額幅を上げること、また返礼品の種類については、市内の特産品に加え、本市の特性である琵琶湖を生かした体験型のサービスのラインナップ等、より本市の魅力を発信できる返礼品の充実も検討しており、寄附金の増収に努めてまいります。以上、私からの答弁といたします。


Q 藤井
 再質問です。今、さまざま伺わさせていただきました中で、増収対策についてであります。
 私は大きく二つ増収対策に効果があるんじゃないかなと考えていまして、一方は「大津市への寄附を増やすということ」、もう一つは、「他市への大津市民の寄附を減らす、市民税の控除額を減らす」という二つが考えられるんじゃないかと考えています。
 この点につきまして、ただいま部長からは、増収対策の中の「大津市への寄附金額の増やし方」についてはお話をいただきましたけれども、どのようにしてもう一方の対策である「市民税控除額を減らす」のかということについて、御見解いただければありがたいと思います。

A 山口寿 政策調整部長 
 再度の御質問にお答えいたします。大津市民が他の市町への寄附金を減らす方法を考えるべきだというような再度の御質問だと思います。
 現在、一番新しい段階で、12億円余りの寄附を大津市民が他の市町へしているというような結果が出ておりますが、現実的にはなかなか他の市町へ寄附を、思いを持った市町へするべきではなく、大津市が困っているんだから、できるだけやめてくれといったような、なかなか啓発なりそういったことは困難であると、このように考えております。
 あくまでやはり大津市の施策なり物産、アクティビティーなんかを多く発信することによって、大津に寄附をいただく方を増やすということに注力していきたいと、このように考えております。以上、答弁とさせていただきます。

Q 藤井
 再問です。他市への寄附される方にとっては、もちろん返礼品目的という方もありますけれども、一方の心理では、大津市で得ている公共サービスであったりとかのものに自分が負担しているものが見合っていないから、他市に寄附しようという心理も働くんじゃないかなというふうに考えていまして、そういう点で言いましたら、いかに大津市民に大津の税金が公正・公平に使われているか、この点をより一層理解していただくというふうな取り組みももちろん必要になってきます。
 もう一つは、例えばですけれども、ガバメントクラウドファンディングに関連しては、大津市民も大津市に対して「ふるさと納税」が可能とするなどの取り組みって考えられると思うんですよ。別に返礼品はなくてもいいと思うんですけれどもね。であれば、寄附は大津市にしていただけます。さらに、国からは75%分が補填されるわけでありますから、こういった制度も活用のしどころじゃないかなとは思うんですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

A 山口寿 政策調整部長 
 再度の御質問にお答えいたします。公共サービスとかに向けてガバメントクラウドファンディング等、そういったものを大津市民が大津市へ寄附してもらうような施策をとるべきではないかと。
 現在、そのことにつきましては、三つの今年度ガバメントクラウドファンディングの施策も展開をし始めたところでございます。ただ、やはりこのふるさと納税の制度自体が、ある一定の返礼品を、今も総務省から11日にも見解がありましたけれども、3割以内とするといったような、やはり返礼品をもって他の市町へ寄附する、自分のふるさと等へ寄附するというようなことが前提となっております。なかなか大津市民が大津市へ寄附をされた場合に、返礼品を今のところうちは返さないという姿勢を持って行っておりますので、なかなかそこらの理解が得られないということがございます。
 ただ、今も議員おっしゃっていますように、大津市が進めるいろんな施策に対するガバメントクラウドファンディング等をしっかりと市民に伝えて、それと大津市への寄附を促すということも大事かと思いますので、その点につきましてはまたそれはそれとしてしっかりと市民の方々にお伝えしていきたいと、このように考えております。以上、答弁とさせていただきます。


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 寄付控除による収入減の75%は、国が交付税措置をしてくれるという制度については、大津市も政策調整部長もご存じだと思いますが、大津市行政の姿勢として「大津市民が大津市へ寄附をされた場合に、返礼品を今のところうちは返さないという姿勢を持って行っております」ということで難しいのではないかとのことです。
 しかしながら、必ずしも返戻品を必要としない、ガバメントクラウドファンディング(行政課題に対する使途を限定した寄付)に関しては、大津市民からのふるさと納税を可能とするなどの見直しが必要でないかと考えます。
 また他都市へ寄付される方を減らすために、リテンション施策として、納税者である市民の皆様に対して、市民サービスへの満足度を高めていくことも求められています。

 越市政として、ふるさと納税制度による赤字収支解消に必ずしも積極的ではなく、結果的に市収入が減り、その財源確保のために市民負担を強いる(支所統廃合など)のであれば、これは越市政、市長の責任でないかと考えます。市民に負担を強いる前に、しっかりと実施可能な増収対策は行わなければ話になりません。


フジイテツヤ





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