市民センター再編によって本当に経費節減につながるの??②

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 前記事の続きです。
 はたして市民センター再編によって、行政が目論むような経費削減効果はあるのでしょうか???

 結論から述べれば、経費削減効果はないものと考えられます。




 平成29年度の支所運営に要している費用は、9億7300万円ということです。
 そして素案で示された支所統廃合後の経費は5億5200万円。差額の4億2100万円が支所再編による経費節減額ということです。
 しかしながら、大津市が目指している「まちづくり協議会への市民センターの指定管理」を既に導入している草津市では、1施設あたり1808万円かけており、これ以外に運営母体となるまちづくり協議会への運営交付金は1学区あたり257万円です。指定管理料と運営交付金を足した額は1カ所当たり2065万円です。(下図)



 これら草津市で要している経費(1カ所あたり指定管理料1808万円、まち協交付金257万円)を大津市の市民センター数36カ所で掛け合わせると、指定管理料の総額は6億5100万円、運営交付金は9300万円となり、支所機能が残る10か所の市民センター職員人件費3億4400万円を合わせると、合計で11億800万円となります。
 大津市が見込む経費5億5200万円と比べ、草津市の事例を参考にした額との差は5億5600万円です。(大津市の算定額は人件費以外が乗っていないと思われるため、人件費以外の諸経費1億7千万円を5億5200万円に乗せても7億2200万円で、それでも3億8600万円の差額が生じます。

 大津市の計算は、経費節減額を過大に見積もっているのではないかと考えられます。


 そこで、大津市が考えている指定管理料の中の人件費をもう少し詳しく考えていきたいと思います。

 大津市行政が想定する指定管理料総額1億8700万円を36カ所で割ると、1カ所当たりの指定管理料は単純に520万円と考えられます。恐らくこれはほぼ全てが人件費にあたるものだと思われます。
 一方、草津市での指定管理料の「基準価格内訳」を確認すると、人件費では1222万円となっており、大津市が想定する人件費と比較して2倍以上の人件費が充当されています。

 はたして、大津市が想定している人件費で十分なのでしょうか?
 現に草津市では人件費は基準額1222万円で動かしておられます。
 
 さらに言えば、支所統廃合による代替サービスの導入経費も、これに追加で必要となります。 現時点でどのような代替サービスが提供されるか具体的には示されていませんので、その必要額の算定は難しいのですが、移動行政相談や行政ボックス?と呼ばれるサービスにはそれほど経費は掛からないと考えられますが、公共交通網の充実などには経常経費がかかってきます。
 

 まさか、支所統廃合して施設をまち協へ指定管理したら、一律的に経費を下げられると考えているのでしょうか。まさか、地域のボランティアに放り投げて、「小さい政府」を実現しようとしているのでしょうか。
 
 違うと思うんですよ。
 「小さい政府」は、市場性がある分野において、競争原理を働かせてより良いサービスを目指そうとするもので、政府の失敗のリスクも低減できるというものだと私は理解しています。そういう意味で、「小さい政府」志向そのものには反対ではありません。
 しかし、はたして、公民館や支所機能に市場性があるのでしょうか?行政がやるべきことはやるべきで、無理に市場性原理を導入する必要は少ないと考えられます。

 まちづくり協議会に、公民館(コミュニティセンター)や公共施設を指定管理(公設民営)することで、サービスの質が向上するのであればいいのですが、現状、なかなかそういうイメージは湧きません。そもそも競争性が十分に働くのかは微妙だと考えます。
 
 
 ひとつ言えることは、市民センターを指定管理制度にすれば、市が想定するほどの経費節減効果は見込めないことです。(むりやり、地域に施設管理を放り投げるのなら別ですが)



フジイテツヤ



 
 


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