大津市の人事給与構造改革について

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 本日は年度末。ちょうど1年前に右ひざの手術をした日でもあります。
 今朝は久しぶりに足の状態も悪くなく、朝の駅立ちからスタートしました。
 また朝刊には、私が所属する会派「志成会」の会派通信も入れさせて頂きました。ご覧頂けましたら幸甚です。


「志成会通信」のPDFデータはこちら


 自由闊達とした議論が交わされ、大きな会派では耳にすることもないだろう情報も届けられ、また自分自身のスキルアップや議員としての資質向上につながる切磋琢磨とした雰囲気の中で、会派活動をする事ができています。
 自民党に入党はしましたが、そのあたりも他の議員が寛容で、政府方針に関わる意見書採択などの案件では、賛否の会派拘束も外して自由に行動することができます。
 今号の会派通信も、水道料金値上げの件や透明性と公平性に欠ける嘱託職員採用に関する件、ガス事業の問題や人事給与構造などについて取り上げており、盛りだくさんです。市政課題をこれだけハッキリと追求し、必要に応じて対案を示しているところはないのではないかと思います。
 引き続き、会派活動へのご理解を賜れましたら幸甚です。宜しくお願いします。


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 さて大津市で大きな話題となっていた、「職員人事給与構造改革」の問題。
 私はこれまで平成24年と平成26年にこの改革案を提案した立場で、今回はその提案を受けて、大津市行政が検討や調整を進め、議案提出してきたものであることから賛成をいたしました。

 市行政が提案の際に議会に示した参考資料をいくつか取り上げます。




 以前から何度も取り上げている通り、大津市の職員給与は制度上、下位職位の人が上位職位の人を上回る可能性があるものとなっています。この点を平成24年9月議会で取り上げ、その後も何度か追跡質問を行ってきました。職員のモチベーションアップは、市民生活の向上に寄与するという考えからです。
 責任ある立場でいくら頑張っても、非管理職より給与が低くなる可能性がある制度というのはおかしいと思います。
 今回の制度改正はその点で問題が是正されたと思います。




 実際、平成26年度の給与比較では、非管理職(主幹級と係長)で最も給与が高かった職員の給与額は、部長のそれよりも上回っているという大変問題ある制度でした。これでは誰も部長はおろか、課長にさえなろうとしないと思います。

 しかしながら、市行政の進め方は少々強引だったようで、2つある職員組合からは猛反発を受け、異例ともいえる合意を得ない段階での議会への提出に至りました。
 同じく人事給与構造改革を成し遂げた大阪府箕面市さんでは、私も提案の際に視察・参考にしたように、若手職員によるプロジェクトチームを発足し、若手職員が中心となって制度改正案を作成したのですが、大津市行政においては、半ば押しつけ型の進め方をしたため、労使でこう着状態に陥り、実質的に議会に判断を委ねるという決着になってしまいました。

 こうした点において、私自身本会議で登壇し、討論を行いました。
 以下、討論文章を掲載いたします。


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職員人事給与構造改革議案の委員長報告に対する賛成討論

 議案第22号「大津市一般職の職員の給与に関する条例等の一部改正」の委員長報告に対する賛成討論をいたします。

 今回提出された人事給与構造改革については、職責と処遇が一致していない制度的な問題があると指摘し、特に若手職員のモチベーションアップの観点から、越市政1年目の平成24年9月議会で最初に提案したものです。
その後、職員意識調査が行われ、平成26年6月議会で箕面市の先進的な成功事例を踏まえ再度、人事制度改革の提案を行うなど、制度改正を促してきた経緯から、本議案に賛成するものであります。

 「人はパンのみにて生きるにあらず」と言います。精神的な拠り所が生きる上で、そして働くうえでも重要なのは言うまでもありません。

 ワーク・モチベーションを考える際に、キーワードとなるのが「愛着」と「報われ感」の二つです。
 職責を果たすべく頑張っているのに、「非管理職より管理職の方が給与が少ない」となれば、誰も管理職にはならないでしょう。今回の制度改正では相対的に「管理職の報われ感」を高める効果があるはずです。
 しかし今回同時に考えなければならないのが、「非管理職の報われ感」です。等級の壁が高くなることで、専門的にはキャリアプラトーと呼ばれますが、キャリアアップ意欲の減退が生じるはずです。この間、若手職員にも個別に話を聞きましたが、懸念しているモチベーションダウンが生じる恐れがあるように感じます。
こうした問題を解決する方策として考えられるのが、評価制度の大幅な改善であり、また「管理職・一般職」という単線型キャリアパスだけではなく、手に職型の専門職コースを充実させるなど複線型キャリアパスを制度に組み込むことであり、また、非金銭的報酬を得られる施策に取り組むと共に、報われ感が満たされる組織風土を醸成することなどです。
 本市行政は今回の制度改正に合わせて、評価制度の見直しなど11項目からなる改革を進めるとのことだが、本来は全部同時に実施されるべき事柄であるにも関わらず、評価制度の見直しなどは今後なされるということである。

 今回のそうした進め方については、政策提案した立場から苦々しい思いを抱いてきました。学識経験者からの助言や、山本公営企業管理者をリーダーとして本件を含むカイゼンプロジェクトを立ち上げたまでは良かったと思いますが、成功事例の箕面市では若手職員を中心としたプロジェクトチームが制度設計に深く関わり、ボトムアップ型の改革をした点に成功要因があると思われます。こうしたことは本市も十分認識をしていたはずです。
 しかしながら、本市では、残念ながらそうした形では進められませんでした。制度を改正すれば、職員のモチベーションが必然的にアップするというほど単純なものではありません。

 市職員は市民の財産です。市民福祉の向上のため歴代の市長や幹部職員がこれまで熱心に人材育成に取り組み、現市政はこれを引き継ぎました。そして次の市政にも引き継いでいかねばなりません。市長はこの点をしっかりと認識すべきです。

 市長や人事当局には、以上申し上げたことを十分に認識し、各階層の職員を巻き込みながら、総合的に人事施策に取り組むことを強く求めるものである。


 討論文は以上です。
 なお、市が進めようとしている人事制度改革の全容は下図の通りです。
 本来であれば、これらを全て一緒に議論していく必要がありますが、なぜか給与だけを先行して決定しようとしました。私が市長ならば、このようなやり方は行いません。本当に今の市長は人の心が分からない人だなと今事案を通じて改めて思いました。制度を変えればモチベーションアップするほど、人は単純ではありません。


 


大津市議会議員 藤井哲也拝

 

 


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