2月議会一般質問解説⑧「移住・定住対策につながる大津のブランディングを!」

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 まちのブランディングについては、予てから市議会で提唱してきました。
 大津市というまちは、魅力が沢山ある分、あれもこれも取り上げて、コンセプトも統一せずにPRしてしまうため、せっかくの魅力が受け手(観光客や定住・移住希望者ら)にとって曖昧となりぼやけてしまいます。

 ブランディングにおける基本中の基本は、「フォーカス」だと言われており、あれもこれもの情報発信ではなく、ブランドコンセプトを定め、魅力をフォーカスし、発信していくことが求められます。
 何度も市議会で取り上げていますが、大津市がまず為すべきことは、ブランドコンセプトを固めるという作業です。今回の一般質問では、大津市はどういったブランド・コンセプトのもと、PR活動をしていこうとするのかを伺いました。


 また、政策調整部が所管する「移住・定住対策」と、産業観光部が所管する「観光振興対策」において、具体的にブランドコンセプトが統一されたものかを量るための質問を行いました。というのも全庁的に統一した大津のブランドコンセプトを感じられないからです。
 
 質問の結果、現状ではまだまだ十分に連携が取れていないと感じましたが、今回の質問が契機となり、今後全庁的なブランドコンセプトの統一が図られるようになれば幸甚だと感じています。
 議員には予算編成権や事業執行権は残念ながらありません。提案することしかできないのが残念ですが、なんとか大津市の魅力を対内・対外に発信して頂き、大津ファンが増えることを強く希っています。

 なおこの質問では、大津市議会が提携した龍谷大学図書館のレフェレンスサービスを活用して、資料を収集して行いました。具体的には一冊7万円もする「地域ブランド力調査2015」という資料で、約40の自治体ごとのブランドイメージに関する数値を抽出し、これに国勢調査結果を掛け合わせた上で、京大公共政策大学院で学習中の重回帰分析を行い、どういった要素が子育て世代の転入と関係性が高いのかを調べました。質問文にその説明がありますので、もしよければご覧ください。


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【質問】藤井哲也
 総合計画基本構想のまちづくりの基本姿勢で掲げる「市外に向けて大津の魅力を積極的に発信し、来訪や移住へと結びつけていく」ために、どのように体系化を図れば効果的か考察するために、龍谷大学と大津市議会がこの度 連携し、議員も利用できることとなった図書館レファレンスサービスを通じて入手したデータと総務省が公開している統計データを用いて分析を行った。
 具体的には、「14歳以下の子供の転入者数」と「(年齢不問の)全転入者」それぞれがどのような要素と関連があるかを重回帰分析し、その2つの結果を比較衡量して今後の持続的なまちづくりに不可欠な「子育て世帯の転入」に有効な施策を検討した。




 投影資料について少し説明をしますと、関西圏の政令市及び中核市と滋賀県内にある全市をサンプルに分析をしたもので、結果としては「14歳以下の子どもの転入者数」は「子育て中の世帯の転入数」と看做すことができますが、いくつかある要素の中で、「まちの認知度」、「来訪率」、「生活が快適だというイメージ」という3つの要素だけが、5%水準で有意、すなわち統計的に意味があるという事をさしています。
 ここから分かることは、関西圏において子育て世帯の転入を増やすためには、観光やレジャー、ビジネスで一度はまちを訪れてもらい、そのまちの生活環境が快適で便利だと認識してもらう取り組みである。つまり、「観光プロモーション」とトライアルステイなどの「移住対策」の連動が効果的だということである。そしてその連動のためには「住むのに快適な生活環境だ」などの都市ブランドのイメージが基盤となっている必要があると思われる。
 しかしながら現在、本市では観光プロモーションや、ライフスタイルの発信などの移住対策、シビックプライドの醸成などシティプロモーションの各種取り組みを進める上で、部局を超えた「顧客に伝えたい都市ブランドのイメージ」の認識統一がどうやら十分ではないように感じる。
 ついては、本市のシティプロモーションにおける、部局を超えて伝えようとするブランドイメージはどのようなものか、具体的に一例を挙げるとすると、「子育て世帯の転入」を増やすために、観光客やレジャー、ビジネス来訪者に対して、どのような大津のブランドイメージを、どのような手段で伝えているのか、政策調整部と産業観光部の連携状況も含め伺うとともに、今後の本市におけるブランディングの取り組みもあわせて伺う。

【答弁】政策調整部長
 大津のブランディングについてですが、まず部局を超えて伝え ようとするブランドイメージについてです。
 市民意識調査やまちづくり意見交換会をはじめ学生、事業者、女性、外国人など幅広く市民の皆様から、大津のイメージなどについて多くのご意見を伺い、次期総合計画基本構想の内容を固めてきました。その結果、大津の財産・ブランドとして「ひと」「自然」「歴史」を掲げ、これを活かすゴールとしては設定した将来都市像において「住み続けたいまち」としており、めざすブランドイメージに相応するものと考えております。
 次に一例とされる観光分野の取り組みにつきましては、この基本構想に即して、それぞれ各分野で各種計画や取り組みが進められることとなりますが、観光においては策定中の第二期観光交流基本計画案において、ブランドイメージとしてオンリーワンの琵琶湖中心に「大津ならではの魅力」を磨くとし、活用コンテンツとして「びわ湖リゾート」「歴史・文化体験の宝庫」「スポーツ観光の聖地」というテーマの下での展開を取りまとめる内容で進めております。最終の目指す姿は“選ばれ続ける地域”とし、目標を国内外からの誘客としており、これらのことは総合計画において「ひと」「自然」「歴史」を大津の財産・ブランドとしていることと共通しております。
 次に、どのような手段で伝えて行くかでありますが、本市の魅力を発信できる観光パンフレットやPR動画を、各観光施設や観光案内所など観光客が集まる場所で活用しているところであり、今後も更に活用の充実を図ってまいります。
 中でもこのほど作成途上の観光プロモーションビデオ「Hello Otsu」は、観光地としてのイメージ醸成を図るために幅広いコンテンツで大津の魅力を短時間で感じていただく内容として仕上げてきており、観光PRだけでなく、大津全般のPRとして、移住促進にも効果があるものと考えております。
 次に今後の本市のブランデイングの取り組みですが、この一連の過去のご質問においても、答弁として申し上げてまいりました大津のロゴマークを次期総合計画の策定にあわせて、これを契機に、大津への関心やまちづくりへの意識醸成に寄与することをめざし作成をしたところでございます。
 また、市民との意見交換やご意見を踏まえて策定してきた総合計画の作業も一連のブランティング活動であると考えておりますが、今後は、次期総合計画基本構想等に即して、それぞれの分野で「ひと、自然、歴史の縁で織りなす住み続けたいまち“大津再生”」をめざし、具体的な展開の中で深めていくものと考えております。


大津市議会議員 藤井哲也拝




 

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