【9月議会 質問解説③】大津湖西台事業の構想について

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 大津北部には大規模まちづくり構想が、かねてからあり、その事業用地が「大津湖西台」と言われる場所に当たります。湖西道路(国道161バイパス道路)の仰木IC~真野ICの間の西側(北を向いて走って左側)の一角がその場所になります。

 この問題も地域の関心が強く、私自身の前回選挙における推進を目指す公約事業の一つとしても取り上げたものです。これまで2014年11月議会や、2015年6月議会本年6月議会と何度か取り上げてきました。

 大津湖西台事業用地の大半の所有者である㈱大林組との協議において一定の進捗があったという話を聞いたことから、市民の皆様にも情報公開をする必要があるとの見地により、2議会連続ではありますが改めて取り上げることになりました。


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【質問(藤井)】
 大津湖西台事業の構想について。
 大津湖西台事業に関してはこれまで私以外の議員、武田議員であったり津田議員、また西村議員からも質問がありました。私からも2014年11月議会、2015年6月議会、そして本年2月と6月の議会の計4回本会議一般質問で取り上げてきたように、大津市北部地域にとって非常に重要な案件と認識しております。本案件はこれまで庁内において慎重に検討がなされてきましたが、今年度大津市都市計画マスタープランを策定されることとなり、いよいよ事業用地の利活用計画について一定の方向を示さなければならない時期が迫ってきたと考えます。ついては、過去8回にわたる庁内検討会議の成果についてお伺いしてまいります。
 伊藤副市長をトップとする大津市行政関係者による庁内検討会議は、2014年8月26日に第1回会議が開催されたのを皮切りに2014年度に4回、2015年度にも4回開催されてきました。土地の利活用については区画整理方式や公社委託方式などを想定し、それぞれ造成面積の大小を分類し、いくつかのパターンのシミュレーションを行った上でそれぞれのメリット、デメリットの具体的な検討がなされてきたものと考えますが、昨年までに行われてきた庁内検討会議の成果をお伺いしたいと思います。

【答弁(玉井都市計画部長)】
 平成26年8月以降、庁内関係部局による8回の検討会議を行い、土地の利活用について検討を進めてまいりました。検討内容といたしましては、譲渡を受ける場合と受けない場合について用地買収費、工事費、残土処分費などの道路整備費、税収や経済波及効果といった経済効果、土地信託方式や土地区画整理事業方式の事業手法などの項目について慎重に検討を行い、それぞれのメリット、デメリットについて比較整理を進めてきたところであります。先の津田議員及び西村議員の御質問に副市長が答弁いたしましたとおり、この庁内検討会議や市場調査の結果、さらに周辺のインフラ整備状況等について精査し、最終的に総合的な判断を行った結果、今後用地取得に向け大林組と実質的な交渉に入ることといたしました。今後はこのことを正式に大林組にお伝えし、まずは用地取得に当たっての課題抽出を行ってまいりたいと考えております。

【質問(藤井)】
 再質問いたします。
 庁内検討会議8回これまで行ってこられまして、いろんなパターンを検討されたと思います。道路3.4.52だけをつくるパターンであったりとか、または造成地域をフルに整備する案であったりとか、たしか五つぐらいのパターンに分けて検討がなされてきたと思います。それぞれの内容についてもう少し詳しくそのパターンについてどういうメリット、デメリットがあるのかについて教えていただきたいと思います。

【答弁(玉井都市計画部長)】
 再度の御質問についてお答えいたします。
 庁内検討会議の中で3.4.52号の単独での道路の検討、それ以外の造成をいくつかのパターンで検討していたときの結果についてでありますが、先ほど言いました まず道路整備費という、この検討の中ではそれぞれの工事をしたときにどれだけの土の動きがあるのかで、以前の通常会計のほうのときにも答弁いたしましたとおり、非常にたくさんの残土が発生するなどの答弁をいたしましたが、約19万立米の残土が発生するなど、そういった単独の道路をつくった場合ないしはいろいろな造成のパターンの場合での造成の動きを含めて、その事業費などの概算事業費を算出したことになっています。
 それとあと、造成のパターンなんですが、その例えば残土を使って平場をつくったときに、その平場というのがどのように活用できるかということで、それに伴います経済効果やその事業手法もあわせて検討を行ったんですが、これにつきましてはやはりその市場調査というものが非常に大きいことがわかりました。そのことで大林組さんのほうで市場調査をしていただいたと、そういうことにつながっております。
 以上が概ねの検討概要の結果となります。以上でございます。

【質問(藤井)】
 再質問いたします。
 道路だけつくったパターンと整備した場合のその違いですね、メリット、デメリットがもう少し詳しく教えていただければと思います。

【答弁(玉井都市計画部長)】
 道路をつくった場合の単独またはいろんなパターンのもう少し詳しいデメリット、メリットについてでありますが、まず道路を単独につくった場合というのは、やはりそれなりの構造物が必要になってくるということをそのときに検討したことになります。
 例えばいろんなさまざまな擁壁とか、そういったものが当然必要になってきます。それと造成のパターンなんですが、その先ほど言いましたこの工事に伴って発生する土量を3.4.52号に例えばどっかの一定箇所に残土処分すると、そうしたときには当然平場ができるわけなんですが、そうしたときには問題と出てくるのが環境アセスの関係がまた出てきます。
 もともと大林組さんの土地区画整理事業の中でも環境アセスはされておったんですが、やはり文化財の関係とか、あと希少な絶滅危惧種がここにはいるとかいないとか、そういったこともありまして、そういったことからその辺の環境アセスについての対応という問題が出てくるだろうということがありました。
 それとあと、先ほどちょっと私が答弁が言い忘れたんですが、他の地権者の方が点在しているということがございます。それで、その他の地権者の周知が例えば単独で道路をしたところにもございますし、それとまた残土処分をしようとしているようなところにも点在しているということで、その区域全体をさまざまなところに他の地権者の方々の土地が存在しているということも、そのときに検討の中ではわかった状況になります。いわゆるそれはデメリットと言うかどうかちょっとわからないんですが、そういった問題もこれからは出てくるということを確認したところであります。以上でございます。

【質問(藤井哲也)】
 次の質問に移ります。
 以上、御答弁いただいたとおりのことを庁内検討で行ってきた上で、本年1月の市長選直前の1月8日に市長と市民とのミーティングの場に私も参加させていただきまして、大津湖西台に関する市長の見解をストレートにお伺いさせていただきました。
 市長からは、「私としては大津湖西台を活用したいと思っている、伊香立にサイエンスパークという場所がありますが、そこがいっぱいになったので堀場製作所は近いということもあり、利用できないかと私は考えている」とおっしゃっていただきました。大津北商工会の重役の方に対し、同時期に同様の話をなされたと仄聞しています。
 これまで越市長は同事業に後ろ向きだと多くの人が考えてきたことから、企業誘致の種地として大津湖西台を活用したい意向を示されたことは大津北部地域の多くの住民の思いとも一致することから、市長選挙においても少なからず影響を与えたのではないかと思われます。ついては、市長に対して産業活性の拠点として当該用地を活用する意向に変わりはないかをお伺いいたします。

【答弁(玉井都市計画部長)】
 これまでも庁内検討会議では、事業用地としての利活用について検討を行ってきたところであります。このことから、産業活性化の拠点としての活用も一つの方法としてさらに土地利用のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

【質問(藤井)】
 再質問いたします。
 私が市長選の直前にお話を伺ったミーティングの内容からしたらちょっと前に進めるというふうなことではありますけれども、その産業活性の拠点もその一つだというふうなニュアンスでちょっと後ろ向きになったのかなというふうに感じております。そのあたり、市長の考えが変わったのかについてお伺いしたいと思います。

【答弁(越市長)】
 ただいま部長がお答えしたとおりですけれども、私としては湖西台周辺ではびわこサイエンスパークにおける企業立地などが進んだことから湖西台は北部地域における産業活性化の拠点など活力の源泉となる可能性を秘めた地域であるというふうに認識をしています。
 ただ、その私の意向や一存だけで決定することはできませんので、今後十分な検討が必要であるというふうに考えております。そういった検討の中では、これも部長がお答えしたとおりですけれども、産業活性化の拠点としての活用も一つの方法であるというふうに考えていますので、これから十分土地利用のあり方について検討を行ってまいりたいと考えております。


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 質問及び答弁が長く、また周辺知識・情報がないと分かりづらいので少し解説します。
 大津市はこれまで9回にわたって庁内検討会議を行ってきました。ここで、5パターン(道路だけ建設~フル整備)に分け、それぞれに区画整理方式や公社委託方式、土地信託方式などの可能性について必要予算などの調査・検討を加えてきました。
 
 そうした調査検討を前提にして、市長選挙前に越市長が前向きな発言をされ、そして大林組が所有地を無償譲渡する意向を示し、実質的に協議に入るこの段階において、大津北部の産業活性化のための活用策について質問したものでした。

 答弁としては、苦しいものでしたが、ニュアンスとしては前向きに進めていこうという気持ちを感じられました。大津北部・湖西地方はただでさえ人口減少・高齢化が東部に比較して早く進みます。産業活性の可能性があるのであれば、それをどのように生かすのかを考え、今後とも前向きに動いてもらいたいと思っています。

 しかし油断禁物です。いまの市長の目はあまり大津北部には向けられていませんし、そして初期コストを要する事業にはきわめて慎重です。表向きには前向きな姿勢であったとしても、後から振り返れば「うまくあの時やりすごした」ということになっているかもしれません。
 湖西台の土地活用については、引き続き、注目していきたいと思います。


大津市議会議員 藤井哲也拝  




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