【一般質問解説②】 大津市域の「観光振興協議会」の設置。

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 2つ目は「大津版のDMO」について。

 「DMO」は、英語の「Destination Management Organization/Destination Marketing Organization」の頭文字をとったもので、直訳すると「観光地づくりのマネジメントを行う組織」であり、「観光情報のマーケティング活動を行う組織」であると言えます。

 昨年度に国土交通省観光庁が定義したものでは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人を言います。
 イメージでいえば以下のようなものです。

地域DMO


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 大津市では昨年策定された行政計画の一つ「まち・ひと・しごと創生総合戦略」において、大津版DMO設置を記載しましたが、これは「総合戦略」策定に関して設置された懇談会の委員(滋賀銀行の方)から提案されたものです。

 平成28年度の予算にも、この「大津版DMO」の設置検討に要する経費が計上されており、今回の一般質問では、「大津版DMO」の設置目的や構成メンバー、スケジュールなどを伺いました。

 なぜ私がこの「DMO」に注目しているのかと言えば、かねてから定住人口を増加する手法として「地域ブランディング(地域ブランドの構築・推進)」の必要性を感じており、行政単体でのプロモーション活動から脱却して、大津市民や各種団体と連携しながら、大津の魅力を整理し再構築して三者協働(大津市民、各種団体、行政)のもとで、大津の魅力を市内外に広げていく
運動をしていかねばならないと述べてきたからです。
 
 ブランド力が高まることで、大津への愛着・誇りを高めることができ、結果的に市外への人口流出を抑制へとつながり、また市外から大津への観光客や移住者を増やすことにもつながっていきます。「住みよさ」を競うのも一つありなんですが、「住みよさ」は都市計画や経常的な行政コストとも密接に関わってくる問題です。ですので、行政コストを抑えながら定住者を増やす取り組みとして、「地域ブランディング」が重要だと考えています。

 特に大事なのが、公・民一体となった取り組みを進めていく上での、「協議体」の設置です。
 昨年の8月議会で以下のように提言をしました。

 政策調整部が所管する「(仮称)びわ湖大津ブランド推進プロジェクト」を各種団体とともに立ち上げ、また、優れたブランディングディレクターを招聘し、大津市民が大津にますます誇りと愛着を持てるようなメッセージづくりを行い、市民と各種団体、行政とが一体となった体系的な都市ブランディングを図っていくべきだと考えます。

 これに対する市長答弁は以下のものでした。

 推進プロジェクトの立ち上げを行うことは考えておりませんが、自治体として、また地域として、議員のおっしゃるブランディングという取り組みを意識してまちづくりを推進していきたいと考えております。
 具体的には、総合計画の策定について、これまで大学生によるおおつ未来まちづくり学生会議、外国人や女性の方による意見交換会、無作為に選んだ市民の方に参加いただいたおおつ夢カフェなどを行い、大津市の将来像や大津市のよさについてお話をお聞きするとともに、今後は総合計画策定に係る地域別懇談会等も予定しており、そのような機会において市民の皆様の御意見をお聞きしたり、意見交換をする中で大津市のまちの価値やまちへの愛着などについて深めていきたいと考えております。


 何かかみ合ってないんですよね。私の提案質問と市長の答弁が。そこで再度質問をしました。

 「ブランド推進プロジェクト」を立ち上げないということであった。けれども、私は他都市の事例を見ていると、どうしても必要に思えてならないように感じています。
 庁内に事務局をどこかに置くか、もしくは外部団体や各種団体と一体になって、「実行委員会方式」または「協議会方式」で進めていくあり方も良いと思っている。ついては、何らかのブランド推進に関する事務局を、大津市行政に設置して、全体的な総合的なブランドメッセージを発信していく必要があると感じているが?


 これに対する市長答弁は、

 プロジェクトチームのあり方とその進め方の時期についてということですけれども、プロジェクトチームということではなくて、総合計画をつくる中で市民の皆様の御意見をお伺いしながら、市民の皆様と一緒に進めていきたいと思っております。そういう意味では、総合計画を進める上では政策調整部が中心となっておりますので、政策調整部を中心としながら、さまざまな市民の皆様の御意見を経て進めていきたいと思っております。

 でした。やはりなんか違うんですね。
 ※当時の一般質問に関する解説文(前篇)(後篇
  
 このブランディングに関しては昨年12月の議会でも取り上げました。
 そういう中での、今回の予算計上です。定住人口対策と観光振興対策と目的は違えど、根本は私は同じだと考えており、「地域の魅力」を再構築し、市民自身が地域の魅力を認識し、行政と一緒に情報発信していくというものです。観光振興に主眼が置かれたものではありますが、これは定住対策にも応用がきくものです。

 今回の質問を通じて、「DMO設置の目的」として、観光地づくりはもちろん、「シビックプライド醸成」や「まちのブランディング」も含まれていることを確認しました。
 私としては「まちのブランディング」の端緒としては許容範囲であり、ある一定の時期を経て、観光振興対策から定住人口対策を含めた総合的な取り組みにバージョンアップしていくことを願っており、引き続き議会でも取り上げていきたいと考えています。

 大津市が本気でやろうと思うなら、卓越した経験を有すシティプロモーターやブランドディレクターを登用し、機構改革を図って企画部門がブランディングを担当しなければならないと思います。道のりは遠いように感じますが、かねてより提言してきたことが曲がりなりにも一歩前進したことは評価したいと考えています。


大津市議会議員 藤井哲也拝





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