大津市の出生数アップに向けて。

ホームブログ>大津市の出生数アップに向けて。



 議員になる前は、若者の就職支援会社の経営を本業としていました。
 議員になって5年経つ現在も、新入社員研修や人事労務コンサルティングのご依頼を企業様から頂くことも多く、人事労務専門誌への寄稿も定期的に行うなど第一線で活動を継続させて頂いています。会社経営や人事労務分野の専門性を高めることは、財務諸表を読んだり、行政府内部の組織マネジメントを考えたり、また人口増加を考える際に大いに役立っており、充実した議員活動につながっています。
 来週月曜日に公益財団法人関西生産性本部にて「人が辞めない組織づくり」というテーマで講義をさせて頂く予定で、あらためて「人が定着する組織づくり」の理論をとりまとめする中で、「若者が定着する自治体」を理論面から考える良い契機としています。


*****

 越市長は市長選にあたって、6つのスマイルプロジェクトと銘打ち、その一つ目に「子育てと教育が充実し、子どもの未来が輝く大津へ」を掲げ、具体的には「大津版ネウボラ(妊娠期から就学期までの切れ目のないサポート)の検討」を選挙公報に記載していました。

 合計特殊出生率が1.7を超えているフィンランドで始まった「ネウボラ」は妊娠期から子どもの就学前までを支える公営の「出産・子育て家族サポートセンター」で、定期健診や子育てグッズパッケージの頒布などを行う行政サービスです。
 日本でもすでに多くの自治体が「ご当地版ネウボラ」の導入を始めており、その効果もある程度見られることから、ここ大津市でも早期導入を検討してほしいと思っています。

 大津市で人口減少が始まっているのは既にこれまで書いてきたので割愛しますが、主な要因は人口の社会増(転出人口-転入人口)の幅が大きく減少傾向にあることと、出生者が減っていることにあります。

 人口の社会増対策としては、私はこれまで転出人口を減らすために「市民のシビック・プライド醸成」が必要で、転入人口を増やすために「都市ブランディング」が必要だと言ってきました。
 そうしたことから、これまで数度 本会議の場で提案質問を行ってきましたが、大津市行政においては残念ながらまだまだ危機感が十分認識されていないようで取り組みも不十分に思います。担当課レベルでは私が提言してきたことも踏まえて諸々の検討が始まっているように思いますが、全庁的にはまだまだです。引き続き、同じことの繰り返しになるかもしれませんが、その必要性と具体的な対策について提言を行い、少しでも対策が前に進むように努めていきたいと考えています。


*****

 一方、人口の自然増の対策としてこれまで大津市が採ってきた政策は、おそらく「保育所の新設」が中心だったと思います。
 市長は就任以来、女性の就業率が結婚・妊娠・子育て期に減少する「M字カーブ」の解消に向けて、保育所に子供を預けやすい環境を整備し、結婚、妊娠、出産をしても働き続けられる環境をつくりたいと考え、保育所建設を進めてきたと思います。

 これはこれで一定の成果はあったでしょう。しかし問題になってきているのは保育士不足です。ハード(保育所)をガンガン建設しても、ソフト(保育士)がなければ、子どもを受け入れることができません。近隣自治体も保育士不足であり、京都市や草津市と保育士の獲得競争が行われているところで、これまで大津市は劣勢に立たされてきました。
 ハード、ソフト両方のバランスを保った待機児童対策を進めなければならず、早期に対策が求められています。

 また私が2014年の12月に本会議で提案したのは「三世代同居・近居政策の推進」でした。これは祖父母や地域の保育力を活用して、保育所に頼らない子育て環境の整備も同時に進めていかねばならないと考えたことが所以です。現実的には難しいと思いますが、仮に祖父母や地域の保育力を活用して、全ての幼児を預かってもらえるなら、高いコストを支払っての保育所建設や運営は必要ありません。
 少しでも三世代同居や近居を増やせば行政コストも引き下げられるかもしれません。
 要は待機児童対策ひとつ取っても、総合的に対策を講じていく必要があるのですが、これまでは「保育所建設一辺倒」だったわけです。

 今回の市長選で、越市長は「大津版ネウボラ」の検討を公約に掲げました。
 子育て政策の検討がようやく多角的に始められようとしていることに安堵しています。
 安心して子育てできる環境を、総合的に整備していくことは大変重要です。

 昔に比べて税率や社会保険料率の増加で、経済負担が増している子育て世帯が多い中、出産後も働き続けられる環境整備や、子育てに要する経済的負担の軽減を図ろうとする「ネウボラ」や、子ども医療費の軽減策は充実されるべきです。この点、越市長と私の考えは同じでしょう。

 しかし出生数をアップしようとする政策としては、私はこれらの政策だけでは不十分だと感じています。何が問題で、どのように考えていけばよいのか、私のなりの見解を次の記事で書きたいと思います。


大津市議会議員 藤井哲也拝 






▲ページのトップへ