越市政4年間の総括(2)~人口減少対策~

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現市政に対する私なりの政策評価2項目は「人口減少対策」についてです。

大津市の人口減少を食い止めなければならないという政策は、私と越市長とは共通する目標だと思っています。人口の急激な減少は、今後の安定的な社会保障制度の維持の最大の課題となります。若い働き世代が増えていかなければ、引退された方々が安心して暮らす社会は実現できません。
いま日本が直面しようとしているのは、少子化で少なくなってきた働き世代から、更に税金や社会保険料を徴収しようとしていることです。すでに所得の半分程度が税金や年金に取られている中で、これ以上の負担増は恋愛・結婚・出産・子育てへ影響してくるはずです。

人口減少対策としては具体的に以下の3点が重要だと考えています。
① 青少年や子育て世代の大津市への定着(転出者対策)
② 青少年や子育て世代の大津市への流入(転入者対策)
③ 合計特殊出生率の増加(自然増対策)


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「青少年や子育て世代の大津市への定着(転出者対策)」を評価するとすれば、5段階評価で「2」でしょう。もしかしたら「1」をつけてもいいかもしれません。間を取って「1.5」にしたいと思います。

大津市は平成22年に策定した人口計画では、平成32年まで人口が増え続けるとしてきましたが、平成26年から人口が減り始めました。あまりにも早い人口減少への転落の主な要因は、若い世代を中心に転出者が増加したことにあります。
※このあたりのことは、「藤井てつや活動報告書8」(PDF)に詳細を記載していますのでご覧くださいませ。
大津市が行った市民意識調査でも若い世代を中心に「定住志向」が低下傾向にあり、また結婚や就職などを機に大津市を離れている人が多いことからも、近隣他都市に比べて相対的に住環境や雇用環境が悪いということも言えると思います。
これら課題に対して適切な対策を講じられているかと言えば、現状は要因分析にとどまっている感があり適切な対応を取れているとは言えません。
議会では幾度となく「シビック・プライドの醸成が大切」だと私から述べてきました。大津市もその大切さを認めつつも、具体的な施策を用意して、「定住志向の向上」を図ろうとする姿勢はあまり見られません。

次に「青少年や子育て世代の大津市への流入(転入者対策)」では、5段階評価で「2」をつけたい思います。子育てに適した自然環境があるのは大津市の良いところですが、それは所与の恵でありそれだけに頼っていてはいけません。子育て世代の流入を促進するための具体的な施策の一つは「待機児童ゼロ」の宣言でしょう。しかしながら実際のところは、潜在的な待機児童はまだまだ大津市内にいることもあり、また近隣の他都市でも「待機児童ゼロ」を瞬間的に達成した自治体はあるので競争優位性を確保できたとはなかなか言えません。インセンティブを用意して移住者増を目指す政策はいずれ財政面に大きな問題をもたらします。
私が以前から議会で提案しているのが、都市の魅力やイメージを、市民や各種団体が一緒になって共有し発信する取り組み、いわゆる「都市ブランディング」です。
大津市は全国の青少年や子育て世代からどのようなイメージをもたれた町なのでしょうか。そもそもの知名度が不足しているのかもしれませんのでその対策も必要かもしれませんが、その前にすべきことは「統一的なブランドイメージの構築」です。「大津と言えばこれ!」というイメージを構築しなければなりません。
詳細は以前のブログ記事をご覧くださいませ。

最後に「合計特殊出生率の増加(自然増対策)」は、5段階評価で「3」です。
合計特殊出生率の増加に寄与する要素は幾つかありますが、特に重要なのが「若年女性人口」と「婚姻率」です。大津市は合計特出生率が微増傾向にあり、いま正にその要因分析が行われているところですが、おそらくここ数年の経済回復と、団塊ジュニア世代の駆け込み結婚・出産に伴うものではないかと思います。
保育所が増えたから出生率が上がったように大津市は言いたいのかもしれませんが、残念ながら大津市が採ったアンケート調査結果では、保育所増と出生率増の相関性はほぼ見られませんでした。
地域全体で子育てしやすい環境を作っていこうという姿勢は、ワークライフバランスに取り組む企業の表彰制度を設けたことなど一定評価できる部分があります。とはいえ、肝心の大津市役所自体、長時間残業がいまだ大きな課題であり解決していません。
根本的な対策としては、「若年女性人口」と「婚姻率」を高めていくことが、大きなポイントになるはずですが、そうした点から考えると、大津市ひと・まち・しごと総合戦略では、結婚促進施策について、ほとんど触れられていません。今後の人口政策の基本計画として、ひと・まち・しごと総合戦略を評価するならば、少し的を外している感を否めないのが実情です。


このように考えると、人口減少対策分野の私なりの評価は、5段階評価で「2.16」です。越さんは「住み続けたい大津市」をスローガンに掲げようとしていますが、残念ながらこれまでの4年間の成果はかなり低いものだと思います。このまま前に進めて行ってもいいのでしょうか。

大津市議会議員 藤井哲也拝





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