【一般質問解説②】英語教育の未来

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おはようございます。
技術革新のスピードはめまぐるしいものがあります。

今から30年前(1985年)、初代ファミコンでスーパーマリオブラザーズが発売され、家庭用ゲームが普及を始めた頃、米国ではアップル創業者のジョブズがスカリーによって辞職に追い込まれました。

今から15年前(2000年)、マイクロソフトからウィンドウズ95、98がリリースされ、日本においてもネット環境がISDNからADSLに切り替わり始め、ソフトバンクのパラソル販売部隊が街中にあふれていました。ちょうどこの頃、エキサイト社から日本初の英語⇔日本語 無料テキスト翻訳サービスがリリースされました。

2015年現在、再生医療や人工知能など目覚ましい技術革新が進んでいます。
音声認識技術や言語アルゴリズム研究も急速に進歩しており、たった15年前に無料のテキスト翻訳システムができた(しかも、その精度はかなり低かった)ばかりにも関わらず、もう無料の音声通訳システムが世にリリースされています。



(マイクロソフト社のSkype Translatorのデモ)


(グーグル社のGoogle Translateの紹介)


もはや 某アニメの ほんやくコンニャク が世界中で実現しようとしている状況にあります。

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こうした中、日本では一足遅れの英語教育の充実が進められようとしています。
英語ができれば、これからのグローバル社会で活躍できるという妄信のようなものです。
確かに英語ができるに越したことはありません。私も英語が苦手な方ではありましたが、受験のときは3万以上の単語やイディオムを覚えました。リーディングはなんとかそれでできます。
スピーチとリスニングが問題で、高校や大学の時は毎日、聞き流しの英語を寝床でかけていました。

私は今から2年半前、本会議で大阪市でいち早く学校教育に導入された、「フォニックス学習法」を提案し、英語教育の充実を求めていました。電子計算機があるからと言って数学や算数が必要ないのと同じで、英語教育の基礎というのは、外国語コミュニケーションにおいて必要なものだという思いは今も変わりません。

しかしながら技術革新のスピードは想像以上で、おそらく今の小学校1年生(6歳)が社会に出る15年後~20年後は、英語と日本語間の音声通訳システムは飛躍的に精度向上され、ネット等を介さずとも、通訳アプリさえインストールしておけば、だれでも外国人とコミュニケーションできる環境が整備されていると、確信しています。

そうした環境整備 が高い確度で予想される中、大津市はどのように学校教育の中で英語教育に取り組もうとしているのでしょうか?市長は率先して「英語教育の充実」を訴えていますが、そもそも語学としての英語は将来、必要なくなっているのではないでしょうか。


ところで、英語ができれば世界で活躍できるというのは大きな誤りです。
イチローやホンダ、カガワら世界で活躍するスポーツ選手は外国語が出来たから活躍できたのではなく、あくまで野球やサッカーが巧いから活躍できています。つまり英語というのは阻害要因になることはあっても、本来的にはプラス要素はそれほど大きくないのではないでしょうか。

今の日本の子どもたちに必要なのは、一番は論理的思考力だと私は思っています。そして対人関係構築力と表現・プレゼンテーション能力も重要です。
そうした能力の基盤になっているのが、基礎学力&基礎体力であり、自己効力感と思います。



今回の一般質問では、15年後の未来、英語を取り巻くコミュニケーション環境がどのように変化していると考えていて、教育振興基本計画策定にあたっては、どのようにそのような環境変化を議論し盛り込んだのかを質問しました。
以下がその答弁です。

(15年~20年先の英語コミュニケーション環境について)
 今から20年前を思い返しますとパソコンが普及し始めた頃であり、15年前というと携帯電話でメールのやり取りが行われるようになった頃です。そして現在、多くの人が携帯電話やスマートフォンを持ち、インターネットやメール、ブログなどを手軽に利用できる時代となりました。
 このことからしますと、議員お述べのとおり、現在の小学1年生が社会に出る15年から20年後の社会において、英語のコミュニケーション環境が大きく変化していることが考えられます。
 しかしながら学校教育において20年まと今とで変わらず大切にしていることは、人と人とのかかわり、つながりであり、たとえ今後コミュニケーション環境が大きく変化していく状況にあっても、それらが必要であると考えています。

(計画策定にあたって)
 世界規模でグローバル化が加速する社会にあっては、人の個性や多様性を尊重し、柔軟な思考力と人とつながる能力を持ち、生涯を通じて必要な知識や能力を取得していく力が求められているため、国際社会の中で能力を発揮できる人材を育成するための6つの方針(※1)を定めました。
 このことの実現を目指して、世界に通用するグローバル戦略を重点に挙げ、ICTを活用した基礎的な英語力の習得や、日本や滋賀県、大津市に関する教育を重視するとともに、児童生徒に英語を使ったコミュニケーション体験の機会を増やすことを方針に盛り込んでいます。

※1:方針として
①ICTを活用したティーチングメソッドを小学校1年生から実施することで、子どもたちの学ぶ意欲を喚起するとともに、英語の授業時間の増加を図ります。
②小中学校にALTを配置し、授業だけでなく、学校生活の様々な場面で児童生徒がALTとふれあい、英語を使ったコミュニケーションの機会を大切にします。
③英語指導を担う教員の英語力と授業力の向上を図るため、研修の充実に努めます。
④中学生が姉妹都市等と交流する機会を提供し、文化的視野を拡げるとともに豊かな国際感覚を醸成します。
⑤日本の伝統文化を学ぶ機会を提供し、こどもたちにその魅力を伝えます。
⑥市内小・中学校の英語教育をリードする推進校を設置します。
が掲げられている。



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英語力強化は確かに重要ですが、音声通訳システムの開発とともに、相対的な重要度は大きく下がります。大津市では、1時限目の前や、給食後の空き時間(モジュール時間)の大半を英語教育に費やそうとしていますが、少しやりすぎに思えます。

本年度後期や来年度から、小学校で試行的に様々な英語教育がなされます。
コミュニケーションで大切なものが見失われないか、導入後、一度じっくりと現場周りをしたいと思っています。

なお、今月6月29日までの間、「大津市教育振興基本計画」のパブリックコメント(市民意見募集)が行われています。
http://www.city.otsu.lg.jp/shisei/koho/public/index.html


大津市議会議員 藤井哲也拝




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