【一般質問解説⑤】大津のブランディング(後篇)

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私にとって今期最後の一般質問について解説を交えながら記載してきました。
「大津のブランディング」の後篇について書きたいと思います。


『ブランディング』ーーー。

まずは聞きなれない言葉かもしれません。wikipedia から抜粋しますと・・・
顧客の視点から発想し、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていく企業と組織のマーケティング戦略のひとつ。ブランドとして認知されていないものをブランドへと育て上げる、あるいはブランド構成要素を強化し活性・維持管理していくこと。またその手法。 ここでいうブランドとは高級消費財に限らず、その対象としては、商品やサービス、それらを供給する企業や団体、また人物・建築物・史跡・地域 ・祭事 等々、営利・非営利、有形無形を問わずあらゆるものが該当する。」

つまり、顧客(大津市では市民及び来訪者、または事業者など)の目線に立ち、お客様にとって価値あることを考え、洗練させ、お客様にそれを感じて頂けるようにマーケティングに取り組むことです。


先にも述べましたが、大津市にはこうした観点が現在、不足と言うか、欠落しています。
本会議場で述べましたが、「おおつ光ルくん」という大津の観光キャラクターがいますが、石山寺と縁がある紫式部著の源氏物語の登場人物をもじって、作られたキャラクターです。
しかし現在、大津市観光交流基本計画には、「びわ湖」「グルメ」「温泉」をキーワードに観光振興に取り組む旨が明記されており、このいずれにも「おおつ光ルくん」は関係が薄いのではないでしょうか。

何が言いたいのかと言えば、「観光振興における統一感のなさ」です。
この状況下で、来年度 「インバウンド元年」などと称して、台湾からの誘客促進を行ったり、または「食開発ワークショップ」が開催されたり、もしくは大津駅前通りを活用した事業が行われようとしていますが、いずれもコンセプトがバラバラです。そもそも台湾の方に、どのようなイメージを持って頂きたいのか、明確なブランド価値がまとまっていない段階で、各種プロモーションを行っても、それらは単発的な施策にすぎません。

運よく成果を収めることができたとしても、単に運が良かっただけです。
市長や計画更新のたびに、伝えたいイメージが変更になっては、お客様(市民や来訪者)にとっては、ぼやっとしたイメージしか伝えることができません。それでは本当におカネ(税金)の無駄遣いです。毎日、タクシー通勤をしている市長には経営センスがもともとないのは承知していますが、新たに大津に赴任してきた、リクルート出身の「観光プロデューサー」も観光資源の発掘等で時間とコストの浪費を行うよりも、まずはこうした根本的な問題点を指摘し、抜本改革を行わなければ、専門家としては能力が低いと思われて仕方ないと思います。



大津市では、例えば「ロゴタイプ」も統一されていません。

ブランド大津バラバラ(27年2月)


これに対して、先進的な浜松市などでは、しっかりと「ビジュアル・アイデンティティ」が整備されています。
→ 浜松市のビジュアル・アイデンティティについて(PDF)

浜松市ビジュアルアイデンティティ



国内外の有名企業で、ロゴタイプが部局ごとに異なって使われているということは、まずはありません。しかしながら、恥ずかしいことに大津市では単一組織であるはずの庁舎内でさえ、異なるロゴタイプが横行しています。

その昔、「CI」(コーポレートアイデンティティ/コミュニティアイデンティティ)が盛んに取り上げられていた頃、大津市でも「熱心 市役所 大津市」というキャッチコピーを作り、各種ロゴの制定なども行われたそうですが、今は昔、それからもう20年以上もたっています。



人口減少社会として、自治体間の生き残り競争が激化しつつある昨今、大津市も生き残りをかけたサバイバル環境にあります。地域の付加価値を高め、多くの方に移り住んできていただだく。また、多くの方に観光来訪して頂く、その必要性が高まっています。

民間では当たり前ですが、二番煎じでは意味がありません。
横並び体質の行政組織では難しいのかもしれませんが、そうは言っていられない時代に突入しています。

やるべきことは、市民や民間事業者を交えた自治体・大津としての「ブランディング」です。
いっそのこと、「大津市」ではなく、「おおつ市」としてもいいのではないでしょうか?
市民憲章はあらためて読み直しても、素晴らしい文章だと思います。
しかし、刷新するかしないかは別として、あらためて内容が相応しいか検証すべきかもしれません。
またロゴマークやロゴタイプは、お客様に伝えたいイメージや価値を意識して作られているでしょうか。市民が誇りを感じるロゴでしょうか?

そもそも、「大津」とはどのような町なのでしょうか?
合併を繰り返し、大きくなった「グレート大津市」においては、アイデンティティが分散化しており、統一性が損なわれつつあります。もちろん地域ごとの文化や地域性はあっていいと思いますが、多元性という名のもと、思考停止に陥っていないでしょうか。
お客様(市民や来訪者)を意識して、そして市民や民間事業者と一緒に、「大津のブランド価値」を確立していく段階にあると私は感じています。


今期最後の一般質問で、私は次期総合計画基本構想の策定と並行しながら、大津のブランディングに取り組むべきだと提案をしました。そしてそのための専門的なプロジェクトチームも作るべきだと。

大津市の回答は、「ブランディングを意識しながらまちづくりに取り組むことが必要だ」「ブランディングのプロジェクトチームは作らない」というものでした。
思った以上に回答が後ろ向きで驚きました。「ブランディングを意識しながらまちづくりに取り組むことは必要だ」というのは誰もが同じ考えだと思います。
それをやるか、やらないか。そこが重要です。

政策調整部長が答弁に立ちましたが、私はこの答弁は市長が答えるべき内容だと思います。
市長にも答弁を求めましたが、市長は大仏さんのように薄目を開けて黙るばかり。

ああ残念。

「ブランディング」に早急に着手しない、越市政では、大津の未来はないように感じたところです。

答弁27年2月藤井哲也



大津市議会議員 藤井哲也拝






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