11月議会 一般質問解説②「大津市の人口増政策Ⅱ」

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おはようございます。
滋賀県の大津市議会議員、藤井哲也です。

藤井哲也 大津市議会議員 画像 26年


11月議会の1つ目の質問「人口増政策」について解説していきます。
ちなみに動画もアップしていますので、ご覧くださいませ。


大津市ですが、「合計特殊出生率」(※1)は直近では平成25年度は「1.48」となっています。その前は「1.41」(平成23年)、「1.41」(平成24年)でしたので、回復傾向にあるようですが、まだ誤差の範囲内で、ちょっとした問題によりすぐに上下するでしょう。

なぜ回復傾向にあるのかは、今回の質問でも聞きましたが、正確な分析を大津市がやっていないので分かりませんが、市長が言うには「今大津市に住んでいる方が子どもを持ちたいと思えるような環境になったり、1人子どもさんをお持ちの方が2人、3人持ちたいと思えるような環境を作ることだと思っています。これについては、一定やはりそういうことができてきたからこそ、出生率が1.41から1.48に上がってきたものだと思っています。」と述べています。

しかし部長が言うには、「30歳代の出産が多かったデータから見ると、医療の発展などが考えられる」ということで、つまり不妊症対策などが、合計特殊出生率増加の要因ではないかということです。

またデータだけ見ると、大津市では婚姻届が増えてきています。
住民票だけ大津市においている方もいると思うので一概に申せませんが、傾向としては大津にゆかりのある方の婚姻率が高まってきていることが考えられます。
多くの研究調査により、「有配偶率と合計特殊出生率の相関性」は高いとされており、確かに婚姻件数が増えることが、子どもが増えつつあることと関係しているのかもしれません。


いずれにせよ、現在大津市が進めているような保育所をバンバン新設して、とりあえず待機児童を減らすという応急処置的な対応が奏功し始めていくのはこれからのことであり、現実的にクールに分析するならば、ここ数年の日本経済の回復基調と、それを背景とした滋賀県、そして大津市での婚姻件数の増加や、不妊治療等も一部影響を及ぼしながら合計特殊出生率が微増傾向にあることが言えるのではないかと思います。


少子化対策大津市26年12月①


市長が言うように「1人目の子どもを持つ、または既に子どもがいる家庭が2人目、3人目の子どもを産みたいと思える環境整備」というのは、総合的な観点から捉えられなければなりません。簡単ですが図に示すと上のようなものです。

子どもを産むか、産まないかという問題を考えるときに非常に大きな要因としては私は2つあると考えています。


1つは心理的な部分です。
子どもをそもそも持ちたいと思うか、または結婚したいと思うか、というものです。
非婚晩婚化が進んでいると言われていますが、もともと20歳代では結婚したくないと思っている男女も結構増えています。これは厚生労働省の出生動向調査等を見ても明らかです。
また、結婚していても子どもを(持てるが)持たないという家庭もあります。
経済学的に捉えると、「ミクロの視点」です。
いかに、こうした方々が「結婚したい」「子どもを持ちたい」と思えるようになるかが、人口増政策の重要なポイントになると思います。

またもう1つは経済的な部分です。
結婚したくても、お金がないから結婚できない。一人前になるまでは、経済的な基盤を創るまでは結婚しないと考えている若者世代も多くいます。また1人の子どもを持てたとしても、2人目、3人目となると、やはり経済負担が将来重くのしかかり、十分な教育を受けさせてやれないのではないかなどの想いがよぎり、産むことにいたらないこともあると思います。


予定子ども数藤井哲也


国の調査によると、夫婦(有配偶世帯)が「将来的に予定している子ども数」は、「2.07」です。しかしながら現状は「1.43」です。もし予定している子ども数を予定通り産むことができているならば、夫婦世帯だけで見ると人口置換出生率(人口維持のために必要な合計特殊出生率)をクリアすることになり、日本において人口減少を一定食い止めることができるのです。
(実際は独身男女が合計特殊出生率を引き下げるため、「希望出生率」として「1.80」が算定されており、「ひと・まち・しごと創生法」における人口ビジョンにおいても、この「1.80」が第1段階目の目標として設定されることになりました。)

それでは何が「予定している子ども数を産むことができない阻害要因」なのでしょうか。
実はこれも国が調査している統計があります。

人口増政策大津市26年11月

つまり、多数の方が経済的な理由を持って、子どもを持てないと回答しているのです。

「心理的な要因」そして「経済的な要因」を国や自治体が政策によって、少しでも取り除くことができれば、出生率を回復します。



大津市議会議員 藤井哲也拝



【参考】
※1:「合計特殊出生率」とは、人口統計上の指標で、一人の女性が一生に産む子供の平均数を示す。














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