平成25年度 決算委員会 その3

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おはようございます。
滋賀県の大津市議会議委員、藤井哲也です。

最初にグッドニュースです。
平成25年度に大津市議会は栄えある「マニフェスト大賞 議会グランプリ」を獲得しましたが、この度 平成26年度は「マニフェスト大賞 優秀復興支援・防災対策賞」を受賞しました。
私も委員を務めた政策検討会議において、「議会業務継続計画」を同志社大学の新川教授の指導のもと策定したことが評価されました。(※1)
大変な名誉だと思いますが、これは現在の議会議員を選出した大津市民の皆さまの功績です。
大津市議会が益々、全国の議会活性の先端を走れるように私も取り組んでいきたいと思います。

さて、議会は閉じたものの各種報告が済んでおりません。
一般質問の報告は昨日までに終わったものの、平成25年度の決算審査について、取りまとめたいと思います。


大津市に限らず、行政や企業でもそうですが、企画(プラン)、実施(ドゥー)、評価・検証(チェック)、見直し(アクション)という、いわゆる「PDCAサイクル」をまわして、中長期的な目標の達成に向けて活動をします。

大津市では10年単位の「総合計画」に基づいて、各施策が展開されています。

大津市決算政策評価25年度


決算全体会で私から質疑したのですが、大津市においては いくつかこのプロセスに課題があると感じています。


■ 施策評価(チェック)が次年度予算編成に適切に反映されていない?

大津市では「52分類した施策評価」とその施策の下にある事務事業を評価する「事務事業評価」があります。この評価結果を次年度予算編成等に反映することでPDCAサイクルが回り、効率的な行政運営ができることにつながります。
ここで私が疑問に思うのが、「施策評価」にしろ「事務事業評価」にしろ、中途半端で終わっていることです。いずれも事業実施主体による1次評価しかなされておらず、総合的な観点から部署横断的に評価がなされていません。
つまり、人事評価で例えるならば、1年間の評価を自分が行っており、上司などから評価を受けていないのです。これによって、評価は自然と甘くなります。そしてどの事業も「現状維持」か「拡充」と評価されてしまいます。

以下、今回の大津市の施策評価です。

政策評価の課題(大津市)

詳細は割愛しますが、どの事業もA評価(全体の61%)またはB評価(全体の39%)となっており、C評価はありません。その結果、「拡充すべき」と自己評価した施策が52%、「現状維持」と評価した施策が48%となっています。

横断的に評価する2次評価者がいれば、このような結果にはならなかったと思います。
なぜならば、すべての施策を拡充または現状維持と考えるならば、財政が成り立たないからです。1次評価者が絶対軸に基づく「絶対評価」をするのは仕方ありませんが、本来であれば人事評価でも同じように資源が限られる中にあっては2次評価者が「相対評価」をしなければなりません。

こうした課題がある中、次年度の予算編成を行うことになりますが、結局は財政規律を護るために、「選択と集中の観点」が欠落したまま、財政課の予算査定が行われることになります。そして最後は市長のさじ加減や、その時の気分や、恣意的な判断によって、ある事業に予算が盛られることになってしまいます。政治家である市長がそうした判断をするのはいいのですが、いずれにせよ、そうした判断はPDCAサイクルの中にあっては、「チェックの部分」つまり、決算や行政評価の段階で行っておかねばならないのです。

大津市はこれができていません。大変な問題だと思います。



■ 市民アンケート結果が適切に反映されていない?


大津市は「PCDAサイクル」中の「C」の部分、つまり行政評価を行う際に、市民の皆さまのアンケート結果も取り入れています。つまり、施策の重要度という項目の中に、市民アンケート結果などを反映した「市民意向」という項を設けています。
しかしここでも問題が発生しています。適切に市民アンケートの結果が反映されていないと思われます。この課題については実は以前、一般質問でも取り上げました。(※2)
以来はじめての決算ということもあり、さすがに適切に反映されているだろうと思っていたのですが、今回も残念な結果でした。


改善維持クロス大津市25年度


図が小さく見にくいかもしれませんが、「4」「3」「2」とカラーを変えて示しておりますが、この数字が「市民意向」として、「行政評価報告書」に記載されたものです。
横軸が市民アンケート結果に基づく「改善指数」(※3)で、縦軸が同じく「維持指数」(※4)です。
基本的には右上に行くほど、市民ニーズが高いと考えられ、左下ほど市民ニーズが低いと考えられます。

ここで問題なのは、「2が多いゾーン(市民意向が低いと考えられるゾーン)」と書いている中に「4(市民意向が高い)」が混じっていたり、「3が多いゾーン(市民意向が高めと考えられるゾーン)」に「2(市民意向が低い)」が混じっていたり、合理的な説明ができない点にあります。
こうした指標の他、「重要度」なども考慮し、最終的には「総合的」という行政にとって都合がいい言い方を用いて、恣意的に市民アンケート結果が評価されている実情が浮かび上がります。

仮に「2が多いゾーン」と書いている円の中にある、ニーズが高い「4」と評価している施策は「社会教育の充実したまちづくり」という項目で、重要度は52施策中42位と決して高くはありません。また、「3が多いゾーン」にある、ニーズがやや低い「2」と評価している施策も他の施策と比較してみたところ整合が図られていないようです。

担当部署が市民意向が高いと感じていれば、アンケート結果を軽視して高めに評価することもできるわけで、やはり大いに問題があると言えます。



このような問題を抱える大津市の決算ですが、私からは「行政評価のあり方」そのものを根本的に見直すように提案を行いました。行政は基本的に間違いを認めませんから、議論は平行線でしたが、私の言わんとすることは十分に理解頂けたものと感じています。
誰が見ても明らかに合理的に説明がつく市民意向の反映をして頂きたいと思います。


ちなみに大津市の平成25年度の決算状況は以下の通りです。

平成25年度大津市決算状況




大津市議会議員 藤井哲也拝


【参考】
※1: 2014第マニフェスト大賞「優秀復興支援・防災対策賞」受賞について(大津市議会HP)
※2: 2014/6/26 ブログ記事『一般質問の解説④「市民意向の施策反映を適正に!」』
※3: 改善指数とは「改善指数=重要度×(6-満足度)」で高いほどニーズが高い。
※4: 維持指数とは「維持指数=満足度×重要度」で高いほどニーズが高い。





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