現実を視よ!

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こんばんは!
滋賀県大津市議会議員 藤井哲也 です。

月曜日から火曜日にかけて、市議会の総務常任委員会メンバーにて行政視察に行って参りました。

月曜日: 東京都武蔵野市(先進的な人事制度について)
火曜日: 神奈川県秦野市(先進的な公共施設の更新対策について)
     東京都町田市(先進的な公共サービスの受益者負担対策について)

報告については、別途後日まとめて、ブログで致したく思っています。
特に、武蔵野市の人事制度と秦野市の公共施設の更新対策に関しては、非常に勉強となりました。
また町田市は3年前に市役所を建て替えたそうですが、建て替える際には事前に別の土地を購入したということです。大津市も耐震性の問題等で、いずれ市役所自体を建て替えなければならない時期がきます。
現在の市役所の隣接地を買うか、買わないかを選択できる時期にありますが、それは今のタイミングだけで、この時期に買わないとなると、私が生きている内にはその機会は訪れないと思います。
近々、大津市の附属機関が立ちあげられて、有識者(ホントに有識者なのか?)による議論がなされます。12月頃には市として決断の時期が来るはずですので、その審議をしっかりと見ていきたいと思います。
(個人的には、隣接地は購入しなくてもいいのではないかと考えています)


さて、東京出張に行く前に1冊の本を買いました。
ファーストリテイリング(ユニクロ運営会社)の、柳井正 会長兼社長 が書いた、「現実を視よ」という刺激的なタイトルの本です。


(柳井氏の著「現実を視よ」と「成功は一日で捨て去れ」)


この方の本は非常に現実に即して書かれていると以前から思っていまして、シビアな競争環境の先端で戦っている日本人の言葉として貴重であると感じてきましたが、今回の著書「現実を視よ」は、現在の日本がおかれている現状についてリアルに考察されており、そしてその危機的状況について居ても立っても居られない姿が目に浮かぶように紙面に表れています。

アイドルの総選挙や、パフォーマンスの事業仕分けに日本が興じている、この20年の間に、日本は世界のスタンダードから見れば、「中の下」に落ちてしまったと述べています。
また、たかだか400万円の平均年収しかない国民が、2人で1人の年金生活者の200万円の年金給付の原資を支えることになる、これからの社会保障制度を維持するのは不可能であるとも述べており、もはやタイムリミットが迫っていると云っています。
「資本主義の精神」、「働かざるもの食うべからず」、「現実を視よ」というこれら、この本に記載されているキーワードはすさまじいこれからの日本の激流を予期しているものです。


■「現実を視よ」目次
プロローグ 成長しなければ、即死する
第1章 いまやアジアは「ゴールドラッシュ」
第2章 「資本主義の精神」を忘れた日本人
第3章 政治家が国を滅ぼす日
第4章 あなたが変われば、未来も変わる
エピローグ 二〇三〇年・私が夢見る理想の日本


中でも特筆すべきは、本人はこれまで政治的発言を、経営者、ビジネスマンとして触れるべきではない、当然ビジネスにはマイナスに作用するだろうと思って避けてきたということだが、政治家や行政マンに直言している点である。

私が申すのはおこがましいとは思いながら、政治家のハシクレ、会社経営者のハシクレとして、この本はぜひ多くの政治家や行政マン、そして多くの若者(特に就職を控える学生)に見てもらいたいと思っています。



プロローグから一文を引用します。
 経済成長を否定する識者のなかには、「別に豊かでなくてもよい」という言い方をする人もいる。その発言はあまりにも無責任ではないか。
 「清貧の思想」からは、何も生まれてこない。もっと豊かになりたいと思うから、人は創意工夫し、努力を重ね、成長する。
 貧しくても心が豊かならよいというのは、豊かになった人だけが言える戯言。「貧すれば鈍する」という言葉もあるが、かつかつの生活をしていて、ほんとうに有意義で充実した人生を送れるだろうか。
 「貧しくてもよい」と軽々しく口にする人は、「ほんとうの貧困」を知らない。
 


行政視察の新幹線車中で隣の議員は、福沢諭吉の「学問ノススメ」を読んでおられた。
その一節には「一身独立して一国独立す」という意味の次のような言葉が書かれている。

我日本国人も今より学問に志し、気力を慥(たしか)にして、先(ま)ず一身の独立を謀(はか)り、随(したがつ)て一国の富強を致すことあらば、何ぞ西洋人の力を恐るゝに足らん。道理あるものはこれに交(まじわ)り、道理なきものはこれを打払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこの事なり。



云うまでもなく、「一身独立」とは経済的自立ありきである。
経営者として10年間ビジネスをやってきて、この社会、この国の危機を肌で感じたからこそ、私も政治に関心を持って足を踏み入れた。生活保護者の数は過去最高となっている。貧困の度合いから云えば、もはや戦争直後をしのいでいるとさえいわれる。
この国の未来に希望を創るために、議会の一議員としてできることは、極めて限定的だが、やれることをやっていきたい。



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