9月一般質問③『市職員の人事制度、給与制度について』(part2)

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こんばんは。
滋賀県の大津市議会議員 藤井哲也 です。

私が議員ライフワークとして取り組む重点的なテーマの一つ、「公務員制度改革」に関してです。
「公務員制度改革」というと、どうしても「公務員たたき」と捉えられがちですが、ハッキリ言って違います。
会社経営においても重要な課題の一つですが、経営者がいくらビジョンを語って、資金繰りに奔走したとしても、組織が動かなければ全く意味がありません。民間企業で言うところの、社員のモチベーションアップ、そこから生み出される給料の原資としての売り上げ、利益を得るための人事の問題を解決することと同じだと思っています。
モチベーションアップのためには、「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」を、労働の対価として提供し、きちんと仕事の働きぶりに応じて認めてあげることが大切です。

公務員組織においても、一人ひとりの上司が部下の面倒をしっかりと見て、フォローアップをしており、日々のモチベーション維持に貢献されていますが、公務員という保障された身分(解雇されることはほぼない、民間企業のように業績悪化によってリストラされることも夕張市のような事態にならない限りまずない)のため、何事もなく、「見せかけの勤勉」により、消極的に何事も問題なく仕事をやっていればいいわけであり、モチベーションの3分類、すなわち、「情緒的コミットメント」、「功利的コミットメント」、「規範的コミットメント」においては、「功利的コミットメント」が極度に高くなると考えています。
簡単にいえば、「嫌なことでも我慢していればいいわけなので、とりあえず毎日我慢して仕事をこなす」という心理状態です。

本来のあるべき姿というのは、「情緒的コミットメント」が高い状態のことだと思います。
この状態は、「市民の生活向上のためにがんばらなければ!!!」という熱い思いを持っていることをさします。
公務員でも最初のうちはみんなこうした思いを持って仕事に取り組んでいると思いますが、いずれそうした思いも日々の仕事の中で薄らいでいくと考えられます。

私は、公務員の人たちが、市民のことを考え猛烈に働く状態を作り出せれば、湧き出すアイデアにより市民生活はもっともっと良くなると思いますし、職員相互の刺激により能力形成も促進されて、アイデア実現に向けた動きも活性化すると思います。

そうするためには、やはり「制度改革」が必要だと私は思っています。
つまり「公務員制度」改革です。


モチベーションアップを阻害する要素はたくさんありますが、キーワードは「認めてあげる」ことだと思います。
人事コンサルタントとして私が長年様々な面でご指導を頂いてきました、同志社大学の太田肇教授はこの分野の権威的存在と私は思っていますが、著書「見せかけの勤勉」「公務員革命」において、これまでの日本社会のように特別、アタマを使わずとも言われたことをその通りやるというワークスタイルにおいては「見せかけの勤勉」で十分であったものが、高度知識が必要となってきている昨今のワークスタイルにおいては、「見せかけの勤勉」は通用しないと述べておられます。
本当の意味での「勤勉」は、過剰管理を廃することや、人事評価を見直すこと必要性などを述べておられます。


私としては、制度上、問題があるとすれば、
① どれだけ市民のためにがんばっても、評価は周りのがんばっていない人と同じ(相対評価の導入の必要性)
② 普通に仕事をしているだけで、平社員でも管理職並みの給料がもらえる(給料表の級を越えた重なり問題)
の2つが問題だと考え、今回の議会では取り上げました。


つまり、人事評価においては、大津市では「S」~「D」まで5段階ありますが、評価の分布をみる限り、全体の6~7割の人が中間のランクの「B」に位置付けされていて、2~3割くらいの人が「A」評価、「S」や「C」、「D」はほとんどいません。
どんなに頑張って仕事をしても、人事評価が頑張っていない人と一緒ならば、一生懸命仕事をするでしょうか?

大阪府・市や、私が昨年度視察に行った豊田市などの先進的な自治体においては、「A」評価の人は全体の20%、「B」評価の人は全体の50%という相対的人事評価を行っています。
大津市の評価制度は、別にこうした割合を事前に決めているわけではなく、上司のさじ加減一つで「お前はよくがんばったからA評価だ」、「まあまあよくがんばったけどこれからに期待だからB評価だ」という感じでなんとなく評価されているのが実情ではないかと思います。

第一この問題を書けば長くなりますが、評価要素が曖昧であるわけで、何をすればA評価、B評価というのが決まっていない以上、絶対的評価というのはうまくいくはずがありません。
上司も何を評価すればよいのかよくわからないので、主観や好き嫌いが評価に入り混じってきます。
ここに「見せかけの勤勉」の入る余地があります。「とりあえず上司の前ではがんばっているフリをしよう」と。

この問題について、市執行部に質問をしましたが、結局は現状のままの「絶対評価」を今後の新人事制度で使っていくというものです。はっきり言えば、このような絶対評価はモチベーションアップの観点からすればうまくいくはずがありません。
人事評価制度を作る人自体が総務部であったり、職員課の、公務員であり役所内部の人間である以上、波風を立てたくないのはわかりますし、調和をとって無難な「これまでと同じ人事評価制度」を選択するのも分かりますが、そうした人事評価制度は無意味です。
本当に職員のモチベーションアップ、ひいては市民の生活向上を、総務部や職員課は考えているのか甚だ疑問です。
市長は、こうした人事制度変革にモノを申せる立場にもかかわらず、「これでOK」と言っているのだから、市長は「あっち側(公務員側)の人間」なのだなと私は思います。本来、市長は市民のために働くものだと私は思うのですが。



patr3へ続けます。

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