市設置の「第三者調査委員会」について。

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こんばんは。
滋賀県・大津市議会議員の藤井哲也です。

本日午後、市教育委員会の8月定例会が開催され、私も参加いたしました。
市教育委員は教育長を含め5人いますが、定例会冒頭に5人の委員が、いじめ自殺の件についてコメントをされました。
そして教育委員会としても、「大津市いじめ対策検討委員会」を設置することなどを決められました。
以下、この検討委員会設置要綱の「目的及び設置」、「検討事項」の項目の抜粋です。


(目的及び設置)
第1条 平成23年10月11日に起きた、中学校生徒の死亡事故を受け、いじめの未然防止、早期発見・早期対応をするため、「いじめ対策の改善策」を策定して、今後の指導に生かすため、大津市いじめ対策検討委員会を設置する。

(検討事項)
第2条 委員会は、次に掲げる事項を検討する。
(1)今後のいじめ対策に関すること。
(2)その他、前条の目的を達成するために必要な事項に関すること。



「いじめの未然防止ができず、早期発見・早期対応ができなかった」ことを認めているものと理解できます。それならば当然、なぜ「いじめの未然防止ができず、早期発見・早期対応ができなかった」のかを調査検証した上で検討し、「いじめ対策の改善策」を策定していくものと思います。
気になるのは、検討委員会委員長が教育長であり、副委員長は教育部長ということで、委員はすべて教育委員会内部の職員です。果たして適切に検討することができるのか、はなはだ疑問であります。
またもう一点気になるのは、この検討委員会は来年1月に検討結果の報告をするとのことです。
しかし澤村教育長の教育委員の任期は12月までです。まだ先はわかりませんがもし再任されなければ、途中で検討会委員長が替わることになります。このあたりが12月で問題にならなければいいと思うのですがどうなるかわかりません。できれば12月上旬までには、検討結果の途中報告をしてもらいたいと思います。


さて本題です。
こちらも先ほどプレスリリースがなされ早くも新聞社等が取り上げていますが、市が設置する「第三者調査委員会」の人選が固まったようです。
以下の方々です。

■横山巌氏(弁護士/日弁連からの推薦)
■桶谷守氏(京都教育大学教育支援センター教授/日本生徒指導学会からの推薦)
■野田正人氏(立命館大学教授/滋賀臨床心理士会からの推薦)
■渡部吉泰氏(弁護士/ご遺族からの推薦)
■松浦善満氏(和歌山大学教授、関西こども文化協会理事長/ご遺族からの推薦)
■尾木直樹氏(教育評論家、法政大学教授/ご遺族からの推薦)


8月中に第1回委員会を開けるよう日程調整を進めているとのことで、調査委員会の要綱についても協議中とのことです。
早急に詰めて頂いて調査を開始してもらいたいのはヤマヤマですが、調査委の委員への報奨金が発生するため本件は予算が必要となる(地方自治法第96条により議会の議決が必要となる)にも関わらず、なぜか市議会には正式な設置の報告がないのが気になっています。
市には何を調査する委員会となり、どのような調査委になるのかをしっかりと議会にも説明してもらいたいと思います。

あとひとつ、気になる点があります。本日(8月9日付)の読売新聞の記事で、


いじめを受けていた大津市立中学2年の男子生徒の自殺を巡り、市が7日、遺族側に提示した外部調査委員会の要綱案では、遺族側の要望に沿って実務を担当する「調査員」が置けるように規定された一方で、結果報告を受けた市長が市教委に内容を順守させるよう条例を制定することなどは盛り込まれなかった。
 遺族側が3日に示した素案では、市や市教委の職員らに調査への協力義務があることを規則で定めることや、市教委などが調査委の提言に誠実に向き合うように、市長が条例を制定することなどを求めていた。
(以上記事より抜粋)



とあります。
文中に「実務を担当する『調査員』が置けるように規定」とありますが、今回は地方自治法第202条の3による附属機関ではなく、同法第174条による専門委員として設けられると聞いていますので、市役所職員が庶務を担当することはできません。ということは、この「調査員」も市役所外部の人間ということになります。つまりここにも報奨金が必要になってくると考えられます。

ご遺族が「いじめと自殺との因果関係」や「市の過失責任」についての調査を希望されておられ、私もそのことについて調査がなされることを心から願っておりますが、市がそうしたことを調査せず、「学校でのいじめの実態」のみ調査するのであれば、ご遺族の被害届を受けた警察がその件についてはすでに捜査していることであり、同じことを調査してもあまり意味がないと思うのです。

同じ税金を使い調査を行うならば、調査範囲を「学校でのいじめの実態」に限定することなく、「いじめと自殺との因果関係」や、「市の過失責任」も含めてもらいたいと切に思いますし、私としては更に、市教委が検討を始めるという「なぜいじめの未然防止ができず、早期発見・早期対応ができなかったのか」という項目も調査事項に加え、徹底的に調査していくべきと考えます。



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