一般質問答弁報告④『人口減少を食い止めるための算定基礎となる指標』

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こんにちは!
滋賀県の大津市議会議員、藤井哲也 です。

去る6月22日に大津市議会平成24年6月定例会が閉会しました。
今議会では、補正予算議案、一般議案が提出され、慎重に審議した上で、全議案に賛成を致しました。
各議案、意見書への各会派、議員の賛成、反対の別はあらためて報告したいと思います。


今回はわたしの一般質問4項目のうちの最後の1項目、「人口減少を食い止めるための算定基礎となる指標及び目標値」についてであります。

私は2003年に24歳で会社を設立して以来、現在9年以上にわたって若者の就職支援、若手社員教育に携わってきました。ここらへんの経緯については過去のブログに少し書きましたのでご覧くださいませ。

会社を創業する前夜、読んだ本が衝撃的で、私のバイブルの1冊となっています。
その本の名前は『ネクスト・ソサエティ』です。
著者は、経営学の父、P・F・ドラッカー。副題にある「歴史が見たことのない 未来がはじまる」という通り、社会動態学者とも言えるドラッカーが、これからの世界の社会の動きや、これからのマネジメントのあるべき姿を書いた、ドラッカー最期の著です。

私はこの本をいまでも何度か読み返します。すでに2002年の発刊から10年が経った本でありますが、その鮮度は衰えることはありません。いまなお、未来の社会を明快に示す稀代の名著です。
ドラッカーと言えば、「もしも高校野球のマネージャーが・・・」の「もしドラ」で一般にも有名となりつつありますが、経営学や人事労務においては、現代の経営や人事のベースとなっている概念を多く創りだした人と言えます。例えば、「知識労働者」という言葉を広げ、「マネジメント」という言葉と考えを創りだしました。
「目標管理制度」が多くの組織では導入されていますが、これも個人個人の働く意欲に焦点を当てて、ドラッカーが作り出した考え方の一つです。

その『ネクスト・ソサエティ』の中に、次の一節があります。


知識労働者にとっても、報酬は大事である。報酬の不満は意欲をそぐ。しかし意欲の源泉は、金以外のところにある。
知識労働者のマネジメントは、彼らが組織を必要とする以上に、組織が彼らを必要とするとの前提のもとに行わなければならない。彼らは、いつでも辞められることを知っている。働く場を変わる能力をもち、自信を持つ。要するに、NPOのボランティアのように扱い、マネジメントしなければならない。
知識労働者にとって重要なことは、第一に組織が何をしようとしており、どこへ行こうとしているのかを知ることである。第二に、責任を与えられ、かつ自己実現することである。もっとも適したところに配置されることである。第三に、継続学習の機会をもつことである。そして、何よりも敬意を払われることである。彼ら自身よりも、むしろ彼らの専門分野が敬意を払われることである。

(「ネクスト・ソサエティ」より引用)


今の時代、日本においては、ほとんどの人が知識労働者となっている。これは民間も公務員も同じと思う。
単純な「組立工」は、どんどん日本からアジアの工場に移っている。建設・土木業の現場もブルーワーカーと今の時代言えるのは微妙と思う。専門的な技術・技能を持ち、専門的な図面を読み込み、自ら判断して行動する。そうした点において、日本における職業の多くが知識労働者に転換していると思われる。

そうした知識労働者のモチベーションを維持するために、ドラッカーは、第1に「組織がどこにいこうとしているのかを知ることである」と言っている。
つまり、トップに求められることは、「ビジョン」がどのようなものであり、そして自らが船長の船がどこをゴールとして進んでいるのかを、知識労働者たる部下に知らせることである。


今回の一般質問で、私は「政策調整会議の議事録」や、「市長マニフェスト実現のためのロードマップ策定の経緯」を調査し、また職員の方からも情報収集を行ったうえで、この問題を取り上げる着想を得ました。
市長は、現場に「成果目標」を出させるだけで、自らは何も指標設定、目標設定をしていないのではないか?と。

民間企業ならば、当たり前の話として、「経営理念」があり、それを達成するための「ビジョン」があり、そして「具体的な目標値」があります。。
「●●年までに売上高を●●億円にする」であったり、「●●年までに株式公開を行う」であったり、するのが通常である。目標を設定しない組織トップも中にはいますが、そうした組織には成長はありません。

各営業部(第1営業部、第2営業部、第3法人営業部など)から、売上目標をあげさせて、それを単純に合算した数値を、組織の目標とするトップには、私はこれまで出会ってきませんでした。
そんな恥ずかしいことをして、トップでいられるわけがありません。

しかしながら、今回、一般質問の事前通告2日前に、なんとか間に合わせた感がある、「市長マニフェストの実現に向けたロードマップ」には、そもそも「算定基礎となる指標、目標値」が設定されていないと感じました。

いわば各部署がバラバラに実施している事業、施策を、マニフェストの5つの項目に分類して記載しているだけです。各事業、施策の横の関係性はあまり考えていません。
本来であれば、市長が市議会で宣言したように「大津市から日本の人口減少を食い止める」という強い決意があるならば、「合計特殊出生率」であったり、「大津市の人口自然増率」を算定基礎指標に置くべきで、各事業や各施策は、この「合計特殊出生率」や「人口自然増率」という算定基礎指標の目標値達成のために、毎年どのような事業を進捗する予定なのかを示さなければなりません。




市長のマニフェストは、「介護」や、「観光客誘致」など、5つのプロジェクトがあり、それぞれに各部局が事業や施策の成果目標値を設定するために必要となる「算定基礎指標・目標値」が設定されるべきと考えますが、すべて質問するのは時間の都合上、無為と思いましたので、今回の質問では、市長が強く強調した人口減少を食い止めるための「子育て支援」について、算定基礎指標と目標値を伺ったものでした。

結果、答弁は、「合計特殊出生率は現在よりもできる限り高めたい」という趣旨のもので、目標値の設定はないようでした。


できない営業マンがよく言います。
上司:「お前、今月売上が未達(未達成)だぞ。来月はどのくらいの売り上げ目標を立てるんだ?」
部下:「・・・・。とにかく頑張ります!」


今、市長がやっているのは、単に経営理念とビジョン(スローガン)をつくっただけで、それを基にして「あとは各部署で成果目標を作っておいてくれ!」と無茶を言っているのと同じです。
そして部下や外部から、「組織の目標は?」と聞かれれば、「とにかく現状よりも頑張ります!」という。
できない営業マンの様な、恥ずかしい答弁は止め、きちんと自らが、組織がどこにいこうとしており何をしようとしているのかを明確にして頂きたい!!
これなくして、目標管理制度は機能することはありませんし、目標達成はありません。また職員のモチベーションアップもありません。単にバラバラの政策が別々に動き、なんとなく4年間が過ぎ去るのみです。


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