[一般質問解説④] 大津市の保育行政について

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 私たち働く世代、とりわけ子育てと仕事を両立しなければならない世代にとっては、保育環境をどうするのかというのは切実な問題です。自分の雇用と同等レベルに問題意識があるといっても過言ではないと思います。
 現在の大津市の保育行政については、待機児童ゼロをめざし保育施設整備を急ぐあまり、深刻な保育士不足の状況を生んでおり、また保育の質をめぐって保育現場や保護者からも心配する声を多く頂戴しています。
 多くの人が保育施設に預けながら働いたり、心の余裕を持つ時間を確保する意義は非常に高いのですが、それと引き換えに保育の質を低下させていいというものでもありません。個人的には自宅で子供を見られる人は、せめて育児休暇期間中(とくに0歳から1歳児)は在宅育児をしていただきたい思いです。

 保育利用ニーズは、いってみれば子供の数と同数あると考えられます。仮にすべての保育利用ニーズを満たそうと思えば、現在の保育定数を倍増させるくらいでないといけません。
 私はどこまで保育利用ニーズを満たすのかは、行政が勇気を持って判断すべきだと考えております。際限なく増え続ける保育利用ニーズに対して、行政施策として待機児童ゼロを追求しようとする現在の姿勢は高邁ではありますが、保育現場の現状を見るにつけ、机上の議論では近い将来現場は悲鳴を上げて問題が生じると考えています。

 今回の質問は、こうした大津市の保育行政の姿勢に対して疑問を投げかけるとともに、鳥取県への行政視察も踏まえて、政策提言を行いました。下記、質疑応答では見て頂ける方に分かりやすく、一問一答形式に組み替えて記載しています。


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問(藤井哲也)
 保育士確保の困難性が高まる中での待機児童対策を取り上げます。
 本市における保育利用申請は、近年増え続けており、保育士確保や多額の予算を伴う保育所整備もニーズに追いつかず、本年4月1日時点で待機児童が58名生じることとなりました。さらに、今通常会議に提出されている関連議案では、来年4月から追加で保育定員95人分を増やすための施設整備費や地域担当保育士特別配置費などを合わせて3億円を超える待機児童対策に関する補正予算案が含まれています。



 こちら、総務部作成資料、平成29年度大津市決算の概要から抜粋した資料になっています。園児1人当たり平成29年度で約137万円かかっておりまして、その前の年、平成28年度では134万円が1人当たりの保育所運営経費となっておりますが、園児1人当たりの保育に要するコストは非常に高い状況にあることがわかります。市場原理からいって、保育需要がさらに高まる場合、労働市場への供給量に限界がある保育士の確保に要するコストは高まり続けることになります。これは保育士の処遇改善につながるというそういう側面もあるものの、行政や保育施設運営者、利用者からすれば、現在でも園児1人当たりの136万円を要している経費がさらに増大し、現場では保育の質低下につながる要素も高まります。
 余談になりますが、私も複数の民間園の理事を数年間を務めさせていただいており、保育施設運営の立場から保育現場や保育行政を見ていますが、1年前、2年前と比較しても保育士確保の困難さは増している実感があり、子どもの命を預かる保育現場を何とかやりくりする大変さやワーク・ライフ・バランスを保ちにくい保育士さんの疲弊感を見ていると、そろそろ施策の限界効果も近いのではないかと感じています。
 そこで、以下、今後の保育利用ニーズの見通しや予定している待機児童対策を伺うとともに、いくつか紹介させていただく先進事例に対する見解を伺いたいと思います。

 まずは保育士確保の限界性についてです。本市域における保育士確保の厳しさに関する現状認識と今後の見込みを伺います。

答(西田昌弘部長)
 保育士確保の限界性についての本市域における保育士確保の厳しさに関する現状認識と今後の見込みについてでありますが、大津公共職業安定所取り扱いの保育士に係る有効求人倍率は、本年1月に5.09となっており、その後も高い状況が続いており、4月時点では保育士不足を一因とした待機児童が4年ぶりに発生するなど、非常に厳しい状況であると認識をしております。
 今後の見込みについてでありますが、この状況が当面改善するものとは思えないことから、引き続き保育士確保に向けた取り組みにさらに努力してまいります。

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問(藤井哲也)
 次に、2歳児以下の待機児童の現状と今後の見込みについて伺います。最近特にゼロ、1歳児の保育利用申請が増加していると聞きます。保育定員の増加によって保育利用のハードルが下がってきていることは当然一因と考えられますが、ここ半年から1年はそれ以上に来年度以降の幼児教育・保育無償化に絡んで、今から保育施設に入れておかないと、そのときになってからでは入れないという心配が一気に蔓延してきていること、簡潔に言えば幼児教育・保育無償化を見据えた保活の早期化が昨今ニーズが急増している要因ではないかと考えるところです。
 そこで、0、1歳児の保育利用申請がなぜ急に増加してきているのか、今後の待機児童対策を講じる際の前提となる本市見解を伺いたいと思います。

 また、保育士配置基準では、0歳児3人に対して保育士1人、1、2歳児5人に対して保育士1人と、2歳児以下の子どもの保育にはより多くの、かつ命の危険と隣り合わせにあるため、一定の経験を有した保育士を確保する必要が生じます。そこで、本市域における保育士確保策を検討する上で、今後の2歳児以下の保育利用ニーズをある程度正確に把握、想定しておく必要があると考えます。
 ついては、2歳児以下の保育利用ニーズの増減に関して、今後3、4年程度の中期的な見通しとそれに対する対応策、特に保育士確保策についてを伺います。

答(西田昌弘部長)
 1点目の「0、1歳児の保育利用申請が急増している要因について」でありますが、保育所等利用申請の低年齢化は近年の全国的な傾向であるものの、今年度における申請の増加については、窓口に来られた保護者との面談の内容から、幼児教育・保育の無償化の実施が決定されたことがその一因となっているものと考えております。
 2点目の「今後の2歳児以下の保育利用ニーズの見込みと対応策について」でありますが、年齢別人口に占める2歳児以下の保育施設利用者の割合は、過去3年間で4%増加して、本年4月1日現在で36.5%となっており、3歳児以上の51.6%とはなお乖離があることから、中期的な見通しとして、保育利用の増加傾向が続くものと考えております。また、保育士確保については、今年度も新たな補助制度を創設するなど、その充実に努めているところです。

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問(藤井哲也)
 次に、地域型保育施設の増設に伴う今後の影響について伺います。
 今通常会議に提出された議案においても、地域型保育施設を新たに増やす予算が含まれています。地域型保育施設は、小規模保育事業や家庭的保育事業によって構成されており、0歳から2歳までの乳児、児童の保育を保育園に成りかわって担うなど、増え続ける保育利用ニーズを満たすためには欠かせない存在となっています。
 こちら、大津市ではありませんが、同じ中核市の高槻市の作成された資料から引用させていただきました。大津市の現状を考える上でも非常に参考になる部分が多いかと思いますので、こちらの資料も投影させていただきながら説明させていただきます。



 一方、利用者目線で考えた場合、保育の質も気になりますが、それ以上に2歳児までしか地域型保育施設は利用できないため、3歳児になったときにスムーズに保育利用を継続できるのかという不安があります。仮に3歳児になったときに保育園に入園できず、保育利用を継続できなければ仕事をやめたり、働き方を大きく見直さざるを得なくなり、保護者のキャリア形成にも多大な影響を及ぼします。本市では、地域型保育利用者が3歳児以降もスムーズに保育利用を継続できるようにどのような方策をとっているのか、今後とろうとするのかを伺います。
 ちなみに、資料におきましては、大津市とは違いまして、高槻の場合では、現在2年保育、4歳、5歳の保育しか公立幼稚園では担っておられないということでありますけれども、大きな枠組みの中から言いましたら、大津市も同様のことが言えるのではないかなと。やはり、(預かり)時間が幼稚園では合わないですね。京都、大阪などで5時前まで仕事してると、中には残業をすると思うんですよ。であれば、フルタイムでの勤務ができないというふうなこともありますから、どうしても(預かり時間が長く、夏休みなどもない)保育園に(利用申請が)流れてしまうということが考えられます。
 また、地域型保育施設、今通常会議でも提出されておりますけれども、0から2歳しか保育担当できませんので、「3歳になった途端、行き先が不安だ」ということに保護者の方々は思っていらっしゃるんじゃないかなと考えます。幼児教育・保育無償化も始まることで、今後より一層0歳から2歳の保育利用申請が増加することが想定され、地域型保育施設に頼る部分も増えてくるように思います。
 地域型保育施設を増設していけば、自然と3歳児以上の保育施設整備も求められてきます。今後、地域型保育施設が増えることによって、3歳児以上の保育施設整備にどのような影響があると考え、どのように対応していこうと考えているのかを伺います。

答(西田昌弘部長)
 地域型保育施設の増設に伴う今後の影響についてのうち、1点目の「地域型保育利用者への影響について」でありますが、本市では、2歳となって地域型保育施設の利用を終了した子どもが新たに保育所等の利用申請をする場合には、施設の利用調整における選考基準を加点して対応しております。
 2点目の「3歳児以上の保育施設整備に与える影響について」でありますが、増加する2歳児以下の保育ニーズに対応し、かつ地域型保育施設の利用を終了した子どもの受け皿を確保することは近々の課題であり、全年齢を対象とした民間の認可保育所等を新設することにより対応してまいります。
 
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問(藤井哲也)
 次に、保育利用申請を減らす取り組みについて伺います。
 保育士確保対策に革新的な光明が見えない状況にあって、保育利用を必要とする人を減らすという取り組みも同時に進めるべきだと考えます。いくつか方策は考えられますが、一つ目は、育児休暇延長を目的とする保育利用申請者への対策です。
 マスコミの言葉をかりるなら、落選することを願って保育申請をする人への対策です。育児休暇期間を延長する際には、子どもを預ける保育施設が見つからず、待機児童である必要があります。そうしたことから、本当は預けるつもりがないのにも関わらず、落選することを願って保育利用申請をしている人が相当数いるとされています。国も対策を講じようとしており、本年10月に厚生労働省は、保育所の入所申込書に育休延長等も可とするように記載できる欄を設ける改正案を出し、来年度からの運用を目指しているということであります。本市でも、本当は働きたくない人やもう少し乳児と一緒に時間を過ごしたいという育児休暇延長希望の有無に関して申請者に確認するなど、運用見直しを図るべきと考えます。
 そこで、本市における育児休暇延長目的の保育利用申請の状況と育児休暇の延長目的と考えられる申請者への今後の対応策を伺います。

 また、申請者を減らす取り組みのもう一つの部分ですけれども、またもう一つ考えられる方策は、在宅育児支援を充実させるものです。全国でも先進的な保育政策を進める鳥取県では、在宅育児支援事業、おうちで子育てサポート事業を開始されています。この事業は、「保育所等を利用する世帯に対して、子育て支援として保育料無償化の取り組みを進めてきたことを踏まえ、子育て支援の対象をより広げる観点から、在宅育児世帯に対しても経済的支援を行うことにより、保護者の子育ての選択肢を広げ、もって県民の希望出生率の実現に寄与することを目的」として、鳥取県内の基礎自治体で既に実施されていた同事業を県レベルで現在取り組み始められておられるもので、待機児童対策にも効果が見られるということです。
参考(鳥取県への行政視察)

 来年度以降、幼児教育・保育の無償化が全国で導入されることを考えると、自宅で子育てできる、または自宅で子育てをしたいと考えている家庭までも、無償だからといってむやみに保育利用申請がなされて、保育利用申請が急増するような事態も考えられます。
 そこで、在宅育児に対する直接的なインセンティブ付与によって、保育利用申請を政策的に抑制し、本当に保育利用を必要とする家庭に対して、限られた保育利用資源を提供していくことも検討の価値があると考えます。ついては、給付金制度も含めた在宅育児支援策の拡充をすべく、実施に向けて事例調査や政策検討を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

 本年6月と9月の通常会議で、私は、育児経験がビジネススキルの獲得に寄与するという研究結果を紹介する中で、本市職員や市内事業者に対する育児休暇取得や男性の育児、家事などへのケアワークへの参画促進に関する事業推進の必要性を述べ、本市からは大変前向きな答弁も頂戴してきました。
➡参考(6月議会の関連質問記事9月議会の関連質問記事

 この調査研究結果を待機児童対策に生かす場合、育児がビジネススキル獲得の大切な要素になっていることを多くの若い世代が知ることで、育児に対する価値観も変わり、幼児教育・保育無償だからといってむやみに保育サービスを利用するのではなく、在宅育児を選択する家庭もあるのではないかと考えられます。
 そこで、育児がビジネススキル獲得やキャリア形成にもつながるということを子育てアプリや「広報おおつ」または父子手帳、母子手帳などで知っていただくなどして、子育て世代向けにさまざまな機会を通じて普及啓発していくことは、待機児童対策や子育て世代自身のキャリア形成にとっても大変意義あることだと考えますが、見解を伺います。

答(西田昌弘部長)
 保育利用申請を減らす取り組みについてのうち、1点目の「育児休暇延長目的の保育利用申請の現状について」でありますが、本市においては、利用申請時に育児休暇を延長できる可能性が高い方は、その旨を申し出られることが通常であり、このような場合で他の方の申請と重なっているときは、他の方を優先する取り扱いとしております。この取り扱いは、過日、新聞報道された国の考え方とほぼ同様であり、国の方針が示された後はその方針に従って利用調整を行うことを予定しております。
 2点目の「給付金制度も含めた在宅育児支援策の拡充について」でありますが、国においては、いわゆる女性の就労に関するM字カーブ問題の解消を掲げて待機児童対策を推進しており、本市においても女性が子どもを産み育てながら就労を継続できる環境の実現を目指していることから、保育所利用申請の抑制を目的とした新たな給付金等の在宅育児支援策については、実施する予定はございません。
 3点目の「育児がビジネススキル獲得やキャリア形成にもつながるということを普及啓発することに対する見解について」でありますが、保育所等の利用の有無に関わらず、育児経験がビジネススキル獲得やキャリア形成につながり、子育て世代のキャリア形成にとっても一定の意義はあるものと考えており、機会を捉えて普及啓発について検討してまいります。

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問(藤井哲也)
 次に、公立保育園の公立認定こども園化についてです。
 本市でも公立幼稚園を公立こども園に転換することを一時検討していましたが、現在では民間園を中心に増設するという方針となっています。
 市内では、大津市立幼稚園規模適正化に向けた実施計画により、4歳児の園児数が3年連続して適正規模とされる20人を下回った公立幼稚園については、民設園との合併や民間への転換など、再編、存亡の危機にある園がある一方で、新たに民間保育施設を開設しています。公立幼稚園に生じている空きスペースを有効に活用し切れていない施策方針であるように考えています。
 近隣中核市や県内他都市でも民間園の新設だけに頼らず、空きが生じてきた公立幼稚園のスペースや保育人材を活用し、また平成31年度までの国の移行特例なども生かしながら、公立こども園への転換も含めて総合的に保育利用定数の拡充に努められています。新たな保育士の確保が困難となりつつある中で、こうした他市の事例は見習うべき施策であると考えます。
 そこで、待機児童を緊急事態宣言を出した現状にあって、改めて公立幼稚園を公立認定こども園に転換していくことも検討すべきと考えます。現在の公立幼稚園で働く公立幼稚園教諭の保育士資格取得率とともに、公立幼稚園の公立認定こども園への転換に関して見解を伺います。

答(西田昌弘部長)
 5項目めの「公立幼稚園の認定こども園化について」でありますが、現在の公立幼稚園で働く幼稚園教諭の保育士資格保有率は72%になっております。
 公立幼稚園につきましては、平成28年9月に策定された大津市立幼稚園適正化に向けた実施計画に基づき、3年保育実施後は再編基準に応じて近隣園との再編もしくは幼稚園の土地、建物を利用した民間による認定こども園設置を優先にしていくという方針をとっていることから、公立の認定こども園の設置については現在考えておりません。以上、私からの答弁といたします。

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問(藤井哲也)
 最後に、本市の待機児童対策を一歩引いた目線から俯瞰的に考えたいと思います。
 本市では、待機児童対策を中心とした子育て支援策や女性活躍支援施策に関して予算を重点的に充てて取り組んでいますが、まち・ひと・しごと創生総合戦略で定めた重要評価指標KPI、合計特殊出生率の平成29年の値は、平成31年の目標値1.58には遠く及ばない1.49という数値となっています。本市の子育て支援施策は、女性活躍支援の観点では効果が見られるとはいえ、多額のコストを用いて、なお人口再生産の回復の兆しが確認できない現状は、持続可能なまちづくりという観点から見ると、大いに課題があると言えます。
 そこで、本市が目標とする合計特殊出生率1.58を達成するために、本市における待機児童対策、子育て支援策にとらわれず、今後どのような取り組みが必要と考えられるのか、現在の待機児童対策の取り組みへの評価とあわせて、できる限りエビデンスに基づいた見解を伺います。

答(山口寿部長)
 ご質問にお答えいたします。「待機児童対策と合計特殊出生率の関係について」でありますが、本市は、若い人に大津へ住んでいただいて、安心して出産、子育てしながら快適に仕事を続けていただき、子どもをみんなで健やかに育むまちづくりを推進することが出生率の向上につながると考え、保育施設の整備などの子育て支援や女性活躍の推進事業等を進めております。
 これまで取り組んできた待機児童対策については、保育施設の整備や保育人材確保は短期間で効果的であると評価しております。合計特殊出生率の向上には多様な要因がある中、平成17年の厚生労働白書によると、30歳代前半の女性の労働力率と合計特殊出生率の相関は緩やかな“正の相関”があり、労働力率の高い地域が合計特殊出生率が高い傾向にあると示されていることから、今後も子育て支援、女性活躍の推進につながる事業を実施し、女性が安心して出産、子育てしながら仕事を続けることができる環境づくりを進めてまいります。以上、私からの答弁といたします。


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 以上が質疑応答です。
 最後の「待機児童対策と合計特殊出生率の関係について」では、行政は(なんと!?!)平成17年という10年以上前のデータをもってきて、女性労働力率と合計特殊出生率の関係を述べていますが、あまりにも古いデータで驚愕しました。再質問の時間がなかったのでスルーせざるを得ませんでしたが、仮に「データラボ」を所管している部局であるなら、もう少しまともな回答が欲しかったです。
 データエビデンスを活用するならせめてここ4、5年くらいのデータを活用すべきで、10年前とは社会環境も明らかに違うので、データを政策形成に活用するにあっては適切ではないと思われます。そのくらいは政策調整部というからには、しっかりと認識しておいてほしいところです。

 補足すると、保育施設整備が女性労働力向上につながっていることは、多くの統計分析から明らかになってきていますが、合計特殊出生率にはつながっているという統計分析もあれば、因果関係が有意にみられないという統計分析も数多くあります。これを統計的に「頑健性」が低いと言います。
 女性活躍の視点からは保育施設整備は重要なのかもしれませんが、合計特殊出生率の視点からは保育施設整備はあまり寄与していないと考えられ、異なる視点からの政策企画立案が求められると思います。


フジイテツヤ








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