2018.6月議会 一般質問(1)市民センターあり方検討について

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 6月議会では合計3つの大項目の質問を用意しました。

 最初に取り上げるのは、行政が「素案」を作成し、市民向けに今後説明し意見を募ろうと考えている「市民センター機能等のあり方検討」についてです。
 本記事では市が用いようとする説明資料の問題点について質疑応答を記載し、最後に行政の問題点を記載いたします。(公民館の問題と、支所統廃合パターンに関する問題も質問しましたが、別記事でまとめたいと思います)



 * * *

【質問】藤井哲也議員
 この度、行政が考えた素案を今年度、市民や団体へ周知し意見集約を経て、「より良い案」とされる案の作成に向けて検討が加えられることになりました。そこで周知内容について数点伺います。
 本市行政が用いようとする説明資料では、他都市と比較して支所が多いことが強調されています。しかし問題の本質は「支所数」ではなく、「支所運営に必要となるコスト」なのではないのでしょうか。


(「広報おおつ」に記載の市民向け説明内容)


 これまで大津市では、縦に細長く、人口も分散している地域特性に合わせて、均等な行政サービスを受けられるように支所を配置してきたように考えています。
 そうした仮説を検証するために、本市が昨年3月に発表した「市民センター機能等の在り方検討業務 報告書」に記載の、全国中核市ごとの「市民センター運営総コスト」と、DID地区人口から自治体人口を割って算出した「人口集中度」を用いて分析を行いました。
 結果としては、人口が都市部に集中している自治体ほど市民センター運営総コストが低くなり、支所勤務職員の数も少なくなっている傾向が見られ、回帰分析結果も5%水準で有意となっています。


(人口集中地区への人口集中度と支所運営コストの関係図)


 すなわち、大津市のように人口が分散していればしているほど、分散に応じた支所及び人員の配置が必要になるということが実証的に明らかになったと言えます。
 こうしたことから、本市行政が周知しようとする情報のみ見た市民や団体は、「支所が多い→だから統廃合が必要だ」という印象を受けざるを得ないように考えられます。

 また、大津市と同程度または大津市を超える支所を有す自治体を記載していなかったり、本市と同じ業務を行っている行政窓口のみを対象とした比較を行っていたりするなど、印象操作を企図したものと疑わざるを得ない説明資料であるとも感じています。
 しかし、何度も言うように支所が多いのが問題ではなく、支所運営に関する総コストが高いのではないかということが議論されなければならないのではないでしょうか。

 実際に一万人当たりの支所運営コストを、大津市資料を基に算出すれば、大津市の36カ所の支所運営に必要となる総コストは、他都市と比較しても平均的であり、人口の分散状況や、真ん中にびわ湖があり効率的な支所配置がしにくいという地域特性を考慮すると、良くやっている方ではないかという考え方も取ることができます。


(中核市における支所等運営費総コストの比較図)

 さらに今後、他の中核市に比べて多い傾向の支所人員の配置を最適化することや、施設更新時期に学校教育施設等と複合化して施設維持保全コストを見直していくことなどで、市民センター運営コストは合理化していくことができるのではないかと考えられます。市民や団体への説明に際しては、そうしたことを議論できる情報を提供していくべきだと考えます。
 ついては、どのような意図で説明資料を作成したのか、その内容の妥当性と合わせて伺います。


【答弁】井上市民部長
 まず始めに、市民センター機能等あり方検討についてのうち、市民・団体への周知しようとする使用の内容について、1点目のどのような意図で説明資料を作成したのか、その内容の妥当性と合わせて伺うについてでありますが、今回の周知用の資料については、市民センター機能等のあり方について、まずは市民の皆様にご理解いただくため、市民センター機能等のあり方検討にかかる背景や目的、市民センターの将来像など、市の検討内容をお伝えするため作成したものであります。
 市民の皆様に、できるだけ分かりやすく伝えるため、支所数やコミュニティーセンター数を比較項目とし、県内他市や人口規模が同程度の近隣中核市を比較対象として選定しております。
 

【再問】藤井哲也議員
 再質問します。市民、団体へ周知しようとする資料の意図と妥当性についてです。
 部長からは、この検討が必要となった背景をまずは周知したいというようなことでお話がありました。それはいいと思います。ただ背景は「支所が多いということではない」と私は考えております。そもそも、持続可能な財政基盤を確立していくようなことが背景にあるのではないかと思うのですが、そうであれば、支所数がこの「広報おおつ」の表紙にもなっていますが、支所数が問題なのではなくて、総コストが問題なのではないでしょうか。この点についてお伺いいたします。


【再答弁】井上市民部長
 財政的なことですね。総コストも含めて示していくべきではないかということだったということかと思います。
 コストにつきましては、今後より良い案を決めていく段階で、必ず必要になってくるかと思いますので、その段階ではお示しさせて頂こうかと考えております。


【再質問2】藤井哲也議員
 答弁が意図したものではないものだったのでお伺いします。支所数が問題ではないですよね、背景にあるのは。だったら広報誌であったり、説明しようとする資料、これは印象操作を狙ったものであるというふうに感じられます。
 総コスト、支所運営にかかるコストを本来は市民に周知すべきだというふうに考えますけど、その点についてお伺いします


【再答弁2】井上市民部長
 今回の6月15日号の広報の中に、支所にかかる経費ということでコストを載せさせて頂いております。議員仰るような他市との比較というのはなかなか難しいのではないか思います
 先ほど仰って頂いた中にも、本市と同じ業務を行っている行政窓口のみを対象としているのはおかしいのではないかというご指摘だと思うのですけれども、同じ業務を行っているものを同等に比較することのほうが必要だと思っていますので、そのあたりは他都市との比較はなかなか難しいのではないかと考えておりますので、本市の支所にかかるコストのほうは広報誌のほうにも掲載させて頂いております。


【再質問3】藤井哲也議員
 あとで議事録を見ますけれども、部長言っていることが無茶苦茶ですよ。同じ市民センター機能持っているところだけ比較したらいいんじゃないかということですよね。じゃないんですよ!!本庁以外の均一な行政サービスを提供するために、(支所や出張所などにおいて)どれだけのコストがかかっているかということが重要だと思います。
 他都市と比較できないということなんですけれども、できているじゃないですか、投影している資料、できてないんですか?これ市が出してきた資料ですよ。できてませんか?できてますよね。これを出したらいいんじゃないですか?敢えて言いますと、この支所運営費コストと支所数の因果関係はないです。調べましたけれども、回帰分析の結果、有意ではないという結果になりましたので、支所が多いことと支所運営費コストが高いことは別です。

(議場で投影した資料。本市作成の「あり方検討報告書」記載のデータを用いて作成)


 ですので、支所数が問題なのではなくて、支所運営コストを市民に示して、だったら何が必要なのかって言うことをしっかりと意見集約し、また議論をしていく必要があるのではないかというふうに考えています。先ほどから示しておりますこのグラフを使ったらいいんじゃないかということについて見解をお伺いいたします。


【再答弁3】井上市民部長
 藤井議員がお示し頂いた資料につきましては参考にさせて頂いて、今後の説明の際には検討させて頂きたいと思っております。


【再質問4】藤井哲也議員

 参考ではなくて、これを使わないといけないんですよ。使いますか?


【再答弁4】井上市民部長
 使いますかと言われますと、ここで使いますとは申し上げられないんですけれども、参考にはさせて頂きたいと思います。


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 以上が質疑応答内容です。
 最初は質問趣旨からズレていましたが、度重なる質問でようやく「支所数が問題ではなく、支所等運営コスト」が問題であるということを理解して頂けました。しかしながら、「支所等運営コストの中核市との比較は難しい」と述べるものの、最初の質問でも示している通り、行政自ら作成した資料で、中核市の比較を行っています。


(大津市が作成した支所運営総コストの中核市比較表:平成28年度 大津市市民センター機能等在り方検討報告書の7頁目)


 明らかになった事は、都合の悪い情報はなかったことにしようとしていること。
 そして都合の悪い情報は使わずに、作為的に市民にかたよった情報を提供しようとしていること。大津市は全く信用ができないこと。

 以上であります。
 これらを首謀するのは市民センター改革推進室ではなく、おそらく行政トップの越直美でしょう。印象操作を通じて、的はずれの支所統廃合を進めようとする動きは厳しくチェックしていかねばならないと思います。同時に、良識ある市民の皆様に、正しい情報を伝えていかねばならないと考えています。


藤井テツ




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