会派「志成会」代表質問の答弁妙録④

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 会派代表質問の5項目は、「行政評価システム」についてです。
 「行政評価システム」とは、予算の効果(期待した効果があるのか)や効率(費用対効果はあるのか)を行政や第三者が評価するもので、大津市の場合は、行政が1次評価・2次評価を行うことになっています。(時々、第三者評価が行われます)
 
 しかしながら、この自己評価が適切ではない(要するに自分に甘い評価)ことが散見され、また市民意向が十分に反映されていない(2年以上前に行った市民意識調査を用いている)こと、そして何よりも施策間の優先付けが行われておらず、結果的に予算編成作業の中で、行政評価に基づかない施策の重点化が進められてきたことが課題でした。

 この問題については、以前より会派として認識しており、私だけではなく、谷議員・山本議員も一般質問で問題指摘を行い改善されるように促してきました。予算編成権限は市長にあるものの、なんでも自分の思い通りにやっていいのかと言えば別であり、なにか物差しや判断基準がなければなりません。学校教育や保育行政が重要だというのはわかりますが、だからと言って限られた総枠予算を一方的にそちらに傾けてしまえば、防災や商工業対策に使うお金がなくなります。
 市民がなにを欲しており、そして現在の事業はどの程度、効果的かそして効率的かを分析した上で、予算編成をしなければならないのです。こうした当たり前のことが、これまでおざなりにされてきたように考えます。これは市長や副市長の意向が影響していると思われます。

 そこで新しい総合計画のもとで次年度から行われる新しい行政評価制度がどのようなものになるのか、そして議会が新たに取り組みを始めた「議会による行政評価」がどのように予算編成に影響を与えたのかを取り上げました。

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Q 次年度予算案の編成過程では、本年度行われた施策の進捗状況や評価をどのように活用したのか、特に乖離度が高かった施策を事例に含めて、説明を。
A 現在、新たな総合計画の進捗管理手法を検討しており、そのための暫定的な取り組みとして、「平成29年度中間評価」を本年度8月に行った。施策の重点化を含めた本評価結果については、来年度の取り組みを検討する際の資料として活用した。結果として、例えば、施策の重点化において「向上に努めるべき施策」に該当した「行財政改革の強化と持続可能な都市経営」については、平成30年度予算の「重点分野」として、また「現状維持・向上に努める施策」に該当した「子育て環境の充実」も「重点分野」として予算配分した。

Q 新しい行政評価制度では、どのように事務事業評価と施策評価を一体的に行おうとしているのか

A 今年度までは、事務事業評価と施策評価を2つの部署で担当してきたが、平成30年度からは総務部内において事務を一元化することにより、人事・行革・財政の連携を密とし、事務事業評価、施策評価をPDCAサイクルの中で予算編成に反映させ、持続可能な行財政マネジメントに努めていく。

Q 市民意識調査については、政策調整部長から毎年行う予定がないという答弁が繰り返されてきたが、新しい行政評価体制に於いては、どのような工夫や手法を用いて市民意識の把握を図ろうとするのか。
A 市民意識の把握については、事業レビューを継続するとともに、参加される市民の協力のもと、総合計画に位置付けられた施策と事務事業の体系をご理解いただいた上で、市民意向の評価を頂くことで、行政評価に反映していくことについて、その実効性や手法等も含め検討しているところ。

Q 大津市議会による行政評価に基づく市長等への提言は、議決機関たる市議会が全会一致で行う大変重いものであり、市長は予算編成において、議会による提言を尊重すべきである。そこでどのように反映されたのか、また反映されなかったのかを伺う。
A 拡充すべきとされた3項目のうち防災士の養成及び消防水利施設整備については予算充実は見送った。手段の見直し、あるいは効率化を図りながら継続することとしたほか、インバウンド国際観光については予算額は今年度を下回ったものの内容の充実を図った。また見直し継続の提言をいただいた中で、特に福祉バス運行事業については、その予算規模を縮小し各種団体が有益に活用できるよう見直したことなど、本市の評価・判断を踏まえ、平成30年度予算に反映しているものです。

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 以上、質疑の要点ですが、3月16日に行われた総務常任委員会において、次年度からの新しい行政評価制度について、報告がありました。


 大きくは以下の通りの変更となります。
 ・行政評価は、事務事業と施策の両方を、総務部行政改革推進課が担う。
 ・施策評価が十分ではなかったので、今後は行革推進課において施策重点化を行う。
 ・市民事業レビューの参加者などへ市民意向調査を行う。

 制度としては、これでかなり改善されることになると思います。
 あとは実際に、この制度を運用することができるかどうかです。
 特に、行政改革推進課は、現状でも業務量が大きめであり、さらに施策評価が加わると仕事がパンクしかねず、結果として仕事ひとつひとつの質が下がらないかが心配です。行政評価は、「市民意向を反映した予算編成」を進める上で、最重要なことがらですので、なんとか、スムーズに実施されることを願っています。


藤井テツ




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