会派「志成会」代表質問の答弁妙録②

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大津市議 藤井哲也

 2項目は、市民病院の安定経営についてです。
 この質問の背景を簡単に書きますと、昨年に大津市直営から、地方独立行政法人運営に変わった、大津市民病院の経営が非常に厳しいことが挙げられます。
 自治体経営の病院は、どこの町も厳しいとされており、大津市もご多聞にもれず、市民病院の経営に対して毎年10億20億と資金が注入されてきました。そもそも地方独立行政法人になれば、地方公営企業法の制約が外れて、人事に柔軟性が増すなどして経営が改善すると考えられています。しかし地方独立行政法人になったからといって、劇的に(すぐに)経営状況が変わるということは、あまり考えらえません。少しずつ変革が進み、結果として組織体質や経営体質が改善していくと言えます。
 大津市でも昨年、地方独立行政法人になりましたが、この3月末段階で、やはり24億円ほどの資金不足が生じる可能性が高く、大津市の資金繰入れなくして、キャッシュフローは安定せず、また金融機関の信用保証も確保できないことから、再三にわたり、当該部局より市長に対して、資金手当がなされるように要請がされてきたところですが、市長は首を縦に振らず、来年度当初予算では24億円のうち8億円しか措置されませんでした。
 この状況を看過すれば、大津市民病院が債務超過により倒産し、市民に大きな影響が生じる可能性が高いと思われます。そうしたことから、今回、代表質問で問題を提起し、大津市の早期対応を促したものです。

Q 市民病院を4月以降も安定的に存続させようとするならば、少なくとも8億円では足りないと思われるが、予算査定の根拠は?
A 法人移行前の一般会計からの繰入金は年間約19億円であること、法人側の経営改革による改善効果が期待できること、一般会計では厳しい財政状況に陥る可能性が高いことなどを総合的に勘案し、中期財政フレーム改定の際、8億円の運営負担金を措置することにより、法人の資金保有状況の著しい悪化は避けられると考えていた。

Q 早期に補正予算を措置しキャッシュフローを安定化させなければ、金融機関に対する信用低下するし人材流出を招くと考えられる。本市の見解は?
A 今年度上半期の厳しい業務実績などから資金保有状況が悪化していることや、介護老人保険施設事業における入所者の対処による事業損失が拡大し、さらなる資金減少が生じていることから追加の運営費負担金が必要だと考えている。そこで当初計上済みの8億円とともに、合計24億円を本市から財政負担するものである。


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 質疑応答は以上です。
 市の答弁はギリギリセーフの内容と評価できますが、はっきり言うと詭弁です。
 もともと昨年、議会で議決した市民病院の中期経営計画では25億円程度の繰入金を記載していたことから、大津市としては公的に8億円では足りないことを認識していました。また中期財政フレームがうんたらとか述べていますが、中期財政フレームは硬直的なものではなく、時々の環境変化に合わせて柔軟に見直されるものです。この行政が勝手に作った中期財政フレームなるものを根拠に、市民病院を潰しかねない予算編成を行うことは、極めてバランス感覚に欠けるものです。
 
 よくゴミ処理施設の建設費を理由に、大津市行政は財政難の理由にしていますが、この財源には「合併特例債」が当てられていることを念頭に置いて考えると、おかしな話です。
 合併特例債は、大津市と旧志賀町が合併したことにより、特例的に発行できる事業債のことで、事業費の7割は国が補助(交付税措置)してくれ、25%は市債として後年度負担とすることができ、実質的に単年度キャッシュで必要となるのは事業費の5%だけです。
 どちらかと言うと、大型事業による(見かけ上の)支出が増加することよりも、合併特例であった「合併算定替」の特別収入が減ることの方が、単年度キャッシュとしては影響を与えるのではないかと考えられます。

 ただどちらにしても、最初から25億円程度の繰り入れ金は必要だとわかっていたことで、その中で8億円しか措置しなかったことは、市民病院を「見せしめ」にして、市長お得意のマウンティングにより病院関係者を悪者にしようとしていることが示唆されます。

 「厳しい財政事情」というマジックワードを用いて、予算編成権をかざして、行政内部だけではなく市民を巻き込んで、独裁的に自己優位感、自己優越感を得ようとしているようにも考えられます。(というか、これが全てだと私は思っています)


藤井テツ



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