【11月議会一般質問③】小中一貫教育の推進とコミュニティ・スクール

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 11月議会3つ目の質問は、「小中一貫教育の推進とコミュニティ・スクール」についてです。
 これまで何度となく、学校と地域・家庭との連携を推進する観点から、「コミュニティ・スクール」の推進を提案してきましたが、今回は先に行った行政視察で得た知見をもとに、「小中一貫教育」にコミュニティスクールが大きく貢献できることを踏まえ、今後の大津市の教育行政を大きく前進させたいと考えた提案を行いました。

 質問に対する答弁は一部的外れなものがありましたが、おおよそ意に沿うもので、今後の「小中一貫教育」や「コミュニティスクール」の展開に期待できるものでした。
 特にコミュニティ・スクールに主体的に学校・地域がアクションを起こすための議論のキッカケを作れたことは大きかったと感じており、これまでは学校・教育委員会と協働を担う大津市行政が連携やコミュニケーションを図ることはあまりなかったように思いますが、そこに風穴をあけられた実感を持っており、私としては最初の一歩となったように感じています。

 引き続き、子ども達の教育や健全育成には力を入れて、取り組みをしていきたいと思っております。教育行政については知らないことばかりですので、市教育委員会とも良好な関係を維持し、私も学ばさせて頂く中で、有益な情報を提供していきたいと思います。

 以下、一般質問における質疑応答です。


* * *
 
【質問】藤井哲也
 本市においては、地域と家庭、学校との連携を推進するため、平成26年度の試行以降、コミュニティ・スクールの指定校増加に取り組んできた。現状では指定は2校にとどまっており、平成31年度までに50%、すなわち54校のうち27校の目標を総合戦略に掲げる中で、今後いかにして指定校を増やしていくのかが課題である。
 これまでコミュニティ・スクール先進地である京都市や東京杉並区などへ行政視察を行ってきたが、先日、東京都の三鷹市を行政視察してきて幾つかの示唆を得ることができた。以下、三鷹市の取り組みを紹介しながら質問を行いたい。

(1)小中一貫教育の推進のための教育委員会の取り組みについて
①小中一貫教育のメリットについて
 東京都三鷹市では、「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を推進され、目立った成果を上げておられる。特に不登校児出現率の低下が顕著であり、もともと東京都平均値程度であったが、実施から10年が経過する現在では約半分にまで改善をしている。
 これらは小中学校の教員が徹底して協働し発達段階に即した学びの連続性系統性を保障した9年間一貫性の指導を実現したことや、地域住民の主体的な見守り活動による成果と考えられており、こうした取り組み成果が評価され、今後、東京都では横展開を図っていこうとしているそうである。また学力向上効果や青少年の健全育成にも成果があるということである。
 大津市内の公立校の不登校児童生徒在籍率は、これまで小中学校とも県内平均と比較して低い水準にあったものの、小学校に関しては昨年度は県内平均より高くなり(大津市0.58、県0.51)、また全国平均から比べると近年高い傾向が続いている。
 本市でもすでに保幼小中の連携を中心に小中一貫教育に取り組みつつあるが、小中一貫教育のメリットをどのようなものと認識しているのか、見解を伺う。

【答弁】教育長
 藤井哲也議員のご質問についてお答えいたします。
 まず始めに、小中一貫教育のメリットをどのようなものと認識しているのかについてでありますが、小中一貫教育は、義務教育の9年間全体を見通して学年ごとの児童生徒の発達段階を捉えた上で、小・中学校が互いの教育目標や教育内容の共有化などを進め、一貫性のある学習指導や生徒指導を実施するものであります。子どもたちの学習習慣の定着を図り学力の向上が期待できることや、小学校から中学校に進学したときに、学習内容や生活リズムの変化になじむことができない、いわゆる中1ギャップの軽減、いじめや不登校の減少などのメリットがあると認識しております。

【質問】藤井哲也
②小中一貫カリキュラムの作成の必要性について
 三鷹市では教育委員会が主導して、「15歳の姿」を共有した小中一貫カリキュラムの作成を行っておられる。
 小学校の先生にとっても中学校でどのように学習が進められていくのか、中学校の先生にとっては小学校でどのように学習が進められてきたのかを理解できることで、進級・進学後の生徒が抱える課題にスムーズに対応することが可能とされている。
 本市においても小中一貫カリキュラム作成は十分に可能と考えるが見解を伺う。

【答弁】教育長
 本市における「小中一貫カリキュラム」の作成についてでありますが、小・中学校9年間の見通しを持つことにより、学習の系統性を踏まえた指導計画を立てることができるなどのメリットがあることから、今後、小・中学校の一貫した教育を進めていくことが必要であると考えております。
 例えば、総合的な学習の時間の学習テーマの一つを、「地域の伝統と文化」や「自分の生き方」など小・中学校で統一して設定し連携を図ることや、ICTの積極的な活用を中学校区内のすべての学校で重点的に進めることなどが考えられます。また学習内容のみならず、小・中学校間の授業交流を実施するなどして、授業方法や子どもたちへの関わり方についても一貫性をもたせることが重要であると考えております。地域の特色を生かした取組を行っていくことは大切であり、市として統一したカリキュラムを作成するのではなく、各中学校区で検討を踏まえた取組によって、本市全体の教育力を高めてまいりたいと考えております。

【質問】藤井哲也
③小中一貫教育推進のためのコミュニティ・スクール等の充実について
 こうした三鷹市の小中一貫教育の推進の基盤をなしているのは、コミュニティ・スクールである。
 三鷹市では確かに、小中一貫カリキュラムの作成作業や小中学校人事交流などで学校の先生の負担となったが、それ以上に地域による学校支援、いわゆる「チーム学校」の取り組みが教員の負担軽減に効果を発揮しているということであった。三鷹市では昨年度の学校支援ボランティアの数はのべ16,823人で、常に授業中2、3人のボランティアの人が支援に入っている計算になる。授業支援、部活動支援、放課後学習支援、学校催事の支援、その他庶務事務の支援などを地域住民が担うようになれば、必然的に学校の教職員の先生は、授業の質向上に専念することができる。
 本市においても小中一貫教育をより一層進めていくために教員の負担軽減効果が想定されるコミュニティ・スクールの指定校拡大や、チーム学校推進に取り組むべきである。
ついては、大津市教育委員会としては今後どのように学校現場の支援を行おうとするのか具体的な取り組みや来年度の検討事業を伺うとともに、それら学校現場の支援に関する取り組みをPTAや地域の方々に知って頂くためにどのように広報を行おうとするのかを伺う。

【答弁】教育長
 今後の学校現場の支援と広報についてでありますが、市教育委員会といたしましては、各中学校区においてそれぞれの地域の特色を生かした小中一貫教育を進める際、校区内の子ども同士の交流に必要となる経費や学校園が合同で授業研究・研修する際に講師を招聘する経費、ICT等の必要な物品の購入費などを予算化し、さまざまな教育活動を実施できるよう支援に努めてまいります。
 また、PTAや地域の方々に対しましては、本市における地域の特色を生かした小中一貫教育の考え方について、ご理解をいただくための広報資料を教育委員会で作成して配付したり、学校が地域等に説明する際の学校だより等の作成に活用できる資料を提供したりするなどの方法により、周知や広報を進めてまいりたいと思っております。

【質問】藤井哲也
(2)中学校区単位を基本とした「学園制度」創設について
①小中一貫教育を推進するための「学園制度」創設について
 コミュニテイ・スクールを基盤とした小中一貫教育の推進や、子どもたちにとってのメリット、また学校現場の間接コストの集約化などを考えると、中学校区単位またはブロック単位を基本とした「学園制度」の創設は十分検討に値すると考える。
 三鷹市では1中学校・2小学校を1つの学園とし、それぞれの学校の運営協議会が一堂に会して、チームとして地域課題や学校課題を共有する「学園コミュニティ・スクール委員会」を設置し、学校教員だけではなく、小・中学校関係者の交流や相互支援の取り組みをされている。本市においても、中学校区単位で地域課題を共有することが多く、小中一貫教育を推進する観点からも導入検討をしていくべきと考える 。見解を伺う。

【答弁】教育長
 中学校区単位の「学園制度」の創設についてでありますが、議員お述べのとおり、中学校区単位で地域の課題を共有して、同じ方向性をもって取組んでいくことは大切なことであると考えております。現在も、本市では各中学校区において保幼小中連携推進事業に取組んでおり、中学校区内の学校園が合同で行う研修会や授業研究会などを通して、地域や各校園の課題について連携・協力する機会を設けております。
 しかし今後、中学校区内の各小・中学校では、地域・学校・家庭が地域の課題を共有し、地域の将来を担う子どもたちがどういう大人に成長してほしいのかを考えていくときに、その子どもたちの育ちを小・中学校で切り離して考えるのではなく、義務教育9年間の見通しをもって系統的に教育を進めることが必然となります。小・中学校の関係につきましては、これまでの連携から一貫へと進めてまいりたいと考えており、今後、小中一貫教育の進め方について研究してまいります。

【質問】藤井哲也
(3)地域による学校支援の拡充に向けた三者協働の取り組みについて
 三鷹市での成功事例は参考にすべき点が多いものの、その背景には自治基本条例の制定が早くになされるなど、住民自治や三者協働意識の醸成が効果を発揮していることがあるように思われる。
 子どもの健全な育成、学力や体力、思いやりの心を育むためには、学校や教育委員会の力だけではなく、三者協働のまちづくりの観点からのアクションが必要と考える。
そうしたことから、シビックプライド醸成や協働参画へのインセンティブ制度の導入、またはソーシャルインパクトボンドに代表される協働の仕掛けづくりなどを着実に前進させていくとともに、学校と地域・家庭との連携を深めるために、自治会組織を中心に自治会未加入者も含めた住民自治の緩やかな協議会の形成も意識した仕掛けづくりも、地域による学校支援の拡充につながるはずである。
 ついては、コミュニティ・スクール指定校の拡大やチーム学校推進のために、本市教育委員会としては市長部局に対して、地域と連携・協力を行おうとする上でどのようなことを期待するのか、また市長部局はその期待に応えるためにどのような取り組みを行おうとするのか見解を伺う。

【答弁】教育長
 地域による学校支援の拡充に向けた三者協働の取り組みについて、教育委員会が市長部局に期待することについてでありますが、教育委員会が考えるコミュニティ・スクールでは、自分たちの住んでいる地域の将来がどうありたいのかという地域の将来像や、そこで暮らす大人像、その大人像に向かう途上である子どもたちの姿はどうあってほしいのかを描き出していくことが必要となります。そういった子どもの姿に迫るために家庭が担えること、地域が力を発揮できること、学校が担うこと等について、地域・家庭・学校が対等の立場で話し合い、協働して子どもを育てる場としていきたいと考えております。
 教育委員会といたしましては、コミュニティ・スクールを進めていくことが、地域の活性化や地域の教育力の向上になり、まちづくりの一部を担うものであると考えてます。子どもたちの学びに地域の方々が関わっていただく中で、その学びの視点として、住民自治、防犯、防災、福祉や環境などといった様々な市民生活との関連が生まれ、それらに関する課題の解決に向かうような動きが現れてくることが考えられます。そのことからコミュニティ・スクールの推進は、学校・教育委員会だけが担うというものではなく、市が一体となって取組むべきと考えており、その意味から市長部局も含め、全庁的に取組んでいただけることを期待しております。
 以上、私からの答弁といたします。

【答弁】市民部長
 ご質問にお答えいたします。
 地域による学校支援の拡充に向けた三者協働の取り組みについてのうち、教育委員会の期待に応える市長部局の取り組みについてでありますが、平成29年度より始まる次期総合計画の基本構想において、「三者協働によるまちづくり」を積極的に進め、互いの立場や考え方の違いを尊重し、それぞれが主体的に支えあえる共助社会の確立をうたっております。
 市民との協働による「コミュニティ・スクール」の実施にあたっては、その目的と課題を地域・家庭と学校が共有し、互いの立場や考え方の違いを尊重しながら、対等な話し合いに基づいて、役割を分担し、取り組んでいくことになります。
 市民との協働による「コミュニティ・スクール」に対して、市が一体となって取り組んでいくためには、市長部局といたしましては、地域と行政のそれぞれがまちづくりの担い手であり、協働でまちづくりを進めていくという協働の意識を広げていくこと、そして目的と課題を共有し、協働が生まれるきっかけとなる場を創るなど、協働を推進するための制度を充実することを基本に、各部局が協働の理念を持って住民自治、防犯、防災、福祉や環境など、それぞれの取り組みを進めて参ることで、地域による学校支援の拡充が図られることを期待いたしております。
 以上、私からの答弁といたします。

【再質問】藤井哲也
 市教育委員会としまして、学校に色々な支援を行っていかれるということで、是非ともその点は充実はしていただきたいと思います。
 ただ、既に実施されておられることだと思いますけど、学校ごとに課題が、なぜコミュニティ・スクールができないのか、課題が異なると思います。一律的なサービスではなくて、ニーズをまず聞くということが非常に重要ではないかと思います。
 その上でそのニーズをどのように生かして解決していけばいいのか、学校と一体となって考えていくということが求められるのではないかと思いますが、そういった観点を含めまして、再度ご見解をお伺いいたします。

【再答弁】教育長
 コミュニティ・スクールを進めていくうえで、今までのやり方だけではなく、しっかりと各地域の課題を明確にし、その中でしっかりと学校と話しをしていくべきではないかとの意見ですが、まことにその通りだと思います。
 各地域の実情、どんな風に子どもを育てていきたいのか、地域のそれぞれの特色もありますし、今までそれが各学校ごとの協力者会議というふうな形で今、地域の方が学校へ積極的にいろんな協力を頂きました。それをもう一歩踏み越えて、地域の子どもを地域の中で、学校・地域・家庭がどんな風に子どもをそれぞれ育てていくのかしっかりと議論して、おっしゃたようにニーズがどこにあるのか、どういうことを目指していくのか、協議を開いて話し合うことがまず大切だろうというふうに思います。
 そういう意味で、私たち自身が地域の中にも、学校だけの中ではなくて、地域のほうにも働き掛けをさせていただいて、このコミュニティ・スクールであるとか、小中一貫教育であるとかについて、しっかりと議論を深めていきたいと思っております。


大津市議会議員 藤井哲也拝





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