【9月議会 質問解説②】葛川地区の過疎化ストップ対策について

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 少し時間が経ちましたが、9月議会で取り上げた一般質問の解説を再開します。
 (1問目の「水道料金値上げについて」は9月17日の記事で取り上げました。)

 大津北部のむら「葛川(かつらがわ)」については人口減少が激しく現在広大な土地に250名前後の方が住む状況となっています。

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葛川情報局ホームページより)
※左上の赤い旗の部分が「葛川」の中心地(坊村周辺)です。


 昨年6月議会で取り上げたのに続き、市長選挙を経たことや、次期大津市総合計画の策定作業が佳境を迎えてきたことから、約1年ぶりに葛川の振興対策について議会で取り上げました。
 結論を言えば、「一歩前進した」という感触を得ています。


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【質問(藤井)】

 葛川地区の過疎化ストップ対策についてお伺いいたします。
 昨年6月に葛川地区の振興整備の必要性について一般質問で取り上げましたが、この1年間に限れば特に大きな進展が見られず、逆に葛川住民が知らない間に路線バス減便が決定されるなど、過疎地・葛川へのその姿勢は市行政として大いに顧みるべきものがあった。
 今時、葛川地域において新たな振興整備計画の策定を模索する動きがあり、改めて今回取り上げるものであります。
 1995年に10年間を計画期間の目途として、第2次葛川地区振興整備計画が策定されました。その後、国道整備や災害時の孤立防止対策、観光ガイドマップ作成支援、観光トイレの維持管理、少年自然の家における各種事業やスクールバス運行、葛川診療所の運営継続がなされるなど、今日に至るまで一定の取り組みを行ってきたのは事実であります。一方、第2次葛川地区振興整備計画が策定された1995年に448人いた人口は計画期間後の2006年には373人に減り、現在に至っては250名前後まで減ってきており、かつその約半数が高齢者であることも直視すべき現実であります。
 私は葛川の振興に対する基本姿勢は、本市行政の社会的弱者に対する基本姿勢に通ずると考えています。採算性を優先して弱者を切ることはたやすいが、葛川渓谷に囲まれた豊かな自然や1100年を超える山岳資源の一角をなす歴史文化を時代につないでいかなければならないという認識では、公共たる本市行政も格別の思いを共有していることを確信しています。
 昨年6月議会における答弁では、葛川地域の振興に関する基本姿勢は次期総合計画策定作業の中で地域懇談会などの市民の皆様の意見を聞く過程などを設定する中で、大津市全体として検討したいと考えているとのことでありました。いよいよ11月議会においては、総合計画実行計画が提出される予定となっています。ついては、今後の葛川振興に関する本市行政の基本姿勢の検討状況を改めてお伺いしたいと思います。

 また、昨年6月議会の答弁では、第3次振興計画の策定に関して地域住民の方々が主体となって参画されることをまとめてお持ちになった際は、真摯に対応させていただきながら今後の方向性を一緒に考えたいとのことでありました。
 葛川地域の定住移住対策としまして葛川学区自治連合会からは今般光ファイバー網の整備支援や定住促進リフォーム制度の拡充適用、地域おこし協力隊の創設などの要望が出されているように、住民の皆さんは将来に対して強い危機感を抱き自主的に村づくりの取り組みを進められていますが、現状においては何からどのように取り組めばいいのか、また仮に振興計画ができたとしても推進体制を長期間維持していくことへの不安を抱いておられるように思慮いたします。
 私個人的な思いとしましては、本市のコンパクトアンドネットワークのまちづくりを推進する観点からも徳島県神山町や福井県鯖江市の工事例に倣い、葛川市民センター周辺を定住促進エリアとして新たに創設する地域おこし協力隊を起点とした若者世代の定住移住を集中的に促進し、また光ファイバー網整備によるデザイン分野やコンテンツ分野などのIT産業の創業基盤を確立したり付加価値を高めたキャンプ場の整備を行うなどして新基幹産業を創設し地域の生き残りを図っていくべきと考えますが、神山町にしろ鯖江市にしろ行政が積極的に取り組んでいるように行政の関わりが地域振興においては非常に重要と考えます。
 現在の葛川地区が置かれている厳しい状況下にあって大津市行政としても新たな計画づくりの道筋を提示したり、きっかけづくりを行うなど、もう一歩歩み寄る必要があるのではないかと考えます。誤解を恐れず申し上げますと、これ以上まちの姿勢で長期的な対策を講ずるのが遅れれば近い将来廃村や地区消滅といった深刻な事態を招く懸念があるように感じます。
 そこで、公共交通網形成計画の策定の動きとも連携しながら第3次葛川地区振興整備計画の策定に向けた協議会の設置も一つの案と考えますが、本市行政の考えをお伺いいたします。


【答弁(中野政策調整部長)】

 葛川振興についてでありますが、まず昨年度総合計画の策定に向けて都市計画マスタープランの策定作業とあわせて市内各地で地域別のまちづくり会議を開催いたしました。市といたしましては、そこでの意見も含め多様な主体からの御意見や市民意識調査結果等も踏まえて庁内全部局にも情報を配布し、現在総合計画の策定作業を進めております。今後の葛川振興に関する市政の検討状況については、昨年6月市議会において御答弁申し上げましたとおり大津市全体としての検討をしていくこととし、現在の総合計画を策定する中で市内の各地域それぞれが有する自然、歴史、文化をはじめとする地域特性を大切にして住み続けたいと感じる大津のまちづくりを目指すことといたしたいと考えております。その中で、地域の皆様が自主的に地域振興の取り組みをされる上でいただく御意見につきましては、御一緒に考えさせていただき今後の方向性を検討していくという基本姿勢に変わりはございません。

 次に、葛川地区振興整備計画の策定に向けた協議会の設置についてですが、まずこれまで策定した第1次の葛川地区振興整備計画は葛川地域住民の皆さんの総合的、全体的な生活水準の引き上げや過疎をもたらした要因の除去を目的に地元葛川過疎対策委員会の自発的な熱意のもとで昭和53年12月に策定したものでございます。また、第2次の計画は第1次に続いて過疎地域活性化特別措置法に定める過疎地域の要件のもと、地元の村づくり協議会が主導的な役割を担われて協議が進み平成6年に策定したものでございます。平成27年6月の御質問の中で、あくまで地域住民の方が主体となって行政に働きかけられまして、そして行政がそれに応えて計画づくりを参画していくというものもあるのかなと思っておりますという議員のお言葉にもありますとおり、地域振興の充実した施策と確実な継続面から地域の皆様が主体的に行動されることも大変重要な視点とも考えております。そのため現在市としては新たな振興計画を個別に設ける考え方は困難ということで、これまでにも申し上げているとおりでございますが、議員の御質問にある地域が主導的に協議会を設置されるなどの際には市民の皆様の自主的なまちへの取り組みや思いというものを真摯に対応させていただきながら、今後の方向性を御一緒に考えさせていただきたいと考えるものでございます。
 以上、私からの答弁といたします。


【再質問(藤井)】

 地域の自主的な取り組みの中で市に働きかけがあった場合は真摯に対応いただくというふうなことで、大変ありがたく思っております。
 その中で、来年度の予算編成の時期でも近づいてきておりますし、また国の地方創生に関する動きなどもあるかと思いますけれども、そういった中で地域住民側から働きかけがあった場合にいろいろなメニューなども行政側であらかじめ研究調査しておく必要もあるかと思いますけれども、その点についての現在の策定に向けた動きの中でどのように考えておられるのかについてお伺いしたいと思います。


【再答弁(中野政策調整部長)】

 来年度の予算編成なり地方創生の交付金等の動きも含めて、どのように考えるかということであったかと思います。
 現在学区のほうから御質問にもありますとおり、高速通信網の整備でありますとか、地域活性化移住希望者の定住促進策あるいは地域おこし協力隊、このような御要望もいただいておるわけでございます。これに対しては、また地元にも寄せていただいて私どものほうから御説明をさせていただかなきゃいけないということで、御対応をしていこうと考えておるんですけれども、その中でもお話もお聞かせいただく機会にもなるかなというて思っておりまして、そんなことも含めまして予算ということになりますと、限りある財政の中でどのようにしていくかという課題もある中で 早々にこの今どうこうということは申し上げられませんが、まずはお話をお聞かせいただけるならば、その中で一緒に考えさせていただき、今後の方向性も御一緒に探る中で行政として何ができるか、ここは真摯に考えていきたいというふうに考えております。


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 なによりも葛川地区にとっては残された時間はそれほど多くないと思います。
 誤解を恐れず言えば、国が言う「消滅集落」の危険リストに葛川は入っていると感じます。
 そういう状況の中で重要なのはスピードです。住民側と行政がお互いに協力して地域振興を行い、地域の文化を次代に継承していけるように当にいま動き始めなければならないと思います。

 過日、政策調整部長の答弁通り、「地域おこし協力隊」の制度説明について、大津市が滋賀県の担当者と共に地元へ説明に行かれました。地元住民にとっても より具体的に地域おこしのプランを検討していく協議になったのではないかと思います。
 また学区自治連合会の皆様が大津市議会にお越し下さり、大津市北部選出議員と意見交換をいたしまして、今後の連携を確認しました。

 財政規律が厳しくなる昨今とはいえ、地方創生の本来の姿は、葛川のような地域を残すことあると思います。こういう土地で産業を興し、都会から住民が移り住み、新たな地域の担い手に育っていくことが大切です。20年後から見て悔いが残らないよう、いまできる葛川振興に取り組まねばなりません。この問題は引き続き力を入れて取り組んでいこうと思います。


大津市議会議員 藤井哲也拝




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