【9月議会 質問解説①】水道料金値上げについて

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 大津市の水道料金が来年4月に大幅(平均19%)アップされようとしています。
 現在の大津市の水道料金は客観的に見て平均よりも低廉(安い)と思うので、値上げ自体は仕方ないかと思うものの、「12年後の水道事業の経営目標の達成のため、逆算して料金設定したところ平均で19%値上げしなければならない」という説明にはなかなか納得できるものではありません。

 民間企業出身の者から言わせて頂くとすれば、足りない分を料金に上乗せするのは下策で、経営効率化やダウンサイジングをしながら、どうすれば料金の大幅値上げをしなくてもいいかをよく考えなければなりません。今回大幅な値上げを認めてしまえば、経営効率化の取り組みに緩みが生じてしまいます。
 本当に経営効率化の計画通りに進むのかを議会や市民がチェックしながら、水道局からも、都度、市民や議会が納得できる説明をして、ようやく値上げをしていかねばなりません。

 ちなみに下図の通り、上水道と下水道を合わせた料金は、京阪神(東海道線沿い)の中核市や、県内近接市から比較して、もっとも料金が高くなってしまいます。奈良市は水源確保のためにダムなどの経費が含まれており水道料金が高くなっているようで少し特殊な要因と捉えています。

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 そうしたことを踏まえて、段階的な料金改定を目指すべきという姿勢で、大津市企業局に質問をいたしました。
 ちなみに山本公営企業管理者は検査入院で今回の一般質問を1日目から4日目まですべて休まれました。体調が気遣われることはもちろんですが、この12月が公営企業管理者としての任期限なので今後の事が少し心配です。


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Q(質問)藤井

 今通常会議に提出されている議案第179号「大津市水道事業給水条例及び大津市下水道条例の一部を改正する条例の制定について」は、来年4月から本市企業局が供給する水道料金を平均19%アップしようとするものである。
 昨年8月から本年2月にかけて、企業局の附属機関「大津市水道事業経営検討委員会」で計7回の審議がなされ本年3月に答申がなされた。基本的にはこの答申に基づく料金改定率であると認識しているが、市民生活に与える影響の大きさを鑑み、以下の質問を行う。

①経営目標(現預金40億円、企業債残高181億円、当年度純利益確保)の妥当性について
 今回の料金改定の前提となっている経営目標は現預金40億円、企業債残高181億円、当年度純利益確保としている。この経営目標の根拠及びその妥当性を伺う。

②激変緩和措置としての水道料金の段階的改定の検討について
 今回の料金改定率は、企業局の経営戦略の側面が強く出ているものであり、市民代表であるわれわれ議員は、市民生活に与える影響の側面からも今回の議案を見ていかねばならないと考えている。
 家計に与える水道料金の負担感を検討する際、一般家庭用水道水の利用は上・下水道はセットで捉えられることが一般的である。
 20㍉口径の家庭用水道管で、月間30㎥使用した場合、ひと月で713円、年間で8千556円も値上がりすることになる。また草津市との比較では年間1万4772円高く、大阪府高槻市との比較でも年間6千192円も高くなる。今後大津市に移住する可能性がある人たちにとって水道料金の値上げは一つの阻害要因となりうるのではないか。
 市民感覚からすれば、本当に19%アップしなければならないほどの施設整備が必要なのか、経営効率化や経費節減にもっと取り組む余地があるのではないかと感じるのは当然である。
 「大津市水道事業経営検討委員会」の答申においても、附帯意見として「中長期経営計画(新水道ビジョン)では、投資・経営の効率化・健全化の取り組みが記述されている。これらの取り組みについては継続的な実施と更なる効率化・健全化が望まれるため、絶えず計画内容等の見直しを行い、一層のコスト縮減が図られるよう努めること。」とある。
 料金値上げの順序としては、市民に負担増をお願いしてから経費節減を具体的に進めるのではなく、まずは企業局自らが市民に十分周知・納得される改革を行い、経営効率化計画における目に見える成果を出してからはじめて、市民にも痛みを求めるのが筋ではないか。
 ついては、今後4年間は市民生活への影響を軽減するための激変緩和期間とするとともに、企業局の経営努力を市民や議会が見定める期間とすべきであり、すなわち今回と4年後の2段階料金改定へと変更すべきと考えるが、見解を伺う。


A(答弁)企業局長

 始めに、「経営目標の妥当性について」でありますが、一つ目の現預金残高40億円につきましては、安定した経営のために確保すべき運転資金として30億円、非常時への備えとして10億円の計40億円としております。
 二つ目の企業債残高181億円につきましては、将来世代の負担軽減のため、削減目標を平成26年度の決算額の20%として設定いたしております。
 三つ目の当年度純利益につきましては、公営企業として健全経営のために必要な目標として設定しております。
 なお、現預金残高40億円及び企業債残高181億円の妥当性につきましては、それぞれ資金残高対事業収益比率、給水人口一人当たり企業債残高が中核市平均程度となっていることを確認いたしております。
 
 次に2点目の「激変緩和措置としての水道料金の段階的改定の検討について」でありますが、仮に2段階で料金改定を実施した場合、2回目までの料金収入が現在の計画より減少し、その減少する料金収入を2回目の料金改定以降の収入に含める必要があるため、お客様の負担が後年度に重くなることから、2段階での実施は好ましくないと考えております。
 投資・経営の効率化・健全化の取り組みにつきましては、今後もさらなる効率化に継続的に取り組むこととし、これからの取り組みについてお客様への周知等が図られるよう努めてまいります。
 以上、私からの答弁といたします。


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 私も水道局が構築した「料金値上げの論理」をよく調べてみましたが、その論理自体は間違ったものではないと思いました。
 しかしながら、やはり市民に負担を求める前にまずは自分たち(企業局)としての経営努力が先ではないかと思います。少なくとも市民は全く理解していないし納得していません。

 また、水道料金の二段階値上げについては、一応内部的には検討をしたようですが、附属機関ではまともに審議されていませんし、議会でもそこらへんの説明は今のところ皆無です。二段階値上げが難しいのかどうかの実質的な判断というのは、まずは情報を正しく出してもらってからになると思います。
 仮に今議会だけで審議が不足するということであれば、私としては「継続審査」として、十分に情報を提供してもらってから審議を行い、12月に決定したらいいと思っています。それでも3か月以上先のことなので料金改定に向けた実務的な準備期間はあると思います。

 まずは今議会の予算常任委員会での審査です。私の所属会派「志成会」は本年度、施設常任委員会に委員を出せていませんので、委員会質問を行うことができませんが、議事録を確認するなどして理解を深めたいと思います。


大津市議会議員 藤井哲也拝





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