【6月議会一般質問解説③】企業局パワハラ案件について

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 大津市企業局においては、昨年パワーハラスメント(以下「パワハラ」と略)に伴う大量の精神安定剤服薬によって市職員の方が入院療養され、病院において死亡が確認された事件がありました。
 昨年6月の議会でも、この案件について触れており、その後の調査を待っていたところでした。

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Q 藤井
 企業局「パワハラ」案件について。
 この質問に当たりましては、亡くなられた元職員の方の御冥福をお祈りしますとともに、御家族に対しましてお見舞いを心から申し上げます。

 昨年6月議会の一般質問で、この問題に関しましては私が触れており、公営企業管理者からは、パワーハラスメントの有無及び事実関係を把握するために、弁護士を介して調査しており、公正職務審査委員会による調査については、弁護士の調査結果を踏まえて判断していくという答弁がなされました。そして、今回公正職務審査委員会による答申に基づき、パワーハラスメントを行った企業局職員は減給10%5カ月、管理監督者は訓戒及び文書厳重注意の処分がなされました。
 パワーハラスメントが行われている最中、被害家族が何度か直属の上司に当たるグループリーダーMや課長、保健師らに「パワハラ」を止めてもらうよう要請し、当該職員(直属の上司)への指導を求めましたが、管理監督が適切に行われたとは到底言えず、結果的に被害職員は精神安定剤を大量服用し、病院で死亡したという流れを見ると、私は組織としての企業局が「パワハラ」を受けた職員を見殺しにしたと言っても過言ではない痛恨の問題であると感じております。
 いじめでも「パワハラ」でもそうでありますが、人が自分で死を選ぶ最大の理由は、私は恥だと考えております。学校の先生から、そのくらいにしときと、笑いながらいじめを見せ物にされたり、同僚が見ている前で頭ごなしに給料泥棒と侮辱されたり、いずれも耐えがたい恥を感じ、自尊心を著しく損なわれたときに人は死を選ぶのではないかと思います。
 こうした状況に追い込むまで、職場では誰もが見て見ぬふりをし、実際企業局の中では多くの職員が真面目に仕事に取り組む中ではあると思いますけれども、当該職場においては指導の範囲だと思い込んでいたというのは、私は異常な組織だと感じております。
 調査結果によりますと、「パワハラ」と死亡との因果関係はないということでありますが、せめて亡くなった職員の死が報われるよう、加害職員はもちろん、企業局の存亡をかけて職場から「パワハラ」を排除すべき取り組みを進めていただきたいと切に願います。

 以下、質問を行います。一問一答方式です。
 本市顧問弁護士の調査が昨年3月24日から9月14日までの6カ月間、公正職務審査委員会による審査が昨年10月28日から本年4月19日までの6カ月間、約1年間を要しております。
 いじめ自死事件の際の第三者調査委員会の調査スピードから比較して本件は動きが鈍いと感じられますが、なぜこれほどまで調査、審査に時間を要したのかお伺いいたします。

A 山本公営企業管理者
 企業局といたしましては、職員が亡くなるという事案の重大性を受け止め、迅速性、公正性及び慎重を期して、職員によらず、事実認定にたけた弁護士に委任をし、直ちに調査を開始したところであります。
 調査については、ご家族のご理解を得ながら進めたところでありますが、この経過において、医療に関する必要な情報の取得、及びこの内容を分析し意見を述べる複数の外部の医師を探すこと、並びに医師の意見聴取に不測の日数を要したものであります。さらに、これを踏まえて事実認定をする必要があったことから、調査に5カ月半を要することとなったものです。
 また、大津市公正職務審査委員会では、企業局の諮問に対し、企業局の調査結果及び関係資料について精査をいただき、第三者の視点に立って検討を加えるとともに、再発防止策については独自に検討をいただくなど、慎重な審議が必要であったことから、答申までに一定の期間がかかったものであります。

Q 藤井
 続きまして、「パワハラ」の疑いがある事案の報告義務を新たに今回設けられたと報道で拝見しましたが、誰が「パワハラ」だとその当該行為を認定するのか。そして、現にそこにある「パワハラ」に対して、誰がどのようにして解決に向けて対処しようとするのかをお伺いしたいと思います。

A 上野総務部長
 「ハラスメント」の疑い連絡票の対応における、「パワハラ」の認定及び、解決に向けての対処については、24時間以内に連絡票を受け付けた職員支援室、コンプライアンス推進室、各部局のコンプライアンス推進員に当該部署の所属長を加えた4者で構成する「ハラスメント対応会議」において対応することとしております。
 連絡票を受け付けた場合、緊急事案は翌日までに、そうでない事案でも3日以内には4者で「ハラスメント対応会議」を開催し、中でも緊急度、深刻度が高いと判断した場合には、嘱託弁護士の協力を得て関係者のヒアリングを行い、事実関係の有無について判断してまいります。
 事案の内容によっては、顧問弁護士に依頼するケース、今回のように公正職務審査委員会に諮問するケースがあると考えており、最終的には再発防止措置を講じるところまで迅速に対応してまいります。

Q(再質問)藤井
 私は、やはり第三者に通報窓口を設けたほうがいいと思うんですよ。
 今、職場の中の推進員とか通報制度があって、当該職場の人も交えた会を設けて対応していくというふうなことで伺いましたけれども、そもそも(パワハラが発生している職場の)加害職員がいるので通報しにくいと思うんですよね。ですので、私はやっぱり第三者機関などを設けて、そちらに窓口を設けてやっていくほうがいいんじゃないかなと思っています。
 「公営企業管理者訓示」という、今年の4月4日付で話しされた内容のものを持っているんですけれども、職場としまして、私は一部理解できるところは当然あるんですけれども、こういうことを仰られると、例えば登山の専門的な訓練を受けてない人に対して、「みんな一緒に富士山登れ」と言ってるのと一緒のようなことを訓示で述べていらっしゃると私は認識しています。そういった中で、「連いてこれへん奴はもうええで」みたいに受け取れないこともないんですよ。
 ほかの職場の人たちがみんなそういうことを思ってたら、結局「パワハラ」というものをある意味、容認するような職場風土というのが生まれると思っています。
 そのようなこともあり、やはり「パワハラ」を現に行っている職場内の人への相談であったりとか通報ではなくて外部の機関(総務部がなってもいいと思いますし、私はより外側の機関を設けてやるほうがいいんじゃないかなと思ってはいるんですけれども)が相談や通報、対応の窓口になってもいいのではないかと考えています。
 その点についてお伺いできないかなと思っております。

A(再答弁)上野総務部長
 外部の第三者の通報窓口を設けるべきではないかということでございます。
 この外部の通報窓口といたしまして、公正職務審査委員会のほうに職員から直接通報いただけるような仕組みも持っております。今回設けました通報義務は、所属長が事態を把握した場合、必ず通報する義務があるというところで仕組みをつくったものでございます。

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 なぜこの企業局職員が亡くなられたのか、その真相は藪の中です。私の知りうる限りの情報を総合すれば医療ミスがあったのではないかとも思われます。本来は致死量に達しなかった精神安定剤の量です。「死にきれなかった」という希死感を抱き自殺を図ったとも考えられます。この場合は看護ミスです。
 ただそうした原因をそもそも作ったのは、企業局においてパワハラを行った直属上司であり、それを容認した企業局幹部ならびに当該職場全職員です。
 処分して終わり。というのであれば、この亡くなられた方の死はどのように報いられるのでしょうか。

 今回の質問は、ご遺族に近い方からの情報提供により行ったものです。
 様々な情報を得る中で、企業局としても事後は調査などをそれなりにしっかりやってきたみたいですが、職員がなくなってからでは遅すぎます。

 今後のハラスメント対策においても、公正職務審査委員会に相談窓口を設けたということですが、一般職員の内、どれくらいの人がそのことを知っているのでしょうか?そしてその公正職務審査委員会は得た相談内容をどのように庁内で共有し解決しようとするのでしょうか。結局、当該ハラスメントが生じている部署の人が知るところになれば、ハラスメント被害者は不利益をこうむることになるでしょう。
 こうした情報の取扱いの不安がある限り、職員は公正職務審査委員会に相談しようと思わないのではないでしょうか?
 
 言うは易し。総務部には、市職員が安心して相談できる窓口であることを職員にしっかりと周知し、そして相談情報の取扱いには慎重を期すことを明文化すべきと考えます。


大津市議会議員 藤井哲也拝




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