【6月議会一般質問解説②】前教育長辞任の顛末及び学校選択制などの教育行政に関する諸問題について①

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 6月議会で取りあげた議会一般質問2項目めは、「前教育長辞任の顛末及び学校選択制などの教育行政に関する諸問題について」です。

 井上佳子前教育長は、議会の信任(議決)を得て、特別職だる「教育長」に就任したのですが、議会や市民に何も告げぬまま辞任し、そして一般職「教育次長」へ再雇用されています。体調不良なのか、または何かの責任を取ったのか・・・。

 また、大津市では「学校選択制」が採られ、小中学校の生徒は、居住学区以外に近隣の学校を選択して通学することができるようになっています。メリットもあれば、もちろんデメリットもあります。私の出身校の中学は、この学校選択制の影響を受けていると思います。
 地域住民によって地域の公立学校を運営していく、いわゆる「コミュニティ・スクール」が大津市でも始まっており、その理念(地域の子どもは地域・家庭・学校が一緒に育てる)と学校選択制はある意味、相容れにくい性質のものです。

 その他、この「コミュニティ・スクール」を拡充していくために、予算権限を拡充する必要性があると考え、部活で用いる破損備品の購入などにコミュニティスクールが貢献することができないかと考え、提案を行いました。

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【前教育長辞任の顛末について】


Q 藤井
 最初にこの3月末日の井上佳子前教育長辞任の顛末に関して伺いたいと思います。
 約8カ月間の教育長不在期間を経て、2014年11月に元秘書課長で当時教育次長であった井上佳子氏が議会の同意人事によりまして、教育委員会委員に選任され、互選によって教育長に就任されました。
 しかしながら、本年3月、議会への説明責任を一切果たさず、突如として教育長を退任されたばかりか、教育委員会委員をも辞職されました。市長からは、「学校現場等への影響を鑑みて、年度当初をもって新体制へ移行することといたしました」とし、「井上佳子現教育長につきましては本日3月31日をもって教育長及び教育委員会委員を辞任されます」との説明が3月31日になされましたが、任期途中での辞任理由については触れられませんでした。
 ついては、井上教育長辞任及び桶谷教育長新任に関しまして以下質問を行ってまいりたいと思います。
 まず、井上前教育長並びに教育委員会委員がその職を辞することになったその理由をお伺いしたいと思います。

A 桶谷教育長
 井上前教育長は、退任の約2週間前に当たる本年3月18日に教育長を含む5人全員の出席のもとで開催されました教育委員会協議会において、自ら年度末をもって教育委員会委員を辞職したいとの意向を示されました。加えて、4月1日から私を教育長の職にということで、市長が市議会に議案を上程する予定があることを述べられました。
 井上前教育長は、自身の任期満了日が平成29年2月18日であり、その日まで務めた場合、年度や学期途中で新教育委員会制度に移行することになるので、そうならないよう、任期途中でありますが、その前年度末をもって辞職するべきと考えられた次第であります。

Q(再質問)藤井
 今お伺いしたのは「教育長の辞任理由」なのかなと思います。
 教育委員として残られてもよかったんじゃないですか。教育委員会の中で互選で教育長が変更できますので、私は教育委員として残られるべきなのかなと思うんですけれども、お答えをお願いします。

A(再答弁)桶谷教育長
 制度が新制度に変わるということで、旧の教育委員会制度から新の教育委員会制度に変わるという風なことで、そこで制度が変わるということで、今までやってきたことを教育委員並びに教育長を辞したいというふうなことを自らお話をされて、私たちいろいろな話をした結果、制度が変わるこの節目のときにという風なことで、教育委員会全員の合意で認めたというふうなことが顛末でございます。
 今お話しのように、そのことをお引き止めして委員を一緒にやればという風なことも「案」の中にはなかったわけではないわけですが、本人さんから固辞をされたという風なことで、こういうことになっております。

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【コミュニティ・スクール制度の条例化について】


Q 藤井
 家庭、地域、学校が一体となった いじめ対策の推進のため、私が初めて「コミュニティ・スクール」制度の導入を提言したのが2012年12月議会でありました。翌年7月に、当時
の富田教育長の英断によりまして「コミュニティ・スクール」制度の導入が決定されることになり、ようやく昨年度から市内2中学校を指定して実施されているところであります。また、「コミュニティ・スクール」と車の両輪とも言える「学校地域コーディネート本部」も本年度は8本部、12小中学校へ拡充する方向であり、その姿勢を評価するものであります。
 ところで、地域住民が学校運営に携わることは、特色ある学校づくりにつながり、ひいては子どもたちの地域愛醸成や、学校を核とした地域全体のつながり創出の効果を期待できる点で、大いに推進すべきものでありますが、一方で本市においては既存の学校協力者会議があり、各地域においては「コミュニティ・スクール」との差異がうまく理解されていないことも多いと聞きます。
 ついては、「コミュニティ・スクール」の指定校を増やすために、教育委員会としては具体的にどのように取り組もうとしているのか。提案ですけれども、全国ではほとんど例がありませんが、市民への理解促進や実効性を担保すく、条例化の検討を含め、今後の具体的な対応策をお伺いしたいと思います。

A 桶谷教育長
 「コミュニティ・スクール」は、学校と保護者や地域の皆さんがともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、協働しながら子どもたちの豊かな成長を支え、地域とともにある学校づくりを進める仕組みであると考えております。
 教育委員会といたしましては、今までの地域とのつながりを生かしながら、子どもたちの豊かな学びを創造し、地域のきずなをつなぐ「コミュニティ・スクール」を目指しております。現在、「学校地域コーディネート本部」事業の指定校におきましては、地域住民と学校との密接な関わりができており、ともに子どもたちの育ちを支えていこうとする機運が高まっていることから、「コミュニティ・スクール」への移行について積極的に働き掛けてまいります。
 また、地域関係者の皆さんには、研修会への参加を呼びかけることで「コミュニティ・スクール」についての理解を深めていただき、さらにリーフレットや、現在指定されている学校の取り組みを大津市のホームページやフェイスブック等で情報発信を行い、周知を図ってまいります。

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【コミュニティ・スクールの機能拡充について】

Q 藤井
 先日視察に伺った学校では、吹奏楽部で用いる楽器がひどく傷んでいる状態でありました。

大津市中学校吹奏楽部楽器傷み①

大津市中学校吹奏楽部楽器傷み②


 聞くところによりますと、多くの学校で同様の状態であると言います。私も複数の学校に今回視察に伺いました。今回質問するに当たりまして事前に担当課へ確認しましたところ、楽器の更新は全学校合わせて年間300万円程度の予算しかなく、修繕費は200万円を切るという大変貧弱なものでありました。
 言うまでもなく、学校の子どもたちの文化芸術やスポーツの課外活動は、体力や集中力、協調性を磨くだけではなく、卒業も生きる人間関係の形成や将来の可能性を広げる観点からも大変重要であると考えており、今回の吹奏楽部の例に限らず、より一層部活動への財政支援を拡充していくべきであると思います。
 現在、小中学校単位で子どもの教育振興を目的とする任意団体が存在していることがあり、当該団体により児童や学校または部活動に対して、地域住民から拠出された資金を用いて支援がなされています。
 私としましては、「コミュニティ・スクール」などのもとで、こうした資金を公に管理し、有効活用し、もって部活支援など、子どもたちのための一層の教育振興、教育環境の充実を図っていくべきと考えます。「コミュニティ・スクール」による教育振興のための資金管理や「コミュニティ・スクール」の活動に対する補助制度について、教育委員会の見解をお伺いいたします。

A 桶谷教育長
 「コミュニティ・スクール」は、学校がより充実した教育活動を展開していくため教育委員会が指定しているものであります。そのため、この活動に対する経費につきましては市の予算措置をしており、教育振興のための資金管理は行う予定はございません。

Q(再質問)藤井
 「コミュニティ・スクール」による資金管理は検討して頂きたいと思いますが、今回の質問の趣旨としまして、部活動支援であったりとかそういう部分で、地域、学校、家庭が一体となって支援をしていくべきであるという風なことを踏まえての質問です。
 その観点から、「コミュニティ・スクール」に指定を増やしていくためには、私はインセンティブが必要であると思っていまして、そういう観点からやはり補助制度、ここに質問させてもらっていますが補助制度をもっと拡充していくべきと思いますが、その点についてお伺いできないかなと思っております。

A(再答弁)桶谷教育長
 私も、議員がお述べになりました補助金制度の拡充、拡大ということについては賛成です。
 ただ、この「コミュニティ・スクール」の資金をもって、今脆弱である、いわゆる部活動の問題、例えば楽器の購入であったり修繕であったり、先ほどお述べいただいたように、新規購入が150万円、修繕が300万円、450万円ということで、55校では非常に厳しい実態はあります。
 ですから、丁寧に引き継ぎ、しっかりと使って後輩に受け継いでいってほしいという風なことで、年次送りで今新規購入をやっていただいております。
 そういう部分と、「コミュニティ・スクール」の予算をこれに宛てがうという風なこと、またそれを地域の中でお金を集めて、それを修繕に使うというのは、なかなか今の段階では難しい。別物で考えていきたいなという風に思っています。
 ただ、議員仰ったように、しっかりと国の補助、今現在、実は3分の1補助という形で、国から1校当たり今70万円程度、新規の学校に今予算が充てられております。それの拡大に向けて私たちも努力をしていきたいと思っております。

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 この質問の前半部分を取り上げました。後半は長くなりましたので別記事で記載します。
 
 井上佳子前教育長の説明なき辞任には、いまもモヤモヤしています。教育長の答弁は答弁になっていません。
 市長や教育委員会の人事権が及ぶ「一般職員」なら別ですが、議会議決によって市民代表から選任された「特別職」は違います。なんの断り(説明)もなく責任ある職を放り出して辞めるのはダメでしょう。
 仮に市長や議員が同様の事をすれば、どのような評価を受けるでしょうか?
 
 また、学校の部活備品については更新費用を拡充する意向を教育委員会としては持っていることを確認できました。来年度予算にしっかりと反映されるようにチェックしていきたいと考えています。


大津市議会議員 藤井哲也拝


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