【一般質問解説①】 行政評価制度の予算編成での活用。

ホームブログ>【一般質問解説①】 行政評価制度の予算編成での活用。



 大津市議会では4月からの来年度予算審議の真っ最中です。
 本会議一般質問は無事終わりましたので、順次解説を進めていきます。

 最初は「行政評価制度」の予算編成への活用に関する問題指摘をさせて頂きました。大津市では「行政評価制度」という仕組みを導入し、大津市総合計画の理念・目標を達成していくために、年度ごとに施策や事業の評価を行い、進捗度を測りながら、政策調整を行い、その上で最終的な目標を達成するために必要な予算の査定を行うという仕組みです。

大津市行政評価システム体系

 そうしたサイクルをうまく回すために、予め進め方やスケジューリングがなされています。

予算編成スケジュール大津市


 本来は、前年度の施策・事業評価を行い、総予算の関係もあるため、予算査定の前に施策間の優先付けや施策をひっぱる主要事業のヒアリングが行われることになっています。しかしながら、大津市では本年度を含めこれまでこうしたPDCAサイクルがうまく機能してきませんでした。
 来年度の予算編成にあたっては、「施策間の優先付けや主要事業ヒアリング」が、「予算要求」よりも後に実施されています。実質的には予算査定と並行して事業説明がなされ、そこから施策の優先付けがなされるという順序が逆転したものとなっています。

 こうしたことによって生じる弊害として、
 ・施策間、事業間の優先付けがなされないため査定基準が不透明になりがちとなる。
 ・また、部局間や政策間の連携が不十分となる恐れがあり、予算の二重要求などが考えられる。
 ・施策推進をひっぱっていく主要事業が固まらないうちに予算要求をすることで、施策推進につながりにくい恐れも出てくる。
 ・5年間の財政フレームは先に提示されているので、各部局においては市長らと主要事業を決定する前に何を政策の中心に添えるかなどで議論が混乱しかねない。
 ・とりあえずいろいろと予算要求をせざるを得なくなり、査定のボリュームが大きくなり、各部局や財政課の業務負担が高まる。
 などが挙げられると思います。(もっとほかにもあげられると思いますが)

 以上の課題をイメージして、大津市の行政評価制度の問題点を指摘したつもりでしたが、大津市の答弁(総務部長)は、「特に問題ない」ということでした。
 答弁だけ聞くと、「藤井はわけが分かってないのに聞いている。」と思われかねませんので、念のため情報公開請求で取り寄せた昨年10月1日に行われた部長会議の議事録を掲載します。
 昨年10月の部長会議では参加部長からも問題提起がなされていました。市長も問題があることを認識しているはずです。

2710部長会議①

2710部長会議②

2710部長会議③

2710部長会議④

2710部長会議⑤

2710部長会議⑥


*****

 この質問に対して答弁したのは総務部長でしたが、本来は政策調整部長が答えてもおかしくないと思います。
 質問趣旨が「査定」であったので総務部長が答えられたものと思いますが、大津市の「なかなか表には見えない課題」が映し出されているように思います。つまり総務部と政策調整部との連携不足という問題です。
 本来、こうした役割を担っていたのが、前副市長の茂呂さんであったり、その前の佐藤賢(元)副市長や井上俊生(元)副市長だったはずですが、いまではこうした総務部と企画部との間に立って調整する人が見当たらないように思います。そうした点から行政内部の調整に精通した特別職が必要であるとも言えます。

 大津市民にとって行政評価システムの機能不全が直接的にマイナスに作用する事案は、なかなか顕在化しないと思いますが、こうした問題は結局のところ、大津市の政策推進において、市長独断を招く温床(市長はそう感じていないはずです)になっていると思います。

 行政機構というのは、ある種 うまいことなっていて官僚制度と揶揄されることもありますが、本来は合理的な意思決定を進める上では全体最適で効率的な仕組みだとも言えます。長い行政システムの試行錯誤の上で、「行政評価システム」が取り入れられ、漸増主義(インクリメンタリズム)のもとで予算配分がなされてきました。今の大津市ではそれがうまく機能していないという事です。

 行政内部からは「市長は職員の声を聞かない」という話もチラホラ聞きます。確かにそうしたパーソナリティ傾向を市長が持っていることは否定できませんが、行政の仕組み上も、市長と対等にコミュニケーションできる素地が整っているとは言い切れないように思います。

 来年度以降に「行政評価システム」も見直しがなされる方向と仄聞しています。
 よいよい仕組みに改善がなされ、大津市勢発展につながるように、総務部・政策調整部による検討に大いに期待していきたいと思います。


大津市議 藤井哲也拝







▲ページのトップへ