越市政4年間の総括(4)~産業活性・雇用政策~

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越市政4年間の総括4回目は「産業活性・雇用政策」についてです。

私が政治家になりたいと思った動機は、2001年から10年間にわたって若者の就職支援にビジネスとして深く関わってきた中で、社会的枠組みを変えなければ、若者の就職・就労環境は改善しないと強く感じたことにあります。
そうしたことから私にとっての政策の原点は常に「雇用問題」であり、そのための産業活性であり、将来世代がしっかりと就労できるようになるための教育環境の充実です。

この問題は大津市のような基礎自治体ができる施策は限られています。とは言え、地方分権や地方創生が強調される現在にあっては、地域独自の産業活性政策や雇用促進政策により、一定の成果を上げている地域や自治体があるのも事実です。(例えば近隣自治体で言えば、三重県や福井県鯖江市など)

大津の強みを生かした産業活性と雇用促進を図るべきで、以下3点から評価をしたいと考えています。

① 意欲とアイデアを持つ人が大津で起業しようと思える環境を整備しているか
② 大津の地場産業や中小・零細企業を育成する仕組みがあるかどうか
③ 大津地域の産業全体で付加価値を高めることができているか

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まず「意欲とアイデアを持つ人が大津で起業しようと思える環境を整備しているか」という視点ですが、5段階評価で「2」をつけます。
トヨタやパナソニック、グーグルやアップルなども最初はベンチャー企業であり、今では創業の地で大きな雇用を生み出しています。ベンチャー企業の成功率はかなり低いものの、外から大きな企業を呼んでくるよりも中長期的には地元に大きなメリットを生み出してくれることから基礎自治体としても起業及び孵化支援は注力して取り組むべきと考えます。
京都で10年間 会社経営をしてきた経験から言えば、大津市がやってきた起業支援や孵化支援は本当にレベルが低いものでした。
そして現在、起業支援の取り組みは、従来から行っている龍谷大学のベンチャーラボ入居企業への財政支援や、新たに始めた女性起業家の発掘事業、また琵琶湖大花火大会や大津祭りの観光客向けにアプリ開発を行う「code for Biwako/Shiga」との連携事業などが挙げられます。しかしながら、起業したい風土や環境が大津市で醸成されたかと言えばほとんど変わっていないと思います。志ある若者は京都や大阪、東京で起業する状況に変わりありません。福井県鯖江市などの取り組みを見ていると、小さな商圏でも起業を応援する風土や環境が整えば、小さな町でも起業家がたくさん輩出されています。

次に「大津の地場産業や中小・零細企業を育成する仕組みがあるかどうか」ですが、5段階評価で「4」をつけたいところですが「3」にします。
4年間の取り組みの主なものとして、地域ビジネス推進室を設置しそれなりのビジネス経験を有した4、5人の民間コンサルタントを「産業化支援コーディネーター」として組織化したことが挙げられます。これは一定の成果を上げていると言っていいでしょう。
また中小企業が抱えている素晴らしい事業アイデアを顕彰・認定し、行政が支援していく制度の創設も私が政策提案し実現しました。(但し現在は1年間でたった1社のみ。もっと顕彰件数を拡大していくべきです)
しかし課題としては、経済団体との関係があまり良くないことです(実際にこうした団体が中心となって市長選に対立候補を擁立しました)。経済団体などと連携した地域経済の活性化や地域人材の育成をしていかなければ、本当の意味で効果がある施策展開がなされているとは言い難いでしょう。そのほか、産業としての農林水産業の育成にも課題があります。
また4年間検討ばかり続けてきた「中小企業振興計画」の策定が遅れに遅れたということはマイナス要素です。選挙間際のこの時期になってようやく、計画の内容が明らかになりつつあります。企業の経営環境は日々変化しているのにも関わらず、正直なところ検討に時間を要しすぎました。

最後の項目は、「大津地域の産業全体で付加価値を高めることができているか」ですが、5段階の「4」にしたいと思います。
市内大手企業の事業縮小に伴うリストラにより雇用が失われた反面、堀場製作所の工場拡張が決定し、びわ湖サイエンスパークに企業誘致も順調になされてきました。また市内から事業所撤退を予防する措置として緑地面積に関する条件緩和もなされました。また日本全体で好調なインバウンド(外国人旅行者の誘客促進)も京都のホテルや旅館が満杯であり、そのおこぼれを授かる形で恩恵を受けてもきました。そうしたことから付加価値(売上利益や雇用拡大)が高まったという評価をしてもいいと思います。
※越市長は堀場製作所やサイエンスパークへの企業誘致をトップセールスによるものと吹聴していますが、実際は有能な産業観光部職員の努力によるものです。一度挨拶をすることがトップセールスというなら別ですが、トップセールスらしいことは何もやっていません。
但し、課題として挙げられるのは「粗付加価値額」を高めるための、体系的で効果的な取り組みが見られないことです。いわば出た所勝負の施策展開をしている状況で、本来は計画に沿って推進していくべきだと思います。


このように考えると、「産業活性・雇用政策分野」の私の評価は、平均して「3」となりました。大津が有す本来のポテンシャルを考えると、物足りないと考えています。

大津市議会議員 藤井哲也拝




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