大津市議会活性に向けて(議決事件追加提案の補足)。

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おはようございます。
滋賀県の大津市議会議員、藤井哲也です。

議会活性化と呼ばれていますが、正式な定義はないように思います。
私なりには、『地方分権化の時代に即して市民の意思決定機関及び市政の監視評価する機関、そして市民目線の政策提言機関としての各権能を、市民にとって費用対効果(Cost for Performance)を高めること』を、議会活性と捉えています。

この方法には大きく2つの方法があると思います。

 【1】議会コストを維持しながら、議会の権能(performance)を高める.
 【2】議会権能を維持しながら、議会のコスト(Cost)を下げる.


という単純なものです。

大津市議会では、【1】のパフォーマンス向上については「マニフェスト大賞グランプリ」を受賞するなど議会活性の取り組みについて高い評価を得ており、また市政監視機能や評価機能なども私が在任している3年半だけ見ても、徐々に高まってきていると感じます。また大津市議会では、「通年議会」が採用されており、いわば年がら年中、議会が開催されている状態です。このため、本会議がない期間であっても週に3日以上はなんらかの委員会が開催されたりしています。

一方、【2】については東日本大震災直後の時期において、一定期間の議員報酬削減は行いましたが約1年間限定で元に戻りました。議員定数削減についても3年半の間で、正式に議論さえされてこなかったように認識しています。

【1】と【2】の和が議会活性度だということであり、【2】について議論をしないのであれば、【1】をもっと高めていくしか議会活性の推進はありえないと思います。



さて10月15日に私と同僚議員の山本議員との連名により、「議決事件の追加」について議会運営委員会に正式に提出し、同27日に議会運営委員会で審議が始められることが決まりました。(※1)

次回、11月議会開会1週間前の11月22日に開催されます。ここで初めて議論がなされることになります。議会活性のため、議会運営委員会メンバーにおかれては真剣に審議して頂けるものと思いますが、ぜひ前向きに取り組んで頂きたいと念じています。


そうしたことを期待しながらも、調査活動を続けており、先日ダメモトでフェイスブックを使って、法政大学常務理事を務めておられる、議会活性の第一人者である廣瀬克哉教授に、お会いして議決事件追加についてご指導を頂きたい旨、連絡を取ったところ、快く受けて下さり、東京に伺った際 1時間もマンツーマンでお時間を頂きました。

廣瀬教授は、「自治体議会改革フォーラム」の呼びかけ人代表であり、「全国自治体議会の運営に関する実態調査」や毎年「議会改革白書」を出しておられ、全国の自治体議会の改革をリードされておられると共に、大津市議会も大変お世話になっている同志社大学の新川達郎教授らと共に「議員力検定協会共同代表」を務め、議員の資質向上にも取り組んでおられます。

また、奈良県ご出身ということで同じ関西人ということで親しみを感じると同時に、東京大学法学部卒で、行政学をリードする業界の権威であることから、肩書きに弱い(?)私は必要以上の緊張もいたしました。講演1時間を頼もうとすると数十万円かかることは、後に知りましたが、結果的には、サシで聴きたいことを好きなだけ聴かせて頂き、大変貴重で有意義な時間だったと思っています。

自治体議会改革フォーラム26
廣瀬教授が呼びかけ人代表を務める「自治体議会改革フォーラム」のwebサイト

議会改革白書藤井哲也
(廣瀬教授の編著による「議会改革白書」)



先生自身も大津市議会のことは注目されておられ、来年は大津市に状況を見に来たいと仰っておられました。大変有り難く思います。私も大津市及び議会の動向について、簡単にお話をさせて頂きました。その上で、「議決事件の追加に関する提案書」は既にご覧頂いており、様々なアドバイスを頂戴しました。

結論としては、「私の提案に書かれている 議決すべき行政計画等の多くは、追加することを議論しても問題ない」というものでした。ただし「○○基本計画の重要部分」という記載をしていることについては、「重要部分」という表記は避けたほうがいいとも仰って頂きました。

平成23年8月1日に、地方自治法一部改正により、これまで議決事件とされてきた、まちづくりの最上位方針とも言える「基本構想」が議決事件から外れました。これは地方分権の流れに沿うもので、議決事件にするかしないかも含め、決定権限を自治体に委譲しようとする考えによります。

これによる主な影響は以下の通りです。
●総合計画の位置づけ、役割、体系など計画の本質的な部分を各市町村が地域性を鑑み、独自に規定していく必要がある。
●総合計画を議決事件にするか否かを市町村議会が決定する必要がある。(大津市は既に議決事件となっている)
●総合計画と各行政分野の基本計画との整合性を諮る必要がある。
●「都市計画」「農振計画」「景観計画」の3つについては議決事件にしなければ『基本構想・基本計画に即する」という条件が外れる。


そうしたことを踏まえ、今後大津市議会で議論される「議決事件追加」に関して想定される主な議論について、私は以下のように考えています。

Q 議会が行政計画を議決事件に加えるのは、予算執行権の侵害に当たるのではないか?
A そもそも予算執行権というものは法規定がありません。あるのは契約締結権、予算調製権、議案提出権です。市長は市の代表であり、市民代表としての議会が予算決定権限を持っています。つまり予算を伴う方向性などを決定するのは議会です。こうした考えは国の地方制度調査会であらためて述べられています。

Q 知見やスタッフが足りない中、行政計画を議決してしまえば議会も責任を負うのではないか?二元代表制の趣旨から考えると、毎年度の予算決定と決算をすることで、ある程度方向性を制御できるのではないか?
A この考えは議会人自らが、自らの能力の低さを露呈する発言であってはなりません。そうしたことに責任を負えない中で議決しているとするならば大変怖いことです。(大津市においてはそのようなことはないと思いますが)知見の部分については議員だけで足りないのであれば、議会事務局や政務活動費の有効活用でカバーすべきです。(不足するのであれば、議決機関として、スタッフを増員するか、政務活動費を増額すればよいだけです)総合計画に紐づく重要な各行政計画については議決し実効性を高めればよいと思います。最悪の場合、「再議」を用いて、各計画の見直しをすれば良いと思います。

Q 計画否決となった場合、空白期間が生じるのではないか?
A 議会には修正案を提出する権限が認められています。なにも予算の修正案だけではなく、条例案も修正して問題ないですし、計画案についても修正可決しても何ら問題ありません。(大津市でも予算案を何度も修正可決しています)また附帯決議を計画に付けることも可能です。計画実施にあたって弾力性を持たせるためには附帯決議内容により有効性は高まると考えられます。

Q どの行政計画から審議していいのだろうか?
A 基本的には喫緊の課題となっているものだと考えられます。具体的には「教育振興基本計画」や「都市計画マスタープラン」であり、次に平成29年度改定の「地域福祉計画」や「協働推進計画」、「行政改革大綱」などです。



別に所属している「大津市災害等対策基本条例」では、「大津市復興計画」は議決事件に加えるように議論が進んでいます。同じ加えるのであれば、他の計画も同時に加えるべきであると考えます。災害等対策基本計画の内容そのものについては問題ないと思っておりますが、附則部分で相容れない内容のものにならないように、議会運営委員会においては、地方議会の先頭を走る大津市議会として十分な審議をして頂けるものと信じています。


大津市議会議員 藤井哲也拝


【参考】
※1:2014年10月29日ブログ記事「議決事件の追加を提案!(大津市議会の構造3)」




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