平成25年11月議会一般質問②「新しい教育委員会委員について」

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おはようごさいます。
滋賀県大津市議会議員、藤井哲也です。

明日で11月議会(11月29日開会)が閉会します。
「任期付き職員の採用及び給与の特例に関する条例」については私としては使い方によっては大津市政にとって大いに寄与できるものだと考えますが、その運用方法に関して不明確なことが多く、逆に濫用されて行政改革が大きく後退することも想定されるため反対をいたします。まるで日弁連の手先のように職にあぶれる弁護士ばかり採用されても現場は混乱するばかりです。議会が任用について信頼できるように制度の運用方法をもう少し詳しく規定すべきだと考えます。


さて一般質問の2項目めは、「新しい教育委員会委員」についてです。
12月17日で任期が終わる竹内孝子委員の代わりに、新しく宮崎県での教育現場の経験が長い、日渡円氏を委員に任命しようとする議案が議会に提出されました。
結果的には、12月11日にこの人事案については一部議員を除き、賛成多数により承認されました。
本日12月18日から、新たに日渡氏が教育委員になられましたので、その活躍を念じるものです。

今回の一般質問では、以下2点を不安に感じましたので市長に確認するため質問を行いました。


【大津市民、子ども達の顔をイメージして 職務遂行できるのか?】

日渡氏の実績は議案提出がなされてから、ネットにたくさん論文や講演録が落ちていましたので、その考え方を知るためにおおよそ拝読させて頂きました。地域の行政に対する考え方や、教育行政改革の考え方、または教師への意識変革の考え方などは期待できるものであります。
しかし、大津市の教育委員会委員としての任務を遂行するためには、客観的ではなく、主体的に仕事ができるかどうかがポイントです。単純に客観的な視点で教育行政に関るのであれば、大津市教育委員会の附属機関か嘱託職員で十分だからです。
そうではなくて、教育行政に一定の権限と責任を持つ、教育委員となるからには、なにぶん 大津市のことを知らなさすぎます。宮崎県で教育行政のキャリアをスタートさせ、宮崎県内の町の教育長を務められ、その後は2011年からは兵庫教育大学大学院にて研究に従事されるなど、その識見は秀でていると評価しますが、大津市に携わったことは当然これまでありませんでした。
宮崎県と滋賀県とでは県民性や子育てに対する考え方にも違いがあるでしょうし、ライフスタイルや風習にも違いがあります。そうしたものをどこまで理解しておられるのか分かりません。全く的外れな判断をされても大津の子どもたちにとっては憂うべき問題です。

大津市長の答弁としては、今後 日渡氏には学校現場などを回ってもらうとのものでした。
私としてはまだ違和感は残っていますが、あとは日渡氏の本気度を今後見ていきたいと感じています。



【教育委員会定例会や協議会に遠路から毎回参加できるのか?】


もう一つの懸念は、多い時では1週間に3回程度開催されている教育委員会定例会や協議会に毎回参加できるのかどうかです。
日渡氏は現在、兵庫県三田市にお住まいになっておられます。
電車で移動するなら2時間強、車で移動するにしても1時間少しかかってきます。往復ではその倍です。
日渡氏ほどのキャリアの方に大津市の教育委員会委員になって頂くのは恐縮ではありますが、逆に遠路毎回参加して頂けるのかが心配であります。無理して引き受けられたのであれば申し訳ない限りです。
しかし一旦お引き受けいただいたからには、今後少なくとも4年間は大津市の教育行政の為に、一回たりとも定例会や協議会には休まず参加されるのが当然です。教育委員会は5人の委員の合議制によって成り立ち、それにより中立性が法的にも担保されています。一人でも欠けた場合は中立性に瑕疵が生じてしまいます。本来は5人セットで教育委員会です。
教育長も務められた経験がある氏であるため、こうしたことは十分に承知されておられると思いますが、今回は市長に、「きちんと定例会、協議会に参加頂ける事を確認したのか」を質問しました。
市長からは、教育委員会事務局により調整されるという最初の答弁でしたが改めて追及し、市長からはそうしたことも確認したとの答弁を得ました。


現在、国では中央教育審議会において、教育委員会の在り方について審議がなされ政府に対して、市長権限を強める答申が出されたところであります。
私としてはこれまで何回か自分の考えを書いてきました。
『「教育委員会」という組織の問題。』(平成24年7月7日記事)
『1週間後に大津市議会「12月定例会」が開会します。』(平成24年11月26日記事)
『いじめ問題第三者調査委の報告書を読んで。』(平成25年2月8日記事)


私としては、教育行政の中立性を担保するためには、「教育委員会制度」に改善は必要だとしてもその機能は必要だと感じます。機能と書いたのは「教育委員会」という行政委員会が必要か不必要かは各自治体が決定すべきであり、必置義務を撤廃しても良いと考えるものです。その場合は中立性を担保するために、附属機関とは異なる教育行政の監察系の機関が必要ではないかと考えます。

それよりも大切だと私が思うのは、ときどきの市長が教育行政に関与できる範囲を明確に規定すべきだということです。
教育委員会制度をどのようなものにするのか、今後 議論がなされていくと思いますが、根本的な問題は市長が教育にどの程度関与できるのかというものだと思います。
更に踏み込んで申すなら、学校の教育内容や思想にまで踏み込んでときどきの市長が指示を出せるのかです。
市長の任期は4年間なので、小学校に入った時と小学校を卒業する時では市長が代わっていることもあります。
保守的な市長もいれば、革新的な市長もいるわけで、コロコロと教育内容が変わって割を食うのは子ども達です。

今回の補正予算には計上されていませんでしたが、「教育振興基本計画」策定が来年度行われ、平成27年度から新しい計画がスタートします。
様々な考えがあるとは思いますが、市長の権限を教育行政分野で高めるならば、この「教育振興基本計画」については議会の議決事項にすべきだと考えます。
他にも「基本計画」はたくさんありますが、こと教育行政についてはその重要性から鑑みて特段、議決事項にする正当性があるように考えます。

大阪では、この教育振興基本計画を議会議決事項にする「大阪府教育基本条例」「大阪市教育行政基本条例」が制定されています。
越市長は、教育行政により一層の関与を行いたいのであれば、この問題は避けて通れない問題だと考えています。




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