「沖縄(琉球)独立論」と「主権回復の日」について。

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おはようございます。
大津市議会議員、藤井哲也です。

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【参考】4月26日記事「藤井哲也メールマガジンはじめます!!」



61年前の本日、サンフランシスコ平和条約と日米安保条約が発効し、連合国占領下から正式に日本は独立しました。
そして、そのことを以って安倍首相が4月28日を「主権回復の日」とすることとし、本日 式典を開くということです。

1952年当時は申すまでもなく朝鮮戦争が勃発していました。1951年2月~3月には戦争はこう着状態になったとはいえ、自由主義vs共産主義の代理戦争の呈をなしており、半島をめぐっては日本は戦略上重要な役割を課せられることになっていました。
そんな折、9月8日にサンフランシスコで講和会議が開催され、上に挙げた両条約が締結されました。

この平和条約を締結する際、(自力で国土を守る戦力もなく、半島を支援するためには日米同盟を結ぶ必要があったことから)仕方なかったとはいえ、防衛義務の明記がない旧日米安保条約の締結と、沖縄や小笠原諸島を含む国土の米国への信託統治化をセットで認めざるを得なかったのは、やはり現代の政治家がどうこういえるものではないかもしれませんが、私としては残念だと思います。

日本国内では唯一の陸上戦となり、県民の多くの犠牲を出して、日本の防波堤になってくれた沖縄県民にとって、日本本土(内地)のみが独立するのは、心中察すると穏やかではありません。事情はどうあれ、切り捨てられた思いは多くの方が持たれただろうと思います。
以来、沖縄では主権回復の日である本日4月28日は「屈辱の日」と言われているそうです。


私は大学では法学部で国際政治学を学んでいました。
友人に「沖縄独立論」についてその可能性があるということをしきりに言う人がいて、当時の私は訝しく思ったわけでしたが、大学を卒業して10年以上たち、国際関係も変化をする中で、中国のヘゲモニーが増し、南シナ海、東シナ海、朝鮮半島をめぐる状況が日に日に緊迫感を増しつつある今、沖縄の立ち位置について、真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。

沖縄(琉球)は、1609年に薩摩藩の侵攻を受けて貢納を義務付けられ、1872年に琉球処分により琉球王国が琉球藩に編入させられ、1879年に琉球藩が廃止され、琉球王の支配が終了し沖縄県が設置されました。
それから敗戦まで66年、沖縄県設置から現在は134年目です。

沖縄の方が、「屈辱の日」というのは、日本への愛着がある裏返しだと思います。「自分たちは日本人だと思っているのに、大和民族には裏切られた」という意識があるからこそ、「屈辱」だと思ってしまうと感じるのです。違っていたら申し訳ありません。
「自分たちは日本人」だという認識がなければ、沖縄返還はなく、そのタイミングで独立していてもおかしくないと思うのです。
それでもなお、沖縄に多くの基地が残ると言う負担を強制されながらも、「返還」を喜び、そして沖縄にとっての「主権回復の日」である、「本土復帰の日」5月15日を大切にしているのは、「自分たちは日本人」であることを受け入れてもらっていると思うのです。

沖縄は風光明媚で観光資源にも富んでいます。
そして何よりも、安全保障上で非常に重要な立地にあると言わざるを得ません。

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中国側から太平洋を望む際、九州を起点に、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを「第1列島線」と呼んでいます。中国海軍および中国空軍の作戦区域・対米国防ラインとされています。
つまり、有事の際には、米空母・原子力潜水艦が侵入するのを阻止せねばならない国防上の必要のため、このライン内においては、制海権を握ることを目標に軍備を拡張していると言えます。

逆に日米側から中国を見ると、台湾も含んで、沖縄に米軍基地があることによって、中国の外洋を抑制することができます。もしここに空母や原水が停泊できる重要な基地がなければ、米国の安全保障能力・ソフトパワーが低減するのは、言うに及びません。
また、もし基地がなくとも、この重要拠点が日本から独立した場合は、日本の対米・対中のソフトパワーは大きく低下し、ひいては経済的・外交的な側面においても大いなる悪影響が出てくると思います。


既に戦争が終わって68年。
私の親世代でさえ、戦後生まれです。戦争を知っている世代はすでに80歳以上です。
また沖縄に住む人も自分のことを日本人だと認識していると思います。
が、ナショナリズムは常に心の奥底に眠っていると思います。

今後数十年経ったときに、地域の時代を迎え、国際関係も変化(脅威が内在化するなど)した時には、沖縄県民の中から、沖縄独立論が出てもおかしくないと思います。
一議員である私が何かをすることはできませんが、政府には、せめて沖縄の人たちの思いを汲んで、「主権回復の日」の名称を改めることや、または5月15日を「主権完全回復の日」にするなど配慮すべきだと感じます。

なかなか本日、主権回復の日として素直に喜べない心情です。


大津市議会議員 藤井哲也拝







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