12月議会一般質問⑤『中小企業、ベンチャー企業支援について』

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滋賀県の大津市議会議員、藤井哲也です。
12月議会での一般質問に関して引き続き報告をさせて頂きます。

「中小企業、ベンチャー企業支援について」であります。

しがぎん経済文化センターが出している滋賀ビジネスレポート「県内経済概況」によれば、県内及び大津市の経済状況は軒並み悪化しています。
また、滋賀労働局が出している「平成24年11月『職業安定業務月報』によると、県内及び大津市の雇用状況はきびい状態が継続しています。
【参考】「県内経済概況」しがぎん経済文化センター)
【参考】「職業安定業務月報」(滋賀労働局)

現時点で非常に県内、市内の経済状況は悪く、雇用状況も悪いと言えます。
大津市において新規求人を出しているのは、ほとんどが中小企業であり、大手企業は新規求人を出すというよりも人減らしの方が急務になっています。
そうしたことからも今後も新規求人を継続して出すことができるのは中小企業だと思うのですが、中小企業にとっては、来年3月に迎える中小企業金融円滑化法(いわゆるモラトリアム法)の失効が確定していることから、また景気回復(消費回復)の見込みが立ちにくいことから、来年の春~夏にかけて、いっそう市内の経済状況、雇用状況は悪くなるリスクを秘めていると感じます。

現在大津市が行っている中小企業支援策と言えば、
・小規模企業者小口簡易資金融資制度(小口資金)
・中小企業経営安定資金融資制度(経営安定資金)
・大津市中小企業振興資金緊急利子補給制度
・大津商工会議所、大津北商工会への財政支援
が挙げられますが、こうした施策は言ってみれば、臨時的であり対症療法的です。

例えは悪いですが、大量に出血して死にかけている会社につなぎで輸血しているようなもので、会社そのものの体力や体質が根本的に治癒しなければ、単に税金をつぎ込んでいるにすぎません。
実施すべき施策は、企業の体力を強化し、またはこれからの時代に即した体質を変革させるようなものでなけれならないはずです。
その一環で、やはり現在の大津市が行っている商店街活性化施策というのも延命処置に過ぎないと思います。
やる気がない商店はつぶれるのが当たり前であって、やる気のある商店に対して、消費者のニーズ変化にあわせた体質強化や変化適応に向けた支援を実施すべき時期にあると思うのです。


これらのちぐはぐな行政施策がなぜ行われているのかと考えると、やはり「産業活性化のビジョン」がないというのが一番だと思います。
行政の人から言わせれば、「大津・草津地域産業活性化協議会」を開催して、「高度モノづくり」「環境」「医療・健康福祉」「IT」の各分野を重点的に育てようとしているというかもしれませんが、それでは実際にどのような支援をしているのでしょうか。
題目だけならだれでも唱えられます。

こうしたことから、他の多くの自治体でも制定されている「中小企業振興条例」のようなものを大津市でも検討すべきであると提案しました。この条例には、中小企業の振興や支援に関して、基本理念や市の責務、施策の基本方針を明確にし予算事業などに反映する事柄を盛り込むものとなっており、こうした条例を基に中小企業振興計画を策定し、市が主体的に中小企業活性化に取り組む根本的なものとするものです。
いうまでもなく、滋賀県でも条例化に向けて熟議の段階に入っています。
【参考】滋賀県の中小企業振興に関する取り組み


市からの答弁は、「条例化は、慎重に考えていく必要がある」というものでした。
すでに検討自体はしていると思うのですが、何年検討していくのでしょうか。そのうちに地域の中小企業はダメになってしまいます。スピード感のなさに呆れてしまうばかりです。
所詮、税金が勝手に懐に入ってくる行政マンにはなかなか中小企業の経営の苦しさというのは分からないのかもしれません。言い訳ばかり考えている職員には辟易します。
産業観光部の職員はしっかりと現場の経営の苦しさ、大津市に対する声を聞いて、早急なる行動をとるべきです。



また中小企業支援施策と併せて、ベンチャー起業家を増やす為に、大津市独自の「ビジネスプラン認定制度」を導入すべきと提案しました。
京都ではベンチャー企業や中小企業の社会的信用を担保するために、優れた技術を独自に認定する「オスカー賞」制度や、「京都市ベンチャービジネスクラブ」の運営、「目利き委員会Aランク認定制度」や、「知恵ビジネスプランコンテスト」などを行っています。また大阪では関西ニュービジネス協議会(NBK)などもビジネスモデル認定制度を運営しています。

ベンチャー企業は創業当初、非常に厳しい環境に置かれます。それは私自身が2003年から現在にわたって会社設立し、経営してきたことからわかります。
社会的信用力が極めて低いため、企業の融資も受けにくく、資金繰りに非常に難をきたします。
創業者自身にそれなりの社会実績があれば、そうしたこともありませんが、特に若い起業家にとってはそうしたものは持ち合わせていません。
こうした社会的信用力のなさをカバーするために、優れたビジネスモデルを行政や公的機関が認定し、起業家を応援していくことが大事です。逆にそうしなければ起業はなかなか成功しないと言えます。
経営者は成功すれば、後々美談を語られて、誰もが素晴らしい人物だともてはやしますが、そうなるのは本当に一握りです。松下幸之助翁は、採用基準の一つに「運の良さ」をもってきていたといわれるくらいで、それくらい創業して事業を軌道に乗せるのは繊細なものです。

大津の人が、わざわざ京都で起業するのも大津にとっては損失であり、ましてやニュービジネス協議会のようにごく少数の滋賀県発祥の企業が認定されるように、成功への登竜門が狭き門であれば、起業しようという意欲さえわいてきません。

京セラも堀場製作所も、ソニーもホンダもパナソニックもみんな最初はベンチャー企業でした。
ベンチャー企業を育てない限り、大津というよりも、日本にとって産業発展はありえないし、雇用創出もできません。そして経済全体の成長も止まってしまいます。
優れたビジネスモデルを有しやる気に満ち溢れたベンチャー企業を育てるのは、公的機関の役割だと私は信じています。

市からの答弁は、「関西ニュービジネス協議会などにつないでいる。今後の大津ならではのビジネスプラン認定制度については検討していきたい」とするものでした。
いかにも役人的な答弁です。しかし、京都市や大阪市では、ベンチャー企業支援に大きな力を割いています。
行政だからできないという問題ではありません。要はやる気があるかないかです。
大津市のこうした部門の人は自分の仕事が増えるからやりたくないのでしょうか。理解不能です。

行財政改革で節約できるムダはたくさんありますが、それよりも財源を確保する方法としては、産業活性化による法人税増加、地域雇用の創出による市民税の増加を、市には力を入れてもらいたいと心から思います。








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