大学生の半分しか就職しない時代。

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おはようございます。
滋賀県大津市議 藤井哲也 です。

みんなの党の政権公約(アジェンダ)が発表されました。
大きな柱は7つです。
【1】増税の前にやることがある!
【2】原発ゼロと経済成長を両立する!
【3】成長戦略で経済復活!
【4】日本の再生のためには復興第一!
【5】地域主権型道州制で格差を是正する!
【6】激動する国際情勢の中で戦略的な外交を!
【7】財源はしっかり手当する!


いよいよ国政選挙も間近に迫ってきています。本日は大津市議会11月臨時議会が開催され、選挙に関する予算議案を即日採決で審議します。12月3日開会の12月議会も迫ってきていますので、一般質問の準備を進めていきます。



さて、先日厚生労働省が直近(10月1日付)の大学生の就職内定率を発表しました。
結果としては、「63.1%」です。




ただこの数字を率直に受け取るわけにはいきません。理由は2つ。
1つ目は、「全学生への調査ではなく、抽出した調査であること」
2つ目は、「就職を希望する学生のみを調査対象としたこと」です。

まず厚生労働省が調査しているのは、全国の大学のうちの国立大学21校、公立学校3校、私立大学38校のみです。
現在の全国の大学の数は、国立大学80数校、公立大学100弱、私立大学600校程度となっています。
一般的には国立大学や公立大学は就職率が高いので、厚生労働省の調査は、就職内定率が少し高めに出ている可能性が高いと思います。
また、現在、就職を希望している学生は76%とのことなので、76%のうちの63%、つまり約48%しか就職内定が決まっていないと言えます。

すなわち、全大学生に占める実際の就職内定率は現時点で40%程度、大学卒業時点でも推定で50%程度しか就職先が決まっていないということになります。
残りの方は、フリーター(アルバイト)や家事手伝い(無職)か、就職活動継続(失業者)か、進学もしくはNEET(ニート)になることになります。

これは本当にもったいないと感じます。
その学生の親はもちろん、国民が税金を納めてその中から私学振興や国公立なら更なる助成を行って育ててきた若者が社会で生産性を発揮できないまま、世に送り出されてしまうわけです。

私は10年前からこれらのことについて問題意識を持ち取り組んできました。


大津市の現状を申し上げると、新規求人の大半は中小企業であり、大手企業の新規求人は極めて少ない状況です。
もし中小企業の経営状況が底割れするような事態が生じれば、雇用に大きく響いてきます。奇しくも来年3月まで延長された中小企業金融円滑化法(いわゆるモラトリアム法)については、失効すると言われています。私の周りの中小企業や、銀行関係の方に話を聞いても、本当に経営が厳しい会社が多く、モラトリアム法が失効した場合、多くの企業が経営困難に陥ると言われています。
また、世界に目を向けると、アメリカでは「財政の崖」の懸念が広がっています。2013年からブッシュ減税が切れて、「実質的増税」と「強制的な歳出削減」が同時に到来し、急激な財政の引き締めが起こることから、米国の経済成長率が年間で4ポイントも下がってしまう恐れがある事態です。
この影響をもろに受けるのが、日本の自動車産業や工作機械を中心とした大手製造業とその下請け企業群です。
中国経済もいいとは言えません。欧州経済はいうまでもありません。

日本の将来の雇用状況は極めて厳しいと言うのが実情と思います。

大津市がやっている雇用対策は、主要なもので言うと、「中小企業への融資事業」と「大学生の就職面接会」及び「ハローワークの移動労働相談」くらいです。あとは、先日報道にあった「ルネサステクノロジーと旅亭紅葉の退職者対策」くらいかなと思います。
私の感覚では、もっといろいろなことをできるのではないかと感じます。

例えば、「マッチングの視点」でいうと、
●市内の中小企業で採用を検討している企業のポータルサイト事業(京都の類似ケース
●第2新卒向けの就職面接会(京都市と京都府ジョブパークとの連携が例)
●福祉介護職専門の就職支援(京都府の事業が例)

などがありますし、「雇用創出の視点」で言うと、
●中小企業の新事業認定制度(京都のオスカー賞等が例)
●ベンチャー企業育成の取り組み(京都商工会議所と京都市、府が一緒になって取り組む例
●中小企業への融資の新制度(更に借りやすくする)
●専門的技能習得を促進した企業に対する助成制度

等があげられます。
「観光振興」をがんばってやっていきたいというのは結構だと思います。それはそれでドンドン進めて頂きたい事柄ですが、地域経済は観光もあれば、農業もあり、商業、産業もありますので、それら全体を見据えて対策を練って頂きたいと思います。



個人的な意見(所属の党の考え方とは異なるかもしれませんので予めご了承ください)を申せば、雇用状況が悪化している原因は、「経済が良くない」ということ以外に、大きく2つあると考えています。

1つは「就職できるレベルに若者が達していない」ということ。
マッチングというのは、「求人企業」と「求職者」の要望がある程度、“マッチ”する状況だと思います。単にビジネスマナーができて、読み書きができて、パソコンが使えて、ちょっとした専門知識があるくらいなら、ハッキリ言って役に立ちません(売上をあげられません)。大学まで行くならば大学生活は4年間あるので、もっと真剣にスキルや知識を高めていく必要があるように感じます。

2つ目は「採用を非常に慎重にしなければならない」ということです。
つまり、一人の人を採用した場合、仮に年収400万円だとしても福利厚生などを入れると年間少なくても500万円の資金が必要となります。60歳まで雇用しようとすれば2億~3億くらいのお金が必要になります。一人採用するということは、企業にとってはそれくらいの覚悟が必要となります。
何が問題かと言えば、やはり「解雇規制」が厳しすぎるということだと考えています。
「クビ」と言えば非常に冷たい感じですが、あくまでも企業と雇用者は対等な関係であるべきで、「雇用契約」で成り立つ上では、社会が必要とする能力についてこれなくなった人は会社にとっては単なるお荷物でしかありません。
こうした窓際社員をなんとか辞めさせるために、早期退職制度を設けて「肩たたき」を行ったり、退職勧奨を行ったりしていますが、そこまでに至らずとも多くの職場で、わざとプレッシャーをかけて退職に追い込ますようなことが行われています。この過程でメンタル不全の問題が生じる社員も多くいます。これは解雇規制が厳しいからこそ起きる問題だと思います。

仮に解雇規制を緩和(解雇しやすくする)とどうなるのでしょうか?
メリットとしては、「企業が思い切って採用することができる」、また「労働者が社会環境に適応したスキルアップに取り組もうとする」、その他に「メンタル不全が少なくなるのでは」ということが考えられます。
当然、こうしたデリケートな問題を取り扱うといろいろな意見があるのは承知で、デメリットもあると思いますが、今の中小企業や大手企業の状況を見ていると、「日本で採用するのは労働コストが高いし、いざという時に解雇もできないので採用自体控えざるを得ない」ということになっているのではないかと感じます。
解雇もしやすくなる代わりに、採用もされやすくなると思います。どちらがいいのかわかりませんが、私は解雇規制を緩和するほうが、メリットが上回ると感じます。雇用に流動性を持たせることによって企業が活性化し、新しい事業や既存事業の拡張もしやすくなると思います。そうなることによって新しい雇用を生み出すことができると思うからです。
逆に不要な社員を抱えておくことによって、会社全体の業績が落ち込み、新規事業なども当然はじめることができません。新しい雇用を生み出すことは当然できません。
ただ、解雇規制を全廃しろというわけではなく、ある程度の日本の雇用慣習を踏襲し節度を守った規制は残さねばならないと思います。そうでなければ、不景気の時に一気に人を切って、社会に失業者があふれかえるという事態になりかねないと考えるからです。



1 景気・経済をよくする(利益が出れば新規事業や事業拡張のため新規雇用が生まれる)
2 求職者のレベルを上げる(採用されるレベルまで引き上げて、マッチングを成立させる)
3 採用に対する物心両面におけるハードルを下げる

私の中では、10年前からずっと取り組んできたことであり、これからもこの若者の雇用問題には取り組んでいきたいと思います。
市議会の一般質問でも少し取り上げたいと考えています。


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