和歌山市へ行政視察。「人事委員会設置について」

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こんにちは。
滋賀県大津市議会議員の藤井哲也です。

いよいよ今年も残すところあと2カ月。季節も涼しくなってきました。
例の「いじめの調査に関する市長附属機関による調査」において、調査委員会に提出された資料が黒塗りだった件。
こちらは教育委員会が黒く塗ったというよりも、市長の附属機関となっているので、総務部のコンプライアンス推進室が黒塗りしたと考えています。詳細はまだ確認できていませんが、これだけ問題となっている中、さらにこうした問題が出てくるのは正直理解できません。確認したいと思います。


昨日(11月1日)に和歌山市へ行政視察に行って参りました。
視察目的は「人事委員会の設置」についてです。
人事委員会の必置義務としては都道府県および政令市にあり、中核市などの特別市では設置は任意となっています。
和歌山市は中核市では全国で唯一、人事委員会を設置している自治体であり、どのような状況になっているのかを知りたく訪問させていただきました。
ちなみに大津市は人事委員会ではなく、公平委員会というものを持っています。


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「人事委員会」と「公平委員会」の違い


最も異なる点は、人事委員会は、職員と民間の給与実態を職種別で調査し、市長及び議長に対して報告もしくは勧告をすることができる点です。
人事院・平成24年職種別民間給与実態調査の実施について(PDF)

■人事委員会 (地方公務員法第8条)
人事委員会は、次に掲げる事務を処理する。
・人事行政に関する事項について調査し、人事記録に関することを管理し、及びその他人事に関する統計報告を作成すること。
・給与、勤務時間その他の勤務条件、研修及び勤務成績の評定、厚生福利制度その他職員に関する制度について絶えず研究を行い、その成果を地方公共団体の議会若しくは長又は任命権者に提出すること。
・人事機関及び職員に関する条例の制定又は改廃に関し、地方公共団体の議会及び長に意見を申し出ること。
・人事行政の運営に関し、任命権者に勧告すること。
・給与、勤務時間その他の勤務条件に関し講ずべき措置について地方公共団体の議会及び長に勧告すること。
・職員の競争試験及び選考並びにこれらに関する事務を行うこと。
・職階制に関する計画を立案し、及び実施すること。
・職員の給与がこの法律及びこれに基く条例に適合して行われることを確保するため必要な範囲において、職員に対する給与の支払を監理すること。
・職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置を執ること。
・職員に対する不利益な処分についての不服申立てに対する裁決又は決定をすること。
・前二号に掲げるものを除くほか、職員の苦情を処理すること。
・前各号に掲げるものを除く外、法律又は条例に基きその権限に属せしめられた事務

公平委員会 (地方公務員法第8条第2項)
公平委員会は、次に掲げる事務を処理する。
・職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置を執ること。
・職員に対する不利益な処分についての不服申立てに対する裁決又は決定をすること。
・前二号に掲げるものを除くほか、職員の苦情を処理すること。
・前三号に掲げるものを除くほか、法律に基づきその権限に属せしめられた事務


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結論から申し上げると、和歌山市においては、人事委員会を持っているメリットのほうが、持っていないデメリットよりも大きいという感触でした。

職員選考を行政当局が実施していることが問題となり、職員選考を第三者が実施するところから和歌山市の場合、人事委員会が立ち上げられた経緯があるそうです。
現在事務局は7人の職員さんがおられ、3人の人事委員(うち1人が委員長)となって構成されているそうです。事務局7人のうち3人が職員選考活動に従事しておられ、残りの4人が民間給与の実態調査活動に従事されているということです。

メリットとしては、和歌山県と和歌山市では調査対象企業が7割程度重なるということですが、それにも関らず、民間給与調査では異なる結果になるということで、より地元の経済状況を反映することができるという点にあるそうです。故に、和歌山県とは異なる人事委員会勧告(もしくは報告)を行っているとのことでした。

デメリットとしては、職員選考を第三者が行っているのはおかしいのではないかという声が、2年ほど前から議会で話題となっており、選考委員には一部、市長部局の方も入って実施するように変わってきているそうです。


現在、滋賀県と大津市にあっても、実際上 県の人事委員会勧告と大津市は一部は見解が異なることがあります。
住宅手当などは最たるものです。そのため市としてはなぜ職員の住宅手当が県に比べて高待遇なのかを合理的に説明しなければなりませんが、その説明が必ずしも納得されているわけではありません。少なくとも私は納得していません。
また給与表は、大津市と滋賀県はほぼ一緒のものを使っていますが、これに「地域手当」というものが追加されます。
大津市の地域手当は10%で、滋賀県の地域手当は6%(勧告は6.1%)です。
なぜ県の地域手当よりも4ポイント多いのかも勉強しなければならないポイントです。
ちなみに和歌山市は地域手当は3%とのことです。
※大津市長も特別職報酬に加えて地域手当10%を受け取っています。


市が人事委員会を設置することになると、何か特別難しい業務が加わるのかといえばそうとも言えないらしく、企業側もこれまで県人事委員会が行ってきた調査が市に変わるだけということで、すんなりと移行作業は進んだということでした。


大津市においても、滋賀県は北と南では経済環境もかなり異なると思うため、独自に人事委員会を設置しても良いのではないかと思えました。
人事委員会は市長が設置を決定することができます。一度設置検討を促してみたいと思っています。




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