「外部の第三者調査委員会」、私が考える疑問点【3】

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こんばんは。
大津市議会議員、藤井哲也です。

本日、午前中に亡くなられた中学生のお父さんと弁護士、そして市長、副市長が面会し、アンケート調査が不十分だったことを謝罪し、調査委員会の立ち上げについて意見交換がなされました。
また午後には市議会教育厚生常任委員会が開催されました。ただし、いじめ自殺の件については報告事項に入っておらず、この件について市側から新たな情報提供はありませんでした。この間もいろいろと新たに分かってきたことがありますので、市からはぜひ報告をしてもらいたかったのですが非常に残念に思います。


さて ここまで、外部調査委員会について2点疑問を挙げてきました。
① 市長の私的諮問機関的要素が強い「専門委員」で、独立した第三者としての調査ができるのか?
② 市長の下に置く調査委では教育委員会の担当事務を調査することができないが大丈夫だろうか?

こうした疑問点を「地方公共団体の長による総合調整権」に基づいて、クリアして第三者調査委員会を設置することになったとしても、なお私の中には疑問を感じることがあります。

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地方自治法 第百八十条の四  
普通地方公共団体の長は、各執行機関を通じて組織及び運営の合理化を図り、その相互の間に権衡を保持するため、必要があると認めるときは、当該普通地方公共団体の委員会若しくは委員の事務局又は委員会若しくは委員の管理に属する事務を掌る機関(以下本条中「事務局等」という。)の組織、事務局等に属する職員の定数又はこれらの職員の身分取扱について、委員会又は委員に必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

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某市の公営企業の問題について、市長が調査委を開いた際、この「総合調整権」を使って、調査の協力を公営企業に行い、公営企業が市の調査依頼に沿う形で協力し調査を行ったケースがあり、本日 その某市の関係者にヒアリングを行いました。
しかし、このケースもあくまで調査をしたのは公営企業側であり、大津市で言えば、教育委員会が調査に全面的に協力しなければ成り立ちません。学校や教師または教育委員会事務局が調査協力に応じなければ調査は残念ながらできません。ただ、この間の教育委員会の隠蔽体質を思わせる対応や、市長と教育長との関係性や意見相違からして、表面上は「協力する」といっても、本当に重要な情報は隠すことが十分に考えられます。
そうしたことから、市と教委両方に属する調査のための、「附属機関」を設置するほうが良いと私はこれまで述べてきました。



そして、3つ目の疑問は、『そもそも第三者調査委員会による調査は “やらせ”、“茶番” に終わるのではないか?』という不信感にも似たもので、『調査委報告の結果、真相解明に至らず和解するのではないか』というものです。


第三者委で調査しようとしている事柄は、「市教育委員会の調査が不十分であったので、その部分について再調査をする」というものです。
調査する事柄として想定されるのは、(1)アンケート結果の洗い直し、(2)アンケート結果を裏付ける再度の生徒及び関係者へのヒアリング、(3)「いじめ」が暴行や恐喝などの犯罪行為に該当するかどうか、(4)「いじめ」が「自殺」につながったかどうかの論理的推論、(5)市の過失責任、というものと私なりに考えます。(4)と(5)については、遺族側が求められていることであり市側が回答を保留しているものとなります。


ただ調査結果の報告書はなんとなくイメージできます。

『以下の「いじめ」の事実があったことが確認された。
  1 ・・・・・・・・・・・・・
  2 ・・・・・・・・・・・・・
  3 ・・・・・・・・・・・・・

 調査委員会の委員の「いじめ」と「自殺」との因果関係に関するコメント
  A委員 ・・・・・・・・・・・
  B委員 ・・・・・・・・・・・
  C委員 ・・・・・・・・・・・

 以上により「いじめ」と「自殺」との因果関係があったことが推定できる。』


という内容のものではないかと思います。
そもそも調査内容も固まっていない、人選も決まっていない、そんな中で なぜ調査委員会による調査期間は予め「4か月程度」と決まっているのでしょうか?どんな調査をしても、どんな人選になっても、スケジュールはすでに固まっていて、そして調査結果も予め固まっているからではないかと思うのです。

ご遺族側が「公平性の観点」から、推薦される人選の形と、大津市の考え方に相違があり、調整ができにくいというのは、まさに調査結果や調査スケジュールを市または教育委員会がコントロールしたいからだと思うのです。
言ってみれば、これは上記のような報告書をつくるための、「やらせ調査」、「茶番調査」に終わる可能性が大ではないかと考えています。
12月の定例会最終日に報告書が提出される方向性と聞いています。
12月定例会前なら、それについての一般質問も行うことができますが、12月定例会最終日に提出されても、次の市議会は2月開会です。市議会から厳しく追及されることから逃げているとしか思えませんし、年が明けて問題が鎮静化することを期待しているのでしょうか。その見え透いた魂胆に本当に憤りを感じます。


ご遺族側が求められるような「公平な人選や、いじめと自殺との因果関係の調査や市の過失責任の調査」なくして、単なる「市教委によって行われたずさんなアンケート調査の再調査と、専門家(調査委員)によるコメント」だけならあまり意味がありません。ハッキリ言って税金を原資とする報償金20万円程度を使ったパフォーマンスです。

また、調査結果が12月定例会の最終日に出されるとして、そこで和解に向けた動きを市が進めていくとすれば、真相解明しないまま問題が幕引きしてしまいかねません。
暴行があった事実を知りたいだけではなく、いじめと自殺との因果関係はあったのかどうか、なぜいじめを止められなかったのか、教師や学校、教育委員会の責任はどうだったのか、市が再調査をしてこなかった過失責任はなかったのかを知りたいのです。
それらすべてを4か月間で調査委員会が調査して結論付けられるなら別ですが、とてもそうとは思えません。なにより調査委員会の委員(専門委員)にはその調査結果に対する責任を持つのかも曖昧です。何を調査するのかさえ決まっていないこの段階で、専門委員を引き受ける人はいないでしょう。専門委員の方々も調査結果が曖昧に終わってバッシングを受ける恐れもあります。
※市長の私的諮問機関的要素が強いので、専門委員がその調査結果の責任を負うというよりも市長が責任を負うのかもしれませんが。



以上疑問点を挙げてきました。
とはいえ、調査委員会は近日中に立ちあげられ、どういった内容を調査するのか分かりませんが調査していくと思います。

議員としては二元代表制の下、大津市が行う調査内容等をしっかりとチェックしていくと同時に、市や市教委に隠蔽体質が見られるようなら徹底して議会で追及していかねばと考えています。







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