【一般質問解説⑥】職員のハラスメント対策について

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 今から4年前。ちょうど議員1期目が終わるころ、大津市企業局内でパワハラが原因と思われる自死事件がありました。当初議会には本件は報告されませんでしたが、内部通報メールが私のところへあり、その後、連絡を頂戴したご遺族関係者と協議の上、議会で取り上げたことで問題が明らかになりました。
 パワハラと疑わしい職員による行為は今なお、私の耳に入ってきます。
 仕事は働きやすい職場環境があってはじめて成り立つと思います。

 今回は、経営学・組織論では有名なダニエル・キム氏が提唱した「組織の成功循環モデル」を取り上げました。大津市役所は、「成果」を求めるばかりに上司のマネジメントスタイルも硬質でギスギスしたものになっていると傍目に思います。本来、よい成果を上げようとするならば、「職場の関係」を重視すべきなのです。いま職場内では上司と部下との信頼関係は薄れており、部長級は部下から散々陰口をたたかれています。実際、部長級はほとんどがイエスマンばかりですので仕方ない側面もあるのですが、このような組織で、成果が上がるはずがないように思います。




「互酬性」という言葉があります。あの上司が言うならやろうか、という信頼関係が重要です。
 いまの大津市役所の組織風土を形作っているのは、大津市長である越直美さんです。
 パワハラと疑わしい言行が横行している状況は改善されなければなりませんが、こればかりは市長の考え方次第です。自分の言うことを聞くひとばかりを側近に置き、忠言する人材を遠ざける中で優秀な職員のモチベーションは低下し、せっかくの能力を発揮できないまま左遷先で悶々とした日々を過ごしておられます。これは普通の組織ではありません。

 議員でできることは、一般質問でこうした問題点を取り上げるくらいです。
 あとは市民が、しっかり見極めて選挙で結果を出すだけです。
 以下、今回の質疑応答です。
  

Q(藤井)
 企業局において2014年から約1年間にわたり上司によるパワハラ行為があり、翌2015年3月に自宅で大量の精神安定剤を服用し緊急搬送、数日後、病院で被害職員が死亡した事案が生じました。
 その後、本市による内部調査、附属機関による調査・審査が約1年かけて行われ2016年4月に、パワハラ行為と死亡との因果関係は認められないとしたものの、ご遺族と民事調停などによって公平な解決を図るように求める答申が示され、この答申を踏まえて、本市は2018年2月にご遺族と慰謝料を支払うことで合意しました。

(1)企業局職員の死亡事案で地方公務員災害補償基金が労災認定したことについて
 しかしその後、2018年11月、「職員が精神安定剤の大量服薬などで死亡したのはパワハラが原因の公務上の災害に当たるとして、地方公務員災害補償基金が労働災害の認定をしたこと」を遺族側の弁護士が記者会見で明らかにされました。
 本市はパワハラ行為と職員の死亡との因果関係を認めませんでしたが、地方公務員災害補償基金では因果関係を認めた結果となっており、本市が行った判断の根拠の頑健性や妥当性が疑われる事案であると考えます。この件について、本市の見解を伺います。

(2)職員間のハラスメント防止対策について
 そもそもこの問題は、市職員から私宛に「企業局においてパワハラが原因と思われる自殺者が出たとのこと。局は箝口令をひいて口止めをしています」という内部告発があったことから本会議で取り上げて発覚した事案でありました。
 以前にも申し上げた事がありましたが、本件は死亡された職員の上司だけではなく、パワハラを見て見ぬふりをしていた周囲の職員にも問題があると感じており、今後、このような事が起きないように対策を講じるよう、討論でも何度か述べてきたところでした。
 しかし、本件発生後も職員間でのパワーハラスメントと疑われる事案について内部告発を頂戴することが時折あり、そのなかでも看過できない悪質と思われる事案については市コンプライアンス推進室へ私から通報するなど対応してきました。
 今後、職員間でのハラスメントが原因で死者やメンタル不全者がでないことを願い、本市において、どのようにハラスメント防止対策を進めていこうとするのかを伺います。


A(山際公営企業管理者)
 1点目の企業局職員のハラスメント事案に関して、本市が行った判断の根拠の頑健性や妥当性についてでありますが、医療に関する情報を分析するため、複数人の医師の意見を聴取した結果、ハラスメントと死亡との因果関係は認められないとの結論に至ったところであります。
 また、この調査結果を大津市公正職務審査委員会に諮問したところ、ハラスメントと大量服薬行為との因果関係はあるものの、ハラスメントと死亡との因果関係は認められないとの答申を得たことから、本事案に係る公正当な損害賠償額を算定するため民事調停を申し立て、既に御遺族と和解が成立しております。このことから、現在も本市と判断は変わっておりません。以上、私からの答弁といたします。

A(国松総務部長)
 2点目のどのようにハラスメント防止対策を進めていくのかについてでありますが、ハラスメントは、個人の尊厳や人格を傷つけ、勤労意欲の低下及び心身の不調を引き起こす要因になるものであり、職場全体の士気や能率の低下にもつながることから、市を挙げて取り組んできた課題であります。
 本市では、これまでもハラスメント防止対策に関する冊子の作成及び活用並びに全職員を対象に毎年テーマを変えた研修の実施などにより、職員一人ひとりのハラスメントへの理解とその意識の醸成に努めてまいりました。
 また、7月のコンプライアンス推進月間には、よりよい職場環境づくりに向け、所属長と職員が面談を行うなど、風通しのよい職場づくりにも取り組んでまいりました。さらに、平成28年度より実施しているストレスチェックの結果を受け、高ストレス者に対してはその希望に基づき産業医面談やカウンセリングを実施するなど、職員のメンタルヘルス不調の予防や健康の保持増進に努めるとともに、本人の同意に基づき、その結果を所属長や部局にフィードバックして、ハラスメントの芽が小さいうちに対処することで、その予防という観点からも効果が期待できるものと考えております。
 今後におきましても、職員間のコミュニケーションを題材にした職位別研修やストレスチェックの集団分析結果における各所属長を対象とした研修のほか、産業保健スタッフによる個別の対応等もあわせ、管理監督者の職場マネジメントのスキルアップを図ることで、職場全体としてハラスメントを未然に防ぐことのできる風通しのよい職場風土、組織体制の構築に向けて鋭意努力してまいります。以上、私からの答弁といたします。


Q(藤井)※再質問
 2点目の職員間のハラスメント防止対策について再問です。
 今、総務部長から、さまざまなハラスメント防止対策を挙げていただきました。それらはいずれも重要であり、また今後も取り組んでいただかなければいけない対策なのかなと考えております。
 1点もう少し詳しく伺いたいのが、組織体質の問題です。
 上司の現場のマネジメントの向上という観点であったりとか、コミュニケーションしやすい、風通しがいい環境、またストレスチェックの推進など、これらはいいと思うんですけれども、その前提となる「職場の風土」が私はパワハラに大きく影響を与える部分があるんじゃないかと考えております。
 有名な組織開発の考え方の中で、「組織の成功循環モデル」というものがあるんですけれども、また後で調べていただければと思いますけれども、どこから組織改善に取り組むべきなのか、私なりに俯瞰しながら感じておりますのが、「成果志向」が非常に高まってきているのかなと思ってまして、成果から入ると職場の環境が「人間関係」はじめ悪くなっていく。そしたら「思考の質」と言われるものが悪くなって「行動の質」が悪くなって、そして「成果」がさらに上がらないという、この悪循環がスパイラル状で続いていくというふうに言われておりますけれども、これに対しまして職場の人間関係、「関係の質」と言われるところから入ったら、そこから職場の中での「思考の質」、そして「行動の質」、「成果の質」が上がっていくという成功循環モデルがあると言われております。
 そういう観点からいうと、非常に現状、大津市の中間管理職の方が置かれている状況というのは私は難しいところがあるなというふうに感じておりまして、上からは成果を求められ、そして現場、市民であったりとか、団体から近い方々からはいろんな要望があって、なかなかうまいように物事が進まないと考えております。
 そこに私はパワハラが生じる原因があるんじゃないかなというふうに考えておりまして、上からはどうしても成果、最近はKPI、数値目標であったりとかを中心としましたマネジメントがあるんですけれども、しかしそれが必ずしも現場ではうまく物事が進まない。ここの板挟みをどう解消していくのか。
 ここは私は「成果の質」を求めるのではなくて、職場風土(=関係の質)をいかによくしていくのか、ここから物事を改善していかなければ、最終的には成果に結びつけることができないんじゃないかなと考えております。
 この点に関しまして、先ほどいくつかの研修がなされていらっしゃると伺いましたけれども、現実、今申し上げました課題に対しまして、どのように取り組んでいらっしゃるのか、お伺いできないかと考えております。

A(国松総務部長)
 成果ばかりが求められる中で、職場の風土が醸成されない、その中でハラスメントが起こるんではないかというふうなことであったのかなあというふうに思います。
 ハラスメントについては、ハラスメントを申し立てる人間がこれはひょっとしたら指導の一環かもしれないという中で、自分がその仕事に対して上司から怒られることに感して甘いんかなあというようなことであったり、あるいはこの申し立てによって、例えば自分の職場の人間関係が崩れるんではないかなとか、あるいは市役所の生活においてレッテルを張られるんではないかなというふうなそういった不安というか、そういったものがあるのかなあというふうにも感じています。そして、その中でできるだけ波風を立てないような周りの目もあるのかなあというふうにも感じています。
 ハラスメントを訴える中で、そういうことが心情として、あるいは傾向としてあるのかなあというふうに思いますので、今議員が申していただいたこと、職場の風土づくりに向けて、これについては勇気を持って申し立てができるような、そういった職場環境づくり、風土、そういったことをしっかりと、時間かかるかもしれませんけれども、粘り強く仕組みづくりであったり、組織づくりであったり、そういった人間関係の醸成であったり、そういったことができるように、今先ほどの答弁で申し上げた施策について、しっかりとやっていきたいというふうに考えております。以上でございます。


 * * *

 議員を8年やってきて、最近つとに感じるのが、この本会議場での一般質問の場も、登壇部長にとっては苦しい場だということです。恐らく、市長からは「最初の答弁以上のことをしゃべるな」と、部長級にお達しがあるのでしょう。ここ2、3年は再質問しても、まったく的外れの答えが返ってきたり、最初の答弁に飾りだけ付け加えた答弁が返ってきます。
 今回の総務部長の答弁は、ギリギリの線でご自身の想いを込めて述べられたものだと思いますが、実際には最初の答弁内容とさほど変わりが無い再答弁内容です。
 
 「市長の言った通りやれ」という堅苦しさを感じざるを得ません。
 部長のみなさま、ご愁傷様です。という心情です。
 そしてその部長の意を受けて、現場からの声に板挟みになっているミドル職員の方々の悲哀の日々を想像します。


 そうしたことを一番思うのが、中消防署の移転先候補地選定をめぐる答弁です。
 なぜか消防局長が、ここ2、3年ずっと答弁をしていますが、この問題って消防局内だけで決められる問題なのでしょうかね。滋賀県や国との調整や協議は総務部や政策調整部、場合によっては市長や副市長の力が必要になるわけですし、なによりお金が必要になるので消防局内で決められる問題ではありません。

 本来、消防局の設置法である「消防組織法」において、市町村が果たす役割として、「市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する」とあり、また、「市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない」とあります。
 消防局は市域の安全のためにしっかりと動いて頂くことが重要で、そのための予算や人員確保は大津市長が責任を持って取り組まねばなりません。
 しかし、なぜか消防局長が苦し紛れの答弁を繰り返している光景が続いています。予算編成権限がない消防局長が、矢面に立たされて全身針ねずみ状態になっているのは滑稽と言えば失礼かもしれませんが、茶番劇を見ている感じです。

 結局、市長の越直美にとって都合が悪い事柄は、現場の長が議員や市民の矢面に立ち、なんとか言い逃れをしている構図です。市長は部下を人間の盾にして、自分は安全な場所にいます。こうした組織に互酬性は働くでしょうか??

 ハッキリ言って、大津市役所の組織風土は最悪ですね。これは市長の責任だと思います。
 またそうした風土を容認している大津市議会にも問題があると思います。
 

フジイテツヤ
 




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