【一般質問解説⑤】大津市中2いじめ自殺事件について

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 2011年に大津市立中学校に通う男子生徒が自殺した、いわゆる「大津中2いじめ自殺事件」。事件発生から7年以上の月日が流れました。男子生徒が生きていれば二十歳を過ぎています。若くして亡くなられたことを本当に残念に感じています。
 私が市議1期目になったその年の秋に事件が発生し、その翌年7月に全国的に社会問題となりました。この間、議員活動をするなかでもこの問題は脳裏から離れることはありませんでした。
 そして今年2月。民事裁判の第一審判決が出されました。
 判決の要旨は、こちら(京都新聞WEB記事へリンク)

 なお当時の私の想いはブログ記事に残してありますが、ファクトに基づくいじめ問題の検証については『「いじめ自殺」の社会学』(北澤毅著・世界思想社(2015))がよくまとめられていると感じています。
 先日、一審敗訴の元同級生2人が地裁判決を不服として控訴したことにより判決確定は持ち越されました。今回の質問は裁判結果を知る前に事前通告を出し、そして裁判結果が分かった後に質疑したものです。


Q(藤井)
 2011年10月11日に当時市内中学校2年生の生徒がいじめを苦に自殺した、いわゆる「大津市中2いじめ自殺事件」がありました。その後、翌年2月にご遺族が本市ならびに加害者とされる同級生、その保護者を相手に損害賠償請求を提訴し、同年7月に本件が全国的に注目を浴びるや市長は急遽態度を改め事案の再調査をすることとしました。
本市に県警の家宅捜査が入るなど執行機関が混乱を極めていたこともあり、市議会は二元代表制の一翼を担うべく、いじめ防止に関する方向性および基本的事項をまとめるため動き出し、今日のいじめ対策のフレームとなっている議員提案により条例を制定するに至りました。
一連の再調査を担った「大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会」は発生から約1年3か月が経過した2013年1月31日に調査結果を市長に答申し、当該調査報告書に基づいて、その後、ご遺族との損害賠償事件に関する和解を行い、また本市いじめ対策も進められてきたところであります。

(1)大津地裁判決を受けての見解について
   本年2月19日、ご遺族と加害者とされる元同級生とその保護者との間で継続されてきた民事裁判の大津地方裁判所での一審判決が出されました。
そこで、本件に対する見解を改めて越市長に伺います。

(2)第三者委員会の調査報告書について
  また地裁での判決結果を受けて、第三者調査委員会による調査報告書の内容及び、今日に至るまでのいじめ対策の取り組みについて、本市の評価を伺います。


A(越市長)
 まず、亡くなられた中学生に対し、心から哀悼の意を表します。
 大津市では、平成24年8月に、市長の下で、遺族推薦の委員が半数を占める第三者調査委員会を設置しました。そして、民事裁判においては、第三者調査委員会報告書に基づき、本市の過失及び因果関係並びに損害賠償責任を認め、早期の和解を求め、市議会の議決を得て、平成27年3月にご遺族と和解しました。和解条項では、本市が和解金を支払い、学校が自死を防げなかったこと及び学校・教育委員会の事後対応について改めて謝罪するとともに、これまでの本市の取組みを確認し、今後も継続して再発防止策を実施することが定められました。この和解条項が亡くなられた中学生との約束であるとの思いで、これまでいじめ対策に取り組んできました。
 このたびの判決は、大津市の第三者調査委員会の報告書の内容を認めたものであり、ご遺族と大津市の和解と同様の内容であると理解しています。
 これからも、亡くなられた中学生の無念さや辛さを決して忘れることなく、議会で制定された大津市子どものいじめの防止に関する条例、第三者調査委員会の報告書、そして和解条項に基づき、いじめ対策に全力を尽くします。以上、私からの答弁といたします。


A(市民部長)
 ご質問にお答えいたします。第三者調査委員会による調査報告書の内容及び今日に至るまでの市長部局でのいじめ対策の取組の評価についてでありますが、平成25年1月の第三者調査委員会の調査報告書では、学校がいじめを発見できなかった問題点と、学校及び教育委員会の事後対応に関する問題点が指摘され、これらの問題点を解決し、二度と同じ過ちを犯さないための提言がされております。
 市長部局ではいじめ対策を総合的に推進していくため、平成25年度にいじめ対策推進室を設け、相談調査専門員による相談窓口や大津の子どもをいじめから守る委員会の設置、LINE相談の導入などにより、子どもの立場や思いに寄り添った対応に努めるとともに、学校での出前授業やいじめ防止市民フォーラムの開催など、子どもや保護者、市民の皆様に対していじめ問題の理解を深めてまいりました。
 現在に至るこれらの取組は、調査報告書の提言に基づき進めてきたものであり、この提言は大津市のいじめ対策の基礎の一つとして位置付けております。
 このたびの判決結果を受けて、今後も引き続き果たすべき責務と役割を改めて認識し、いじめを受けた子どもたちに寄り添った取組を進めてまいります。
 いじめの認知件数は年々増加しており、亡くなられた中学生の思いを決して忘れず、様々な取組を通じて大津の子どもたちが安心・安全に生活し、学ぶことができる環境づくりのために全力を尽くしてまいります。以上、私からの答弁といたします。


A(舩見教育長)
 ご質問にお答えいたします。今日に至るまでの教育委員会におけるいじめ対策の取組の評価についてでありますが、教育委員会では、平成25年1月の第三者調査委員会の調査結果を基に、平成27年3月の御遺族との間で成立した和解の条項に基づいて、再び悲しい事件を起こしてはならないとの決意の下で、いじめ対策に取り組んでまいりました。
 学校では、この間、いじめ対策担当教員の専任配置、いじめ対策委員会による組織対応の強化、養護教諭の複数配置等に加え、教師の心と技を磨く研修プログラムによる体系的な教員研修の実施により、いじめの早期発見と対処に重点的に取り組むとともに、弁護士によるいじめ防止の授業の実施、スクールロイヤー等の専門家派遣、子どもナイトダイヤル等の複数の相談窓口の設置等により、外部の専門家や窓口を通じた支援等を行ってきたところです。
 こうした取組により、いじめの疑い事案を含む認知件数は年々増加しており、いじめ対策担当教員を中心に、いじめの早期発見と組織的な対処に各校で取り組めているものと考えている次第です。
 しかしながら、現在も市立小中学校からいじめがなくなったわけではなく、いじめ対策はまだまだ道半ばであると認識しています。教育委員会では、反省と教訓を基にして、こうした取組を通じていじめの未然防止・早期発見・早期対処・再発防止にこれからも徹底的に努めてまいります。そして、全ての大津の子どもたちにとって安全安心な学校となるよう、不断の取組を続けてまいります。以上、私からの答弁といたします。

 


フジイテツヤ



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